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BLUE GIANTのギルドのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.4
【音で追跡したモノリス達の切磋琢磨】
■あらすじ
仙台に暮らす高校生・宮本大はジャズに魅了され、毎日ひとり河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業と同時に上京した彼は、高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込む。ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会った大は彼をバンドに誘い、大に感化されてドラムを始めた玉田も加わり3人組バンド「JASS」を結成。楽譜も読めずただひたすらに全力で吹いてきた大と、幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈、そして初心者の玉田は、日本最高のジャズクラブに出演して日本のジャズシーンを変えることを目標に、必死に活動を続けていく。

■あらすじ
ジャズのバンドを結成した男子学生3人のお話。
ジャズ映画なのにトランス音楽のような高揚感、電子ドラッグのような感覚を追体験するのが印象的でした。

ジャズのライブ感が良いのは言うまでもないけど、荒々しくて熱くて抜きん出ようとする意思が音や曲の進行によってトランス音楽の積み重ねみたいに駆け上るのがカッコよかったです!
自己表現で内面の殻を破る姿を音で伝導して、ドーパミンが流れるような感覚を体験する意味で面白い映画だと思います。

ジャズを通じた青春映画ではあるけど、チャゼルの「セッション」やノーランの「インターステラー」にキューブリックの「2001年 宇宙の旅」などジャズ映画とSF映画を混ぜたような作品なのも面白かったです。
メンバー全員が他者の進化を促す"モノリス"であり、3者3様のモノリスが互いに互いを自己研鑽してレベルアップしていく「2023年宇宙の旅」のような高揚感も覚えました。

ただ個人的にはプレーヤーのレベルアップで観客の反応を何回か見せる姿はお節介で涙が引いてしまって勿体ないと感じました。
音や音の表現・演出だけでプレーヤーの上手くなる凄みを見せれば良かったけど、それに対して「この曲は凄い」という反応をチラチラ見せるのはテンポを崩した感がします。

とはいえジャズ映画でトランス音楽やSF映画要素を混ぜる面白さを現出したのは独特で面白かったし、重低音を効かせた伏見ミリオン座で観る映画は格別で良かったです!
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