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アンデス、ふたりぼっちのMALPASOのレビュー・感想・評価

アンデス、ふたりぼっち(2017年製作の映画)
3.9
映画『アンデス。ふたりぼっち』

素晴らしい映画。ドキュメンタリーとフィクションの融合した作りも新鮮。

ペルーでは大ヒットした映画。アカデミー賞2018国際映画賞ペルー代表。

時々ドキュメンタリーかと何度も錯覚しながら観る。

アンデス標高5,000メートルを超える山に二人きりで暮らす老夫婦ウィルカとファクシ。登場人物は2人だけ。
羊とラマを飼い、自給自足の生活を送る。息子は街へ出て行ったまま、何年も音信不通。赤ん坊で亡くなった我が子のミイラが天井から吊るしてある。

母なる大地のパチャママに祈るアイマラの儀式が登場する。良い事も悪い事も神様のせい。だから神に祈ることで希望を捨てない。

マッチを買うために、山を降りて街に出るのも年老いた身体では不可能になってきた。
飼っていた犬と羊が狐に襲われたり、悲劇が2人を次々と襲う。

監督は34歳という若さで亡くなったオスカル・カタコラ。これが初の長編で遺作。監督自身が幼少家一時期を過ごした標高4500メートルに住んでいた祖父母との生活から着想。
『ブータン山の教室』でも同じような気持ちになった。自然と共存しながら高山で暮らす人々。これも文明である事は間違いない。だけど、我々の生活と比べると、不便で命の危険さえ感じる。でも、こういう映画は生きるとは、人の一生とは何かを考えるいい機会になる。

これは監督の先住民を放置し続ける国家へのメッセージ。
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