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ムリナのMALPASOのレビュー・感想・評価

ムリナ(2021年製作の映画)
3.8
映画『ムリナ』

@東京国際映画祭
クロアチア・ブラジル・アメリカ・スロベニア

製作総指揮はマーティン・スコセッシ。

クロアチアの島に暮らす一家。主人公の少女は抑圧的な父に反抗的。母に好意を寄せる父の友人が訪ねてきたことで物語が一気に動き出す。

クロアチアの女性監督アントネータ・アラマット・クシヤノヴィッチのデビュー作。思春期青春ものかと思いきや、大人の三角関係も描くサスペンス的な要素もあり面白い。

島に暮らす一家。美しい母娘。父と娘、母親をめぐる三角関係が描かれる。娘は島から逃げ出したいが、同時に両親も土地を売って便利な場所に越したいんだということがわかる。海で採ったものをワインと食べるシーン。一見理想のような生活も続くと苦痛や憧れを生む。

父親の友人役クリフ・カーティスは、よくハリウッド映画のテロリスト役で出てくる役者。

主役のグラシア・フィリポビッチは長年水泳で鍛えた美しいスタイルの持ち主。美人。
2017年にアントネータ監督が作った短編『INTO THE BLUE』が全てのきっかけ。海を舞台に思春期の少女の揺れ動く心を描いた作品。主人公を演じるのは同じグラシア。泳ぎが上手い役者を探していて彼女を見つけたとのこと。
友人や学校は?と思うが、夏休みの出来事を描いているため出てこない。なので『INTO THE BLUE』と繋げて考えてみることにする。

終始水着で裸足で過ごす主人公。白と青の水着が変わる所は重要。

タイトルの「ムリナ」は「ウツボ」の事。子供の頃、海に潜って見た「ウツボ」とリュック・ベッソンの『グラン・ブルー』を思い出す。この映画の主人公同様、ジャクの現実からの逃げ場所は海。

クロアチアの新しき才能、次回作はアメリカを舞台の映画。期待大!
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