らんらん

乱れ雲のらんらんのレビュー・感想・評価

乱れ雲(1967年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男監督作品、司葉子、加山雄三主演のメロドラマ

幸せな結婚生活、お腹には子供も出来てこれからって時の交通事故による夫の死
轢いた相手は不可抗力が実証され無罪、せめてもの謝罪にと毎月いくらかのお金を支払う事で決着した

女一人の生活では苦しく身も心も疲労した中で、故郷の旅館で働き始める司葉子
事故が原因で恋人と別れ、会社からも左遷される青年加山雄三
男を憎む女と謝り許しをこう男が出会いを重ねるうちに変化する心情を描く、青森十和田湖の景色を背景とした物語

「東宝創立35周年記念作品」、であり成瀬巳喜男の遺作と2つも冠がついてる作品
見たの初めてだと思うだけど所々既視感、成瀬作品ってこういう系多いからかなー

ストーリーも演出も出演者もみんな良かったです、もう流石って感じのうまさ
加山雄三と浜美枝の別れのシーン、カーテンを閉じる女とそれを開き直す男、そして鍵を置いて出ていく女、この何も語らないけど全てを語るようなシーン良かった

あとはラストのほう、ラホール(初めて聞いた地名!)転勤直前の加山雄三の下宿を訪ねる司葉子
相当な覚悟と勇気で駆けつけたんだろうけど、道中のタクシーと旅館の窓から見た光景でまた変わる心情、ここも一切言葉を交わさないけど語ってるとこですよね

結局お互いに過去の黒い影を振り切れないってことだと解釈、これからも何かある度にどうしても思い出して微妙な空気が流れる、そんなの幸せじゃないものね

主演の2人良かったです
誠実に対応するが拒絶され憎まれ苦悩する加山雄三、その後見せる弱さや子供っぽくおどけて見せたりするところなんかも好き、それに対し少しお姉さん的な態度な司葉子もかわいくて良かった
脇でも森光子、草笛光子あたりは流石の演技と存在感
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