ピートロ

イニシェリン島の精霊のピートロのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.1
シンプルで不条理で寓話的。
筒井康隆の中期短編にありそうな展開。
いい意味でのイライラが心地よい。
アレをドアに投げつけたときの「質感」。
主演ふたりはさることながら、やっぱりバリー・コーガンの存在感、好きなんだよなあ。

他のユーザーの感想・評価

Shima

Shimaの感想・評価

3.1
平和と退屈の狭間で生きる親友二人の行き過ぎた喧嘩を観る映画。
じゃこ

じゃこの感想・評価

3.8
親友に突然絶交を言い渡された男のお話。

めちゃくちゃ気になっとった作品。

物語はずーっと主人公が「なんで嫌われたんや」「仲直りできんかな」で苦悩する姿を描いとるんやけど、間延びせんのが凄い。

心地の良さすらある。

あと、バリーコーガンの演技が上手すぎる
たこ

たこの感想・評価

3.8
見ている間は理解し難く多少の退屈さはあるけど見終わったら確実に何かを残していってくれる良作
長年の友人にある日突然絶交宣言されるという友情の破綻を描いた作品。この主人公2人の変わっていく関係性は作中にも描かれる内戦のメタファーでもあり、別れゆく恋人の様でもある。それらの根本にある分断についての映画。
規模を大きくすれば戦争になるのだろうし、小さくすれば仲間内の仲違いになる。「何の戦いか知らないが」というセリフにもある様に大抵の争いの本質には意味がなく、それでも終わる事はない。
友情も恋愛も「指を切り落とす」様な決定的な事が起こると、それまでの関係性ではいられなくなる。言ってしまった事もやってしまった事も取り消す事は出来ないのだが、その先にあるのはどうしようもない虚しさだけなのだ。
shunsuke

shunsukeの感想・評価

4.0
スリービルボードに続き面白い脚本書くわね〜
バリーコーガンめちゃくちゃ良かった
これ笑ってはいけないんだろうけど、
2人が最終的に嫌いにはならずに済んでよかったかも。

このレビューはネタバレを含みます

アイルランドの景色が素晴らしい。

閉鎖的な村の中で唯一の話し相手だった友達から突然の絶交宣言。始めは理不尽な振る舞いにパードリックに同情したけれど、

話が進むにつれパードリックの小物さ加減とは反対に、コラムの誠実さが伝わった。

最後にパードリックがコルムの家を焼くシーン。パードリックがようやく自らの意思を持ったように感じた。
それを責めもしないコルム。

もう相入れる事はないだろうが、それぞれの人生を生きていく事をアイルランドの乾いた風が示していた。
壮絶な絶交物語。
理由があるのか、ないのかすらわからないまま、戸惑いは怒りとなる。
nubnub

nubnubの感想・評価

4.0
閉鎖的な島の人間関係と狂気
気味が悪い、でも私の中の1番奥底の濁った部分が共感を感じそうになる、固執。わからんでもない。
感情の落とし所が難しい。
賢い妹は島を出れて良かったなとしか…
ゆう

ゆうの感想・評価

3.3
静寂な町。誰もが人見知りな町。
そこに居座る不穏な空気。
静かな怒りが広がり蔓延していく。
結局、戦争や内戦はよく分からない理由から始まる。
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ピートロさんが書いた他の作品のレビュー

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4.2

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