開明獣

デリシュ!の開明獣のレビュー・感想・評価

デリシュ!(2021年製作の映画)
5.0
うみゃし!!(スキウサギ調)

フランスの風光明媚な風景に、美味しそうな料理の数々と料理にまつわるドラマ。今年観てよかった作品の一つです。

昔、昔、大昔、開明獣が倫敦に仕事で駐在してた時は、パリ出張は日帰りが殆どだったのよ。東京ー大阪みたいなもんですな。朝5時に起きて空港駆けつけて、始発便に乗って、3件、4件、取引先と商談して最終便で戻って帰りにオフィス寄って、帰宅する頃はもう夜中の2時、3時なんてざらだった。でも別に強制されてた訳じゃないし、楽しかったんだよね。充実してたというのかな?

しかし、年に一回、本社から役員が来る時は別。向こうのCEOクラスの出席を頼んでいるので、殺人的スケジュールの中、昼も夜も、会食絡みになるんだけど、3日間の滞在中、昼、夜、昼、夜、と4回もフランス料理が続くと、もう胃もたれしまくって日本人はギブアップ状態ですがな💦だから、ホテルは朝は当時は和食メニューがあった、ホテル日航ド・パリか、コンコルド・ド・ラファイエットにしておりました。

お取引先のCEOクラスの方は大抵、割と年のいった方で、勿論、親切心で正統派フレンチを選んでくれるのですが、バター盛りだくさんが連投になると、こってり、ぼってり、げんなーりなんですなあ😭醤油味が無性に恋しくなりますです🥺

驚いたのは、大抵の方がミシュランを信じてなかったこと。「あんなのは、観光客向けのもの。私達がお連れするのは、ミシュランなんかには載ってない極上のお店ですよ!」というのが、当時はステータスだったみたい💦今は知らんけど🤔

そして、開明獣は大いに恥をかく!!前にもどこかで書いたかもしれないけど、私のような田舎出のジャパニーズ・ボーイ(当時)が、高級フレンチのプロトコルなんかしる由もない!!加えて私の上司は、習うより慣れよ、恥かいて覚えろ系の人だったので、お客様の失笑買うこと数知れず🥺

・ちゃんとしたレストランでは、ジャケットは脱がないのがエチケット。シャツは下着から派生したものなので、見せるのは失礼ということらしい。初めてのパリの高級レストランで、着席前に脱ごうとして、ギャルソンにたしなめられました。いけず!!😭

・高級レストランでは、当時は食前酒にビールは置いてないところが殆ど。「ここはアメリカではないので」とギャルソンに慇懃無礼に言われたこともある。泡ものか、キールか、シェリー酒などを頼むのが普通らしい。いけず!!その2😭

・フランスのシャンパーニュ地方で作られた炭酸入りの葡萄酒だけをシャンパンと呼ぶ。イタリアだと、スプマンテが、スペインだとカヴァが有名だが、シャンパン以外は全部、スパーリング・ワインで括られる、というか、高級店だとシャンパン以外は置いてない。一度、そんなに職位の高くないお客様へのお土産で、カヴァを持っていったら(だって、安いんだもん💦予算ってもんがあるんだい!!)、思い切り嫌味を言われたことがある😱 いけず!!その3😭

・チーズはデザート。正確には、メインとデザートの間に供されるものだが、前菜で頼もうとすると、シェフが20回くらいでんぐり返しして驚いてくれる。もっとまわれやー!!😡

・これは、レストランではどうしようもないけれど、ご自宅にお呼ばれした時に起こりうること。
食事の後に、では、とっておきの一本を開けましょう、と、長く熟成された銘酒を供されるとなった時に、「青黴とかウォッシュとかのチーズがあるといいですねえ」なんて言ってしまって、かるーく微笑まれました。出てきたのは、薄味のポテトフライとナッツ。

ヴィンテージもののグラン・ヴァンは、濃い料理とは合わせない。繊細な味と香りを料理が殺してしまうから、だそうです。これは納得🥳

とまあ、色々勉強になりましたよー💦なんじゃかんじゃ、苦労したなー☺️

閑話休題

あちらの会食はとかく長い!!昼からワインも軽く出て(グラス程度)2時間、夜はスタート遅くて8時からとかで、3、4時間はざらなのですよ😭

接待で現地で高級フレンチ行きました、って、いいなー、と思うかもしれないけど、仕事だと拷問ですぜ!!神経ずっと張り詰めて、第二外国語を話すので、酔わないように気配りしながら、かつ商談の席でもあるので迂闊なこと言えないわ、油断も出来ないわで、味なんかとてもとても覚えてられないのです!

なーんてことを、この映画の主人公、マンスロンは思いもしなかったろうなあ。まさか、極東の島国の人間が、フレンチをビジネス・ツールとして活用するようになる時代がやってこようとはね!

18世紀の終わり、フランス革命の頃が舞台の本作では、貴族の愚劣ぶりが描かれてるんだけど、日本の国会議員も変わらないなあ、と、つくづく思いました。領収書のいらない経費が1億円も使えるなんて異常だよね。それで銀座のクラブとか行ってるんだもん、国民を馬鹿にしてるとしか思えない、ぷんすかぷん💢

おっとっと、気を取り直して、いくつかトリヴィアおば。

本作に名前の出てくるワイン🍷、ジブリ・シャンベルタンは、ブルゴーニュの北、コート・ド・ニュイの村の名前で、シャンベルタンという、ナポレオンが愛したという特級ワインが有名。力強くがっしりした作りの葡萄酒でございます😊

劇中に出てくる、チーズ、ロックフォールは、フランスの青カビチーズ。イギリスのスティルトン、イタリアのゴルゴンゾーラと並ぶ、世界三大青カビチーズの一つ。フルムタンベールもフランスだと有名だけどね🧀

なーんていう、蘊蓄を鑑賞後にワイン傾けながら語る相手が欲しくなるような秀作でした。わざわざ、大嫌いな日比谷シャンテまで行った甲斐があったなあ。これは地味ながら、よい映画ですよ!自信持って、おススメします。あ、でもご鑑賞は自己責任でねー💦

マンスロンはおデブでハゲなのにモテるんだよねえ。開明獣は、お腹出てるけど、マンスロンほどじゃないし、ハゲじゃなくて自分で剃ってる坊主だから、マンスロンよりモテたっていいじゃないかー!!開明獣のルイーズはいずこに??一緒におでん🍢屋やろーぜい😌

当初はノーマークのスルー決定だったのが、フォロワーのミサホさんと、しれちゆさんのレビューに刺激されて鑑賞。御両名に深謝!!
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