YSK

12人のイカれたワークショップのYSKのレビュー・感想・評価

1.2
演劇系のワークショップに集まった演者たち
卒業課題となるSFホラー作品を経て、彼らはどうなってしまうのか…というお話

先に言ってしまうと非常に気持ちの悪い作品です、もちろん悪い意味で
まるで舞台俳優くずれのような役者モドキたちが、自己実現や自己表現といった綺麗ごとを抜かしながら見ていられない演技を繰り返し、見たことも聞いたこともないような演出家がダメを出す

なんてことは好きにしたらいいのです、お互いプロでもなんでもないしワークショップなんて人生もかけずプロにもなりたくない甘えん坊がちょっといつもと違う自分を演じるためだけに存在するものですから

じゃあ何が気持ち悪いのかといえばふたつあり
ひとつは卒業課題作品のSFホラー
とある小学校の卒業式当日、6年生を担任していた主人公だったが不気味なチャイムの音とともに生徒は姿を消し教師たちは主人公らを襲いだす、その裏には「上位存在」の存在が見え隠れし…というお話はともかくとして、肝心要の「上位存在」なる者にたいし出演者が一切の疑問を挟まずそして誰も説明をしないせいで、せっかく出演者たちが皆自分らの熱い演技に酔いしれているにも関わらず、「上位存在って…何?」と開いた口が塞がらない我々と多大な温度差が生まれ季節外れのハリケーンが発生してしまっていました

そしてふたつめが卒業課題の先にある卒業式
極限の極限まで精神的に追い詰め、知恵や知識あるいは頭で描いた演技の全てにダメを出し続けることで価値観を揺さぶり「演技」と「本能」の境界が曖昧になったところで世界観を根底から覆し、「既存の殻を破った、一歩先へ足を踏み出した」新しい自分を生まれさせるって演劇をやっている人にはよくあることなのかもしれませんが、その世界にいない人から見たらブラック企業やカルト集団の洗脳と何一つ違いがないような気がするわけです

もしかしたら世界のどこかに刺さる人はいるのかもしれませんが、何だったら刺さる人すら気持ち悪く感じるくらい気持ちが悪い作品でした
まあ洗脳のお手本としてはちょうどいいんじゃないですかね~
YSK

YSK