漱石枕流

ヤーラの漱石枕流のネタバレレビュー・内容・結末

ヤーラ(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ハリウッド作品には優れた実話クライムものが多い。ただヨーロッパの作品ではあまりお目にかかった記憶がない。それだけに、この作品は印象に残った。冒頭からラストまでまったく飽きることはなかった。

厳密に言うと、アメリカ映画と比較すれば数段落ちると思う。このプロットなら、もっともっとおもしろくできる余地があると感じずにはいられない。特に娘を失った被害者家族の悲しみ。それに検事や容疑者の私生活にはもっと踏み込むべきだっただろうと思う。

しかしそれでも、結末に至るまでの道筋は見応えがあった。たしかにこの検事の執念はすごいと思う。ふつうはここまではやらないだろう。聞いたこともないし、「あっぱれ!」と言いたくなる。

ただその一方で、この起訴内容には疑問も残る。

(以下、ネタバレ)被害者の下着にDNAが残っていて、四年も前のアリバイを証明できないだけで犯人と断定されてしまうのは、やはり合理的とは言えない。特に判決が下って収監されてからも当人が再審を望んでいるあたり、ひょっとして・・・? と思ってしまうのだ(事件当日にアダルトサイトを見ていたから、と言うのもえらく強引である)。

なんとなく〝これだけ税金を費やして捜査したのだから、起訴しなければ市民に納得してもらえない〟という事情が働いているのではないかと勘繰ってしまう。

よって映画としてはおもしろかったが、事件そのものはスッキリしなかった。

[ドイツ語吹替音声+日本語字幕]2022/01/13 Netflix
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