まずミセスの｢Soranji」が好き過ぎるので見る前から印象の良い作品。唯一の懸念は瀬々監督が役者さんたちにどんな演技をさせるかだったのですがその辺ほとんどノイズなるようなことはなく、じっくりじっくりと紡がれた瀬々監督本領の人間ドラマをただ只管に染みて観ることができた。瀬々監督の作品には今までいまいちハマりきれてなかったけど、これは大当たり。
正直(嬉し涙に激弱なので)涙を流したのは相沢からモジミが遺書を受け取るシーンくらいだったけど、「良いモノを見ている感」が涙を抑えて全身に染み込んできた。やっぱこの辺りの人間ドラマの作り込み、演出は流石の瀬々監督だなぁと。時間をかけて山本幡男という1人の人間を形造り、それと同時に山本に突き動かされる周りの仲間たちを、バックボーンを適度に描きながら血の通った人間として描出する手腕。これに役者陣の完璧な演技が上乗せされて文句のしようがない程の良くまとめられた作品の作り上がり。ある程度大げさなところも許せてしまう。気になるのはたまにでてくるCG感くらい。(北川景子が流石に美し過ぎるのと、地に伏した悲鳴も個人的に△)
ニノの演技も素晴らしいけど、やっぱり松坂桃李の圧倒的に自然な演技の存在感と場が締まる安田顕のオーラが凄まじい。キャラとしてメリハリのある桐谷健太、重さを中和する中島健人も人間ドラマを紡いでいくうえでとてもちょうど良い配置。主要5人が本当に素晴らしかった！
なかなかに重い物語ではあるけれど、エンドロールの「Soranji」が希望を持って適度にココロを上向かせてくれます‼︎
