雨宮はな

ミューズは溺れないの雨宮はなのレビュー・感想・評価

ミューズは溺れない(2021年製作の映画)
4.0
なんて軽やかな青春映画。
ゆりかごに始まるスクラップ&ビルドを経て、自己認識と理解を深める主人公に注目。

作品の中の決定的な悪役がいないのが特徴のひとつだと思う。
”じぶん”を押し付けてくる教師、いや~な物言いをする同級生、稚拙な思考回路の部活メンバーはいる。
でも、彼らは決して「悪役ではない」。
それが面白さのひとつ。

「自分に軸が無い」「自分をつまらないと思っている」主人公が、他者をどうみているのかが表れていると思った。
そんな人に対して、気持ちは動かないのだ。
嫌だな、とも、怒りたい、ともならない。
いや~に感じるのは、そう感じる軸が私自身にあるからだと気づかされた。

作品中、主人公は同性からの告白を受ける。
だけど、これをただの「ジェンダー映画」と呼ぶのはオソマツだ。
それを示すかのように、主人公はただ受け止め、自分の考えを相手に伝える。
自分も他社もないがしろにしない、その対話に敬意を示す。
雨宮はな

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