10円様

四畳半タイムマシンブルースの10円様のレビュー・感想・評価

3.7
 相談な物語になるはずなテーマをこれでもかと庶民的に落とし込む上田誠節が炸裂した作品でした。「ドロステの果てで僕ら」も「サマータイムマシンブルース」もそうですが、タイムトラベルが生み出すパラドックスをごく短期時間の範囲で細々とやっていて、コンパクトで分かりやすいんですよね。本作も昨日と今日を行き来するだけ。それだけなんですが、いやだからこそバカバカしくて面白かったです。このスケールの狭さが四畳半という空間的な狭さと相まって、物語に味わいを与えてくれますね😊
 あとこの作品でも藤子F不二雄先生リスペクトがサラッと出てきて嬉しかったなぁ😊

 サマータイムマシンブルースのタイムマシンはゴツゴツしたガラクタを寄せ集めたような機械で、一見何なのか分かりませんが、本作のはまるっきりドラえもんのタイムマシンで、皆さん初見でそれが何か分かってしまうというね笑

 本作はサマータイムマシンブルースの脚本を四畳半神話体系のキャラが演じる形の映画です。予習としは四畳半神話体系は欠かせないでしょう。アニメのキャラクターを崩す事なく、とても自然な流れで四畳半をやってくれています。もしかしてメインキャラクターが一堂に介してやりとりするのは初めてなのでは?このキャラクターならこんな事やりそうだよね〜なんて当て書きもマッチしていました😊

 逆にサマータイムマシンブルース自体は特に予習復習する必要なないかな?と思いました。作品の哲学というか、オーラというか、雰囲気というか、そういうものは四畳半神話体系そのものなので、こちらをオリジナル映画として鑑賞するのもアリだと思います。
 とは言えサマータイムマシンブルース自体もとても面白い映画となっていますので、キャラを見比べてみるのも良いかもしれません。

 まあ、四畳半神話体系や夜は短し歩けよ乙女のような演劇としても成立できる会話劇が苦手な人はハマらないかもしれませんけど…

 本作で一番初めに興味を惹かれたのがやっぱり中村佑介のイラストなんですよね〜
書き込んだ線の細さに立体感があり、現実的なのに幻想的な不思議な作風です。映画館でポスターが並べられている中、これだけヤケに浮いているというね…😅とてもゴージャスな感じです。
 私、恥ずかしながら本作は配信で済ましてしまいました😓たぶん円盤化はされないんじゃないかなぁ〜(セルはともかくレンタルは絶望的か?)
 
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