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牛のkyokoのレビュー・感想・評価

(2021年製作の映画)
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お祭り感のない今年のTIFFの一発目

ナレーションも状況説明も一切ないワイズマンスタイルのドキュメンタリーは、ルマという名の雌牛の出産シーンから始まって、とにかく牛牛牛、牛だらけ。
手持ちカメラのブレがなかなかキツいけど、あの牛の大群の中での撮影はさぞかし大変だったろうと思う(たまに突進されてたし)。

仔と過ごす時間はほんのわずか。子宮が戻る間もなくルマは次の子を孕む。交尾の夜に花火が打ち上がってるのも、産まれた仔がお父さんと同じ黒毛でデコだけ白なのも、なんだか特別のことのように思えるけれど、こんなことはおそらく繰り返しの営みの中の情景のひとつに過ぎず、搾乳機は休むことなく動き続ける。
そこにドラマが起きているかのように見えるのは勝手な錯覚かもしれない。
ラストシーンに感傷的になることがふさわしいのかどうかも分からず、ただただ呆然とするばかりだった。


感情がわかりづらい牛たちが、放牧タイムにテンションが上がるのがかわいい(仔牛たちのさらなるイヤッホゥ感も)
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