リラリオ

とら男のリラリオのレビュー・感想・評価

とら男(2021年製作の映画)
3.6
1992年に金沢で発生し、未解決のまま2007年に時効を迎えた「女性スイミングコーチ殺人事件」
多く証拠がありながらも、犯人は逮捕されず、迷宮入りになってしまったこの事件⋯警察人生の中で唯一解決できず、大きな心残りになっている元刑事が東京からやってきた女子大生との出会いをきっかけに事件の再捜査を開始、闇に葬られた事件の真相に迫る。
実際に事件を捜査した元刑事西村虎男が本人役として主演を務め、現実とフィクションを織り交ぜた異色のミステリー。

冴えない女子大生カヤコは授業で偶然聞いた「生きた化石」と呼ばれる植物メタセコイアに興味を持つ。
孤立し、友達がいねぇカヤコは「生きた化石」という言葉に惹かれ、メタセコイアを卒論のテーマに選ぶ→教授「なぜメタセコイア?研究のテーマとしては終わってんぞ⋯」→「終わってるとは?」→「これ以上やっても新しいことが出てこない⋯意味が無いってこと」

カヤコはメタセコイアの生態系調査のため金沢へ→メタセコイアを採取→夜になり、おでん屋へ→金沢おでんの王様「カニ面」を注文→が、食べ方わからず⋯隣で呑んでいる男に食べ方を聞く→「カニ面知らんってことは?」→「東京から来ました⋯メタセコイアを調査しに⋯」→「メタセコイア⋯生きた化石って呼ばれる植物の⋯」メタセコイアに反応する男→「詳しいですね」→「⋯昔の仕事で⋯強烈にメタセコイアが頭に入り込んだ時期があって⋯この辺の人はみんな知っているメタセコイアが絡んだ事件があったもんでね⋯」→「事件??」
ホテルに戻ったカヤコは男が話していたメタセコイアが絡んだ事件をネットで調べる。

翌日、図書館へ→1992年10月1日の新聞を読む→図書館の帰り道、昨夜の男と遭遇→「西村とら男さんですよね?」声をかける→昨夜の男は当時事件を担当していた元刑事西村とら男であった→「私、あれから色々調べて⋯何かできないかなと思って」→「⋯酔った勢いで変なこと言ったのかな⋯未解決の事件だし、時効になってだいぶ経つから今更掘り返したところでどうしようもないよ⋯」

それは、とら男にとって忘れられない事件。警察人生の中、唯一解決できなかった「女性スイミングコーチ殺人事件」

事件に興味を持ったカヤコは、とら男をプチストーキング→「あんたに関係ない話だろ」→が、カヤコのしつこさに負ける→2人は「女性スイミングコーチ殺人事件」の再捜査を開始→まずは、地元の人に聞き込み→「未解決の事件⋯それぐらいしか覚えてねぇわ」事件は人々の記憶から忘れ去られていた。

当初の目的メタセコイアの生態系調査はいずこへ⋯事件の捜査にのめり込むカヤコ→卒論のための調査ノートは「生きた化石メタセコイアの生態」から「メタセコイアにまつわる未解決事件」へ→が、情報集まらず→「なかなか進まねぇからSNSとかで呼びかけた方が効率よくねぇ?」→「う⋯ん」乗り気でねぇとら男→が、勝手にSNSで情報収集を始めるカヤコ。
DNA研究所へ→今のDNA鑑定技術があれば解決できた事件⋯とら男は質問する→「凶器になった被害者着用のオーバーオールのつりベルトから犯人のDNAって採取できるのだろうか?」→「できるけど⋯それを調べるってのは倫理的にどうなのかな⋯遺族の方が許可すればいいけど⋯」→それを聞いたカヤコは「遺族に会って、オーバーオール借りようぜ!」と張り切る→が、とら男は「何で?それにオーバーオールは遺族に返ってないと思うよ」→「はぁ?じゃあ何であんなこと聞いたんだよ!」→カヤコの問いに無言のとら男。

ここからカヤコのプチ暴走が、始める。被害者遺族に会いに行く→が、オーバーオール入手できず→遺体発見現場目撃者に聞き込み→有力情報得られず→「犯人、誰なんだか⋯」→カヤコの的外れ推理→「⋯それはないわ⋯」とら男、カヤコの推理をバッサリ→やはり身近な人物の犯行か??→スイミングスクールの専務に話を聞きに行くが⋯「うちは一切何もしていただきたくない!迷惑だ!」→行き詰まるカヤコの捜査→ホテルのおばちゃんに相談→おばちゃんのアドバイスで閃くカヤコ。
そして事件の真相に近づくが⋯
なんと、とら男は犯人が誰だかわかっていた⋯。
「えっ?犯人わかってんの?」
「そうだよ」
「えっ?じゃあ今までの私の聞き込み捜査って何だったの??犯人わかってんのに何で逮捕しなかったの??」
怒り爆発のカヤコ⋯そして、とら男は⋯。

こりゃ⋯無念だわ。
多くの手がかりがあり、6、7割の確度で犯人だと思われる男がいたが⋯別事件の担当に回され担当を外されてしまい、犯人と思われる男を捜査対象者名簿に載せたにもかかわらず、捜査済とされ検討対象から外され⋯最後は捜査ミスで関係ない男性が犯人だというウワサが広まったまま事件は時効を迎えてしまう。
まあ、今の時代だったら秒で捕まっとるわな⋯これ。
首突っ込みたがりメタセコイア女子大生に促され、再捜査の流れは若干無理があったが、話自体はまあまあおもろかったッス。最後、とら男が犯人と思われる男に会いに行くところ良きでした(男を見つめるとら男の表情がまた良き)
西村虎男さんの演技がなかなか渋くて⋯いい味だしてました。
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