社会のダストダス

シーフォーミーの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

シーフォーミー(2021年製作の映画)
3.0
盲目の女性がペットシッターとして雇われて留守を預かる豪邸に、3人の強盗グループがやってくる。至極単純な設定だけど、面白いオプションが備わっている。

主演のソフィを演じているスカイラー・ダベンポートさんは実際に成人してから失明したらしく、演技だけではないナチュラルな所作は見所。本職(という言い方でいいのか)の人が演じている作品は去年だと『RUN』という車椅子生活の女性のスリラーがあった、本作はカナダ産らしいけどハリウッド映画だとこういうキャスティングが増えている気がする。

ソフィは失明したことにより自暴自棄になっており、作中での行動は褒められたものではない、強盗グループがやってくる前からワインセラーの年代物をくすねて売ろうとしていた。鑑賞者に障害者だからと言って被害者視点で決めつけて見せないようにする意図があったのか。強盗達の目的を知り取引を持ち掛けようとするくらいなのであえて共感しづらいようにしている印象。ただし私は映画の中では美人は何をしても無罪だと思っているので、この点は問題なかった。

タイトルにもなっている視覚障碍者サポートアプリ(シー・フォー・ミー)、オペレーターのお姉さんは元軍人でFPSゲームのプレイヤー。遠く離れた場所にいるけど、おそらく本作で一番殺る気が高い。ただし、もっと全編に渡ってバディを組むかと思っていたら意外とそうでもない。

ソフィが元々性悪な上、強盗団のおじさん達もそこまで冷酷非道という感じではないバランスは面白かった。ただ、両者が最初に対面する場面がピークで、その際のやり取りはこの先どう転がっていくのだろうという緊迫感があったけど、そのあとは普通に追いかけっこになってしまうのが少し勿体無かった。本物の銃を触ったことは無いけど、目隠しして銃をぶっ放すのは多分本人も相当怖いことなのだと思う。