希菜まな

ラーゲリより愛を込めての希菜まなのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
4.2
「戦後、日本人はシベリアに抑留されていた」
この一文を知っていた。でも、理解していなかった。

目を背けたくなるような現実が次々と描かれていて、本当に辛かった。
その中で、人々に生きよう、生きようと声をかけ続けた山本さんを決して聖人として描くわけではなく、時には心が折れそうになりながらも自分に言い聞かせるように「生きよう」と希望を持ち続けた1人の人間として演じ切ったニノは山本さんが本当にそこにいるようでした。
松坂桃李、安田顕、中島健人、桐谷健太もそれぞれの役割を見事に演じきり、当時一人一人どのようにラーゲリで思い、過ごしたのか、本当に一部の人ではあるが理解することができた。
北川景子も好演だった。モジミさんが子供だちの前では母の顔をしているのだが、その直後に庭で泣き転げる時には妻の顔になっていて、一緒に私も泣いた。

戦争の悲惨さはもちろんのこと、それでもこんなにも愛に溢れた人たちがいたことも事実。そしてその気持ちは普遍的なものであり、私たちにも通ずるものであると身近に感じられた、遠い話ではなく自分のこととして考えられるそんな素敵な作品です。
希菜まな

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