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ラブ・ハードのdalichokoのレビュー・感想・評価

ラブ・ハード(2021年製作の映画)
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クリスマスに見る映画、というジャンル。ネットで出会う虚実をドラマチックに描く。
話の筋はともかく、アメリカのある家庭の包容力をにじませる。特に中国系の男性の家族は、それぞれが個性的で、嘘を取り繕ってそれがばれたときでも混乱しない。彼が父親のスポーツ店を継がないと決意したときもそれを許す。本当にこういう家庭がスタンダードかどうかは定かでないが、お互いが個性を尊重するという部分にジンときた。
ラストは彼女が文字で彼にメッセージを贈りハッピーエンドとなるが、このシーンは劇中でちらりと紹介される『ラブ・アクチュアリー』のキーラ・ナイトレイの出ているシーンを重ねている。

タイトルの『ラブ・ハード』は、『ダイハード』がクリスマス映画かどうか、ということと重ねている。個人的に『ダイハード』はクリスマス映画だと思う。クリスマスにぬいぐるみを持って妻と子供に会いに行く主人公がテロ事件に巻き込まれてゆく映画だが、ある意味でこのドタバタ映画も似せている。

クリスマスなどイベントに合わせて誰かとの繋がりを意識して焦る、という設定に新しさもないし、中華系の家庭がこれほどクリスマスを大げさに祝うものかどうかわからないが、世の中が浮かれてゆく状態が映画の世界でも幾度となく繰り返される。これはもはや宗教的な心情ではなく、商業的な宣伝に無意識に焦りを呼び起こされる傾向を示しているようにも感じる。
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