ちゃわ

イニシェリン島の精霊のちゃわのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.5
いつも14:00にパブでビールを飲む仲だった友人から、突然絶交したい、お前の話は面白くない、残された時間は作曲したり、静かに暮らしたい、と言われる。
しかしここは小さい島。人が集まるところでは常に遭遇するし、避けて通れない。
俺の話はつまらない?
あいつよりアホなの?
それとも奴は鬱病?
と気になりだすパードリック。
友人も過激になり、あるとんでもない行動に出る。

一緒に住んでいた妹は唯一本を読み、知的なのだが、島の人に馴染めず、この狂気に耐えきれず島を出ていく。
とうとう毎日一緒に過ごすのはロバと馬と牛だけという状態に。

男達はヒートアップしていき、ますます良くない方向へ。
しかし、互いの飼っている動物にだけは害をあたえたくないという思いが、彼らの最後の優しさのカケラなのだろう。

もう大好きなバイオリンを弾くこともできず、でもようやくパードリックという人間について、このケンカを通して分かった気もする。しかしそこまでの代償を払って得るものだったのだろうか。頑固な親父達の、変われない性格が起こした狂気と悲劇。あまりにも過激で、ブラックユーモアに聞こえてくるのが、この監督の作品の特徴。
あとからじわじわくる。
ちゃわ

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