垂直落下式サミング

サメデターの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

サメデター(2021年製作の映画)
3.0
オープニングは、ぷかぷかと海にたゆたうボートを撮して、そこから美しい水中撮影。青い珊瑚礁に熱帯魚!やばいサメ映画が多すぎて、サメは海洋生物だと忘れそうになるから、物語の舞台が海ってだけで感動してしまう。
冒頭の海中映像は、熱帯魚ファンは嬉しい。おなじみのカクレクマノミや、ナンヨウツバメウオ、お気に入りのオヤビッチャ、会えたら嬉しいムレハタタテダイの群れなど、かわいいお魚大集合。他にも、サメはもちろん、メガネモチノウオ、ゴマモンガラ、ニセクロホシフエダイみたいな、あんま観賞用じゃない奴らも、一緒に泳いでいるところ撮ってくれていて嬉しい。
BSとかでやってるダイビング映像って、撮れた膨大な素材のなかから綺麗なのとか珍しいのとかを編集でピックアップしている場合が多くて、それじゃあ気が利きすぎるんだよな。
ダイバーや熱帯魚ファンに向けてない作品だからこそ、海の生態系そのまんまっぽい様子が撮されているのだと思う。これは、低予算映画がその日のうちにザブンとイッパツ撮りしたか、適当に資料映像を切り貼りしたか、どっちかのやっつけシゴトでしか出し得ない味わい。
ところで本編であるけれど、当然ながら面白くはない。サメ映画としては下の中くらい。セリフとかが段取りくさい気がするけど、最低限の演劇すらできてない底辺映画をたくさん観てきたから、ちゃんと筋書きがあるだけで感激してしまいそうになる。
パッケージアートはホホジロザメだけど、嘘言っちゃいけねえよな。メジロザメだかイタチザメでした。スケールダウンした緊迫感のなさが、もうやばいよな。雑な打開策でサメを倒して、さらに驚異のオチが待っているけれど、アタマからケツまで支離滅裂だから把握しきれません。抽象概念としてのサメ(?)を理解できるかどうかが、これを面白がれるかどうかのカギになるのかも。