ほーりー

カッコーの巣の上でのほーりーのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
3.8
前回取り上げた「チャイナタウン」の翌年にジャック・ニコルソンが出演した「カッコーの巣の上で」。

「イージー・ライダー」で注目されて以降、下積みの長かったニコルソンがついにハリウッドの頂点に立った作品である。

刑務所から精神病院(カッコーの巣)へ移送された患者マクマーフィー(ニコルソン)。実は労働刑が嫌になったので精神錯乱を装っていた。

これで誰からも束縛されずにすむと思ったマクマーフィーだったが甘かった。その病棟は冷徹な看護婦長ラチェッド(ルイーズ・フレッチャー)の支配下になっていた。

患者たちを全て自分の管理下に置こうとするラチェッドのふるまいに見かねたマクマーフィーは患者たちにギャンブル、スポーツ観戦、海釣りをやらせて元気付けようとする。

マクマーフィーの影響で徐々に活気が戻っていく患者たち。しかしある日、一人の患者が騒動を起こしてしまい、患者を無理に拘束しようとした職員に楯突いたマクマーフィーとネイティブ・アメリカンのチーフは電気ショックのお仕置きを受ける。

その際、マクマーフィーは聾唖者のチーフが実は口のきけないフリをしていることを知る。自分と同じ詐病で入院したチーフと意気投合した彼は病院からの脱走を持ちかけるが……。

まず主演賞に輝いたニコルソンとフレッチャーの演技が迫真である。

単純なところで私は驚いてしまうのだが、ニコルソンが電気ショックを受けてる時は本当に電気が流れているように思えたし、フレッチャーが首を締め上げられている時は本当に息ができないでもがいているように思えた。

ストーリー自体は決して明るくないのだが、要所要所で盛り上がりがあるので、観ていてふさぐ気持ちにはならない。

みんなで脱走して海釣りに出掛けるシーンの楽しさったらない。

本作は精神病院の非人間性を批判した映画ではないと作り手も述べているがその通りだと思う。

私は父が特養に入っていたし、同級生がデイサービスの施設長をやっている関係もあり、何となくと施設側の言い分もわかるような気がする。

それは施設側としては預かっている手前、入所者にアクティブに動かれて事故が起こった場合、責任が取れないのである。

なので、できるだけ大人しくして過ごしてもらおうとする心理はわからないわけではない。それが利用者の活気を奪うことにも繋がるのだが……。

脇役にはクリストファー・ロイドやダニー・デビートがいるのだが皆若い。重要人物であるビリーを演じたブラッド・ドゥーリフも若すぎて誰だかわからない。

ちなみに本作の製作はマイケル・ダグラスが担当している。これは原作を最初に舞台化した時の出演・製作が父のカーク・ダグラスで、映画化の際に父親から権利を譲渡されたから。

この映画の大成功を機に製作者マイケル・ダグラスの名が世に出たわけで、俳優としても大活躍するのはこの後である。

■映画 DATA==========================
監督:ミロス・フォアマン
脚本:ローレンス・ホーベン/ボー・ゴールドマン
製作:ソウル・ゼインツ/マイケル・ダグラス
音楽:ジャック・ニッチェ
撮影:ハスケル・ウェクスラー/ビル・バトラー
公開:1975年11月19日(米)/1976年4月3日(日)
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