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イニシェリン島の精霊のTaKeiteaZyのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.7
アイルランドの孤島、イニシェリン島で過ごすパードリックがある日突然友人だったコルムにもう絶交だ!と言われて、なんでだよ!てなる話。

賞レースで偉い評価されていたので、地味な見た目に反して実はシャマラン作品みたいなカラクリとどんでんが待ってるのかと思い、楽しみしてたらディズニープラスでもう見れると。嬉しいね。実際、そんなチャチなもん(シャマランごめん)を必要とせず、こちらを惹きつける作品でした。これは響くわ。

孤島という閉塞世界で繰り広げられる、おじさん二人の思惑と、エスカレートしていくギスギス感。ここから感じられるのは、(監督も同じ境遇で過ごしていたということから)マジで島嫌いだったんだろうな、という思いですね。島じゃなくとも、田舎と捉えても、もしくは学校のクラスと捉えても、ある日突然その人間関係が変化することに戸惑いを覚えた経験は誰しもにあるんじゃないでしょうか。自分の環境や毎日を変えたい人もいれば、変えたくない人もいるわけで、まずそのツボに着眼点を置くのが素晴らしいと思いました。自分がどっち側の人間か、試験されてるような気持ちなります。

お互いどんどん吐いたツバが飲めなくなる感じは、どちらの身に自分をおいても苦しく、穏やかな島の空気と風景に反して、見る人を「早く帰りてえ...」て気持ちにさせるところはミッドサマーに近いサスペンス性があります。結構な数の映画を見ないと咀嚼し切るのは相当難しいけど、映画好きにはたまらない、ワンシチュエーションスリラーの要素もあるのが意外でした。明るい映画を期待していると、相当落ちます。ので、今相当落ちています。なんか今は友人とたわいもないバカな話をして騒ぎてえ...のなら自分は恐らくパードリック派なんだな。やんぬるかな。

追伸 5/14

数日経って日常生活しながら、この映画のテーマが想像以上に刺さることを感じているので、点数上げました。
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