二瓶ちゃん

ボイリング・ポイント/沸騰の二瓶ちゃんのレビュー・感想・評価

3.9
ワンカットなのが気になって鑑賞。

沸騰寸前なのが謳い文句なんだけど、「沸点」ではなく「沸騰」。もうドカーンと爆発しちゃってしまう映画なのだ。

だからにはストレスみたいな爆発する要因があるんだけど、それはイライラというよりドキドキ、ヒリヒリした空気感の中でなんとか回されていくお店を覗き見しているだけなのにドキドキ。

ジェットコースタームービーとはよく言ったもので、一種の体験型アトラクション。同じアトラクションだと「由宇子の天秤」よりはショックは少ないが終始張り詰めている。しかもワンカットだからこちら側としても休む暇なんてない。だから観客もしっかり疲れさせる映画という意味でアトラクションなのだ。

個人的にはヘロイン吸ったジェイクくんがどうにかならないか、あと7卓の客の黒人ちゃんへの横暴な感じが怖かったしリアルだった。

やっぱ接客バイトとか経験した人だと、オーナーよりも従業員にドキドキしちゃうかも。

カメラを止めるなはインディーズ感に振り切っていたワンカットだったけど、こちらはカメラが回りながらも役者が堂々としていて、それでも物語として成立しているから素晴らしいと思う。

冒頭の衛生関係者の話から始まり、手洗いや、カキのミスあたりから、オーナーが家庭のことも考えているっていうらへんから、この人もう限界なんじゃね?とは思っていたけど、なるほど。そういう結末なのね。

マジドキドキして見終えた後疲れちゃってコンビニでドリンク買って帰った。だけど、エンディングのいかにも静かでlo-fi な音楽を劇場で聴けたことにより若干のリラックスもあった。この忙しさでは流石に抜け出すのは変だと感じたが店から定期的に出てくれるおかげで映画としての緩急も生まれていたと思う。ワンカットで実際の人生を体験している感じがして疲れるが、いい。ということでこの評価。

記憶の中の従業員まとめとく
留守番電話でパパに泣きつくオーナー、子供の水泳大会の結果を仕事中に聞くシェフ、オーナーに完璧なバトルを仕込んだ女の人、フランス訛りの英語がかわいい女の子、ずっとカキを愛撫してた男の子、オーディションで遅刻したかわいい女の子、レモンクリーム作るリスカしちゃってた男の子、その男の子を抱きしめてあげるおばさん、妊娠してるのに多分皿洗いして大変そうな女性、ヘロインサッカークソ野郎。

私もバーで働いていますが、まぁ、お客さんのほぐれた表情を前にして、思考は険しくなっていたりしますよ笑