きーー

カッコーの巣の上でのきーーのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.4
閉鎖的で色々な意味で狂気的な空間で、自由に生きることを求めるマクマーフィを演じるジャックニコルソンの秀逸な演技力が光る作品。
底抜けに明るく、自分勝手で、自由な男、マクマーフィは大きな男だった。
たった1人の明りが、周りを巻き込んで大きな明かりを作る、そんな感じの作品。

予想もしなかったラストは、マクマーフィ、チーフにとってそれぞれの意味で、虚無からの解放。
無味無臭な日常、秩序と規律から飛び立ち得た自由はとても美しく、明るく、けれど、それ以上に暗かった。

猿山の大将として患者をねじ伏せる婦長は、終始悪として位置付けられているが、彼女をただの冷酷無比クソババ婦長として捉えるのでは物足りないと感じる。
「(主人公を)転院させるにも、送還するにも、問題を押し付けているだけであり、解決にならない。ここで監視する。」ここに、婦長なりの筋や、責任をもって婦長を務めている強い人間としての婦長を感じた。ただ、婦長は患者たちを本当の意味で救うには強すぎた、固すぎた。閉鎖的な空間で、秩序に強迫され、常人を務めすぎたせいで、人間性を忘れた"きょうじん"になってしまったのではないか…。
毎日の同じ事の繰り返しを甘んじる患者たちよりも、誰よりも自由を忘れてしまった人間だったのでは無いかと思う。

連想作品
17歳のカルテ、ショーシャンクの空に、今を生きる

単語で表すなら
自由奔放
きーー

きーー