これはドキュメンタリー映画です。
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田口監督が「サブテキストとしてこれを見てほしい」と言っていたのが、こちらの動画。
どのように撮影されていたのか、出演者たちのこの映画に対するリアクションやその後が語られています。
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田口清隆監督、過酷な“出演”の裏側!?『12人のイカれたワークショップ』生インタビュー|シネマトゥデイ・ライブ
https://youtu.be/FWfXEvbP0P4
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この映画の撮影が2018年。公開が2021年。
映画界のワークショップ内でのハラスメント問題が明るみなったのが、2022年3月。
同月即座に、是枝裕和、諏訪敦彦、岨手由貴子、西川美和、深田晃司、舩橋淳によって
「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します(https://action4cinema.theletter.jp/posts/877aa260-a60c-11ec-a1bd-3d3b3c9fc3bd)」
という声明が発表され、映画界からも広く賛同を得て、対策やワークショップ運営の改善が急がれています。
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AKBドキュメンタリー映画でも「いかに演者たちに負荷を掛けるか」が肝になっていました。
その負荷のおかげで演者が輝いたりもするし
わかりやすくエモーショナルな物語が作れるってことで、多用されてきた技法でした。
が、作り手も見る側も疲弊したんでしょうね。。
衰退しましたね、この技法は。
エンタメとしての「負荷掛け」は衰退したけど、
ワークショップとしての「負荷掛け」は生き残っていた、と。
成果が感じられやすかったんでしょうね。
殻を破った感や成長した感を、双方感じられたのでしょう。
ただ、上記の動画でも田口監督がおっしゃているようにやはり「負荷を掛ける方もダメージを受ける」と。
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性被害やハラスメントをしちゃうようなサイコパスだったらやってる本人はダメージを受けないんだろうけど、
普通の感覚を持っている人ならやはり人の傷口を抉る行為は疲れるわな。。
なので、性被害などのハラスメントが明るみになったってこともあるけど、技法として「負荷掛け」は衰退していく運命だったんだろうな、とこの映画を見て思いました。
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さて、この映画の感想
一番殻を破れてなかった方がビームを出す瞬間に泣いちゃいましたよ。落涙しました。
俺もビーム出したい。
自分がただの観客でいられないという点で面白かったです。見てる側もダメージを喰らう。。
12人もいるし、それぞれの吐露する言葉のいくつかは刺さってしまう。
上條つかささんの
「越えなきゃいけない壁があるってずっと思ってたけど、それは逃げだった。そんな壁なんてなくて、ただ日々やるべきことをやるだけだった。」的な言葉が、
ものすごい刺さっちゃて。。。。
あ〜も〜、残念なことに日々コツコツ努力し続けるしかないってことを流石にそろそろ受け止めなきゃいけないんよね。。
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みなさん演技が素晴らしい
と思いました。
よくあれほどの集中力で体力気力で怪演し続けられるものですね。。
このエネルギーはお金出して見る価値のあるものでしたよ。
あのラストのどんでん返しというか、もうひとくだりは、
ちょっとバラエティー番組っぽかったですがあれ(青柳さん出演パート)がないと、確かに映画としてのカタルシスはほぼなかっただろうな、と思います。
最後B'zのウルトラソウルみたいな特攻が発動するんですが、そのバカバカしさは楽しかったです。
あ〜所詮映画だよね、と。いい意味で。
あの特攻で「すご〜い!」とはしゃいでジャンプした俳優さんが1人いましたが、あれも自然なのか、ナチュラルに演技しちゃったのかわかんない感じが面白かったです。
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疲弊はします。
この映画を「面白い」と感じても「面白くない」と感じても、どちらにせよ疲弊はすると思うので、体調や気圧と相談して観る事をお勧めします。