まるか

ブラック・フォンのまるかのレビュー・感想・評価

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
4.0
敬愛するブラムハウスとこの不恰好で不気味なマスクに魅了され劇場へ
その中身は良い意味で期待を裏切る、よくあるホラー映画のそれではなかった!

たしかにホラーというジャンルではあるけれど、そこにある恐怖はお化けや殺人鬼というよりは”少年”が体験する”大人”の圧倒的な力だと思う。
たとえいじめっ子を打ち負かす強い少年であろうと、ナイフ相手に躊躇いもなく叩きのめす少年でも、大人の力の前では屈するしかない。
その大人が不気味なマスクをつけ、表情もわからず、”遊び”と称して少年たちの命を弄ぶのだ…。
そういった恐怖はフィクションではない。
それも舞台である70年代のアメリカは、実際に子どもの誘拐事件、殺人事件が当たり前に日常に潜んでいた時代だ。

この物語では、殺人鬼であるグラバーの背景はあまり描かれない。
観終わった後は、どうしてそんな行動に?なんでバカげたマスクを?とグラバーの背景を考察してしまったけれど、あの場で捕まったフィニーにとって最早そんな問題は重要ではなかった。
マスクはあくまでイメージで、実際に自分があんな目に遭ったら相手がそう見えても仕方ないだろう
何しろ理解に及ばない存在なんだ…

そしてこの物語が印象的だったのは、なんと言っても兄妹愛がベースとしてしっかりとあったからだ
ただのホラーではなく、そういった抗えない恐怖に対する圧倒的な子どもたちの絆や想像力がとても輝いていた。

PS.原作はスティーヴン・キングの息子
ジョー・ヒルだったのか…!
風船やレインコートはイースターエッグみたいなものかな?
まるか

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