四畳半

イニシェリン島の精霊の四畳半のレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.6
劇場で鑑賞

1923年、小さな島に住むおじさん同士のやむにやまれぬ諍いを切なくもどこかユーモラスに描いた寓話。
キャラクター造形の巧みさと、ディスコミュニケーションが引き起こす悲劇的な展開の連続、それを的確に映すカメラワークなど総じてレベルがバリ高い。
大傑作です!

一人遊びが出来る人と一人は嫌な人の断絶の話なんだけど、お互いのそうじゃない面もちゃんと描いてて、人って本当に多面的で複雑なんだなと思い知らされる。
コイツはこういう奴だ!って決めつけてた相手の知らない面を見た時のショック(良くも悪くも)につい泣きそうになる。

本土で起こってるアイルランド内戦をある意味で傍観してるイニシェリン島が、凄く今のSNSや個人的には日本のメタファーっぽいと感じた。
最終的には人生の幸福とは?みたいな問いへ集約していくが、自分にはまだ分からない。

吉田恵輔監督の『神は見返りを求める』でもあったが、後世に残る事が立派な事なのか?という問いも結局は“人による”という元も子もない答えになってしまうけれど、やっぱりそういう事なんだろう。
正しさとかは一旦置いといて人の話はしっかり聞こう、お互いに。
四畳半

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