くるみ

ラーゲリより愛を込めてのくるみのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.3
予告の動画がすごく感動的で、公開前に繰り返し何度も観ていたのですが…正直ほぼ予告通りの展開でした。笑
もちろん本編でも涙しましたし、鼻もズビズビしましたが、最近の映画ってほんと予告で見せ場を見せすぎというかなんというか。
ちょっと『永遠の0』と似てるような気もしますが、(さすがに予告動画では明かされていない)最後らへんの展開がよかったです。
あと主題歌の『Soranji』がすごくいい。
聴いただけで泣けちゃうくらいいい。
“ソランジ” ってどういう意味だろう?と思って調べてみたら、”諳んじる"っていう日本語からきていたのですね。
ラストまで観た後にこの歌の意味を知ると、曲に込められた想いの深さがわかります。

私はケンティー推しなので、本人が望んでいた “主役ではない” ケンティー(しかも丸坊主)が見れるのをとても楽しみにしていました。
登場シーン、煉獄さん並みに声がでかくてビックリ。
戦争モノなのに妙にテンションが高いというか異質な感じがして、始めはちょっと違和感があったのですが、"戦場を体験していない漁師の青年" という彼の生い立ちをしっかり理解して自分の中に落とし込んだ上での役作りだったんだなと納得。
彼の笑顔と明るさが本作の救いとも言えます。

主演のニノさんや桃李くんはもちろんのこと、ヤスケンや浦ちゃんもよかった!
彼らの心の傷を和らげるようにそれぞれに与えられた終盤の役割も素晴らしい。
あと、北川景子さんが最高にチャーミング!
モジミさんのおっちょこちょいなところや決して希望を捨てない芯の強さが愛おしくて、彼女の手紙のシーンで一番涙が込み上げました。

ケンティーの笑顔と同じくらいこの作品の癒しだった犬のクロも大変可愛らしいです。
人間が家畜並みの労働を強いられているのに病室に入れてもらえてるところとか、「え、船を停めてまで⁈⁈」と疑問に感じるところもややありますが、可愛いので万事OKです。
他の方も書かれていますが、クロが死んだり傷つけられることは一切ないので、そこは安心して観ることができます。
(追記 : クロの描写は脚色強すぎって思ってたけど、実話らしいです!実際に流氷の上から船に引き上げられている写真が公開されていてビックリしました)

戦争モノは夏のイメージが強いですが、寒さの厳しいシベリアでの抑留生活を描いた作品なので、この時期の公開も合っていると思いますし、ウクライナ侵攻の続く今の時世に公開されたことにも意味があるように感じました。
決して楽しい作品ではないけれど、平和に慣れきった今の人々に "観てほしい" そして "観るべき"作品だと思います。
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