rage30

アンクレンチング・フィストのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

抑圧的な父親と暮らす女性の話。

所謂、有害な家父長親父を描いた作品なのですが、本作の親父がキモいのは娘に自分の世話をさせている事。
足の爪を切らせたり、家事も娘に任せっきりで、娘に依存して生活しているんですよね。
その癖に、偉そうにアレコレ指示するので、イライラとさせられるものがありました。
おそらくは、亡くなった母親の代わりを娘に求めていたのかもしれないし、依存していたからこそ、娘が外に出て行かない様に閉じ込めていたのかもしれません。

そんな関係に娘も嫌気が差し、脱出を企てるわけですが、頼みの兄も役に立たず、言い寄って来る男を利用しようとするも、これも失敗。
何とも気不味いSEXシーンもありましたが、あの男も体目当て…というか、娘の性格を見て「言いなりに出来そう」と思ったから、近づいただけだと思うんですよ。
DV体質の男ばかり引き寄せてしまう女性がいる様に、人が弱っている時に近づいて来る男には警戒が必要だな~と思わされます。

何だかんだで最後は親父も観念して、パスポートを渡し、娘を解放する事に。
最初から娘に感謝を表し、手術も受けさせていれば、ここまで関係が拗れる事もなかっただろうし、娘も面倒を見てくれたと思うのですが、まぁこれこそが家父長制の有害さなのでしょう。

基本的に胸糞映画なので万人には薦めませんが、90分強の短い作品ですし、娘の背中に家具が寄り掛かったり、車中から見る空を壁が覆ったり、娘に抱き付いて離れない親父などなど、登場人物の心情を映像的に表す…表現主義的な演出も面白かったです。
北オセチア共和国という舞台も含めて、なかなか見所のある作品でした。
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