耶馬英彦

デリシュ!の耶馬英彦のレビュー・感想・評価

デリシュ!(2021年製作の映画)
3.5
 コメディではあるが、フランス映画らしくエスプリが効いていて、権威や権力を笑い飛ばす。とてもスカッとする作品である。

 とにかく映像が大変に美しい。特に、舞い散る秋の枯れ葉が冬の雪に変わるシーンが見事で、思わず見とれてしまった。素晴らしい映像技術だ。
 調理のシーンではクラシルのレシピ動画みたいな真上からの映像も交えていて、大変わかりやすく、しかも美味しそうに見える。

 フランスは哲学の国だが、食欲や性欲を肯定する。性欲の延長であるファッションでは世界の最先端を譲らない。料理にも哲学があり、文化の一端を担っているという誇りを持っている。
 本作品にもその側面が垣間見える。料理人に対する尊敬が感じられるのだ。美味しいものを食べて、性の快感を堪能して、束の間にすぎない人生を楽しもうとする。そういう態度を大っぴらにしているものだから、もはや爽快だ。たまには人生を力強く肯定するのも悪くない。
耶馬英彦

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