東朴幕院

べネシアフレニアの東朴幕院のレビュー・感想・評価

べネシアフレニア(2021年製作の映画)
3.9
製作がスペイン資本であるらしいが、テイストはイタリア・ジャーロ。それに加えて、社会的なテーマがど真ん中に据えられているには良い意味での意外性があり、各所のツッコミどころなんて気にならない。そもそもジャーロと認識した時点でツッコミなんて無用であるのは当然の慣習だ。
オーバーツーリズムで地元の住人たちの生活が脅かされるベネツィアは、既にニュースでも報道されて久しいが、これに対して憎悪の念を抱く謎の組織にスペインから旅行に来ていたグループが命を狙われるというのがメインストーリーだ。道化の格好した男に絡まれる所から既に恐ろしい。
また作品の作りからもオープニングクレジットが古い欧州スリラー作品を彷彿とさせるものでニヤリとしてしまう。
加えて被害者の一人をマリオネットの様に操る悪趣味さは完全にダリオ・アルジェントのそれを踏襲しており感動さえ覚えてしまう程だ。
最後の独白する下りやスペインから婚約者がやって来るのは、蛇足だったかな。そこの尺をカット出来れば更に良かったな。
東朴幕院

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