内戦の中孤立した島、限られた知人、未来への希望という明るくなろうはずもない環境の中で、人間関係の究極を問うような映画だった。
誰だって心境の変化はあるし、それまで親しかった人間と縁を切らないといけないことはあるだろう。現代都市生活では容易かもしれないが、このような環境ではそれは軋轢しか生まない。そこで勝つものは、「優しさ」?「不安や焦り」?
コルムの「(音楽は数世紀も続くけど、)優しさは続かない。優しかった人を誰が覚えてる?」というのは結構刺さった。それに対してパードリックは、「母も父も妹も優しい。俺は妹を永遠に忘れない」と返す。自分はどう生きる?たった1人でも良いから、きちんと記憶に残る人間でありたい。
コルムもパードリックも、どちらの心情も理解できるのがどちらも不器用で苦しかった。結局救いはないのか。。。
シボーンは閉鎖的で陰鬱なイニシェリン島に絶望して本土に渡ったが、そちらの生活も覗いてみたい。都市に問題がなくて、地方がその反対、ではないはず。どちらが良いかは、、、