zakicoさんの映画レビュー・感想・評価

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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毎朝決まった時間に起きて、
いつもの身支度をして家を出る
同じ道の同じ場所、規則的な男の生活と仕事
偶にそこにほんの少しの変化が訪れる

半世紀をゆうに生きた男を振り返れば、
きっと折り合いのつけられ
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

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ここから始まる、壮大なアイヌの金塊強奪劇

欲も願いもすべては金を手にしたものが叶えられる
雪深き北の大地、ときに命がけで食にありつく、
その命をまた奪い合うことで循環するよう

悲しい過去も消せない
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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きっとその世界は交わることはなかった
年齢も立場も全然違う2人。

心を震わす歌を前に人は争うことができなくなるのだろうか、そのときだけはともに青春に触れることができるのだろうか。

青春には終わりが
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ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

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役者として
役がなければ役者ではいられない
仲間であっても、ときに奪い合うことになる
役者である以上は役を自分に引き寄せなければならない。

仲間として、友人として、想う者として在るとともに、役者であ
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

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現実と虚構、
その境目がなくなっていく恐怖
終わらない悪夢に侵蝕される。

アイドルはアイドルであれ、という、
アイドルこそが夢でなければいけないこの世界で、
夢にまっすぐであるほどに、行き場をなくし
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

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面白いか面白くないか、求めるのは笑わせること、それが全て。

文字通り身を削り、精神をすり減らし、
痛み苦しみ、それでも笑いに向けられる衝動は狂気そのもの。

お笑いに向ける熱と魂に、ほんの少しの器用
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ミツバチと私(2023年製作の映画)

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ありのまま生きること
自分がどう在りたいか、自分自身を知っていくこと
そして、子どもに芽生える意思を受け入れようとすること

親と子、ひとりのひととひと、
それぞれの葛藤に、夏の日はじりじりと容赦なく
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

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食べることは生きること
生きることは創ること
ここには創造と芸術がある

妻であり、料理人
繊細で緻密に計算されたひと皿ひと皿が、
幸福な時を刻む

料理人であり、妻
その生涯はその幸福な時の重なりに
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

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夢を信じる者は強い
彼のチョコレートは、ただ甘いだけではなくて、
ただ美味しいだけじゃなくて、
口にする人たちを幸せにすることができる
唯一無二、世界一のチョコレートだ

母譲りの優しさ、ひとを想い、
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

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カラフルで甘く暖かな日常から、
ほどなく世界が一変を迎える時代。

多様性やマイノリティという言葉が叫ばれるずっと前、
個性が個性として許されない世の中に、
ともすれば居場所のなかったであろう子どもた
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きっと、それは愛じゃない(2022年製作の映画)

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結婚はふたりのこと、とは言い切れない。
信仰や家族やルーツ、文化、
敬虔で在ろうとすればするほどに複雑に絡み合う、
ふたり以外の事情を前に揺らぐことがあるのだろう。

愛から始まるのではない、始めてか
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市子(2023年製作の映画)

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たったひとつのかけ違いが、
ほんのわずかな綻びが、
やがて人生を歪める大きな隔たりとなっていく

ただ普通に生きたいだけなのに、
ささやかな幸せを望むだけなのに、
不揃いに積み上がったブロックの上は、
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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戦争で失ったものたち
生きることの尊厳、執念、意志と誇り
守るものの強さ、勇気、気概

戦争を生き抜いた者ですら、
未だ知ることの脅威への対峙の根幹は、
ただ愛するものを守りたいという心

OUT(2023年製作の映画)

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バカだけどクズじゃない
大事なものがあって、守りたいものに必死で、まっすぐなバカ

バカゆえに生きづらかったり、
誰かを傷つけたり、自分を傷つけたり
それでも、上っ面だけでカテゴライズしたがる大人より
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人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

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ほんの少しだけ
人生に疲れたら、ほんの少しの休憩

虚勢を張って、見栄を張って、
自分は負けてなんかいない、と自分にも周りにも平気な顔をする

その眉間には皺が寄って、
奥歯をぎゅっと食いしばっている
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コーポ・ア・コーポ(2023年製作の映画)

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安く古びたアパートに住む
どこか“ちゃんと”生きられない者たち
社会という枠組みにはまることができなくても、
いわゆる常識からはずれていようとも、
それなりに生きて、それなりに助け合い寄せ合っている
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車軸(2023年製作の映画)

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盲目的に
何かに夢中になった結果として周りが見えないのではなく、
見ないという意思や、逃げ道や言い訳のよう

どこまでも満たされることのない、
交差しているようで、誰とも交わらない日々も
出口のない道
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正欲(2023年製作の映画)

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「清く正しく」という
それが当たり前に求められる世間と断絶することすら後ろ指指され、
擬態することでほんの少し息を吐く穴を開ける

たとえばマイノリティという言葉で括ることだって
それは大多数による、
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花腐し(2023年製作の映画)

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じっとりと湿度の高い空気がまとわりつく

ひとりの女と立ち行かない二人の男
もうここにはいない女の記憶をなぞるのは、
弔いか昇華か、静かに淡々と

熱くもない、心地よいぬるさもない温度で、
女の輪郭を
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こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

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いろんなかたちはある
たくさん好きで
好きで好きで大好きでも

恋人とカテゴライズされる関係も
その定義は実は曖昧で多様で
はじまりも終わりも
道すじをなぞるものではないから
だからおもしろくて難しい

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

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彼女を突き動かすのは、
怒りか、執着か、それとも失うもののない覚悟か

家族を描くのはとても苦しい
大切な思い出も、とらわれの過去も、
血でつながれたがゆえの葛藤や、
自分自身の奥底をえぐるような作業
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アナログ(2023年製作の映画)

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静かでゆるやかで、
インスタントさがないゆえの、もどかしさや歯がゆさに、
心を通わせていく時間の重なりがやさしい

喪失と再生、そのまだ途中
予期せず途切れたその道のりが、
やがて、あたたかな二人の未
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キリエのうた(2023年製作の映画)

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消せるわけない記憶や痛み、悲しみ
少女たちの儚く脆い、その危うさに
後悔だとか喪失だとか
カテゴライズできない感情が入り組むなか、
生きるものの営みは続く

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

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彼女は破壊ではなく、創造にこそ在る
在るべきに置かれたバーナデットは、
無邪気でひたむきで、そして情熱的

ひとは、そのひとが一番輝く才能を
抑え込むことをしてはならない
極端かもしれないけど、どこか
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春画先生(2023年製作の映画)

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偏愛が過ぎる、というべきか
見てはいけないもの、だからこその興味をかきたてられる
ただ、それだけではない、一枚の絵に描かれた物語や、作者の思惑や細部にわたるこだわりなど、
センセーショナルなだけではな
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

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私はあのひとのことをどこまで知って、そして、どれほど理解っているのだろう
ときには、知ったがゆえに分かち合えないこともある

それでも一緒にいるならば、いることを望むならば、まずは知ることを恐れてはい
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まなみ100%(2023年製作の映画)

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恋というには、ちょっと多すぎる
愛というには、ちょっと足りない

近くて遠い、触れそうで触れられない
叶わないからずっと好き
ほかの女の子を左に置いていたって、
家に帰れば別の女の子が待っていたって、
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

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理屈っぽくてめんどくさい
風変わりな整くんの周りではいつも事件が起こる

澄んだ目で一族に隠された謎を紐解き、
長い月日に色濃くした闇に光を当てていく

彼の目に映るのはいつも人の心の奥の奥、
痛みや
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ほつれる(2023年製作の映画)

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未来を信じたはずであっても、
ずるずるとじわじわと自分を侵食かのような居心地の悪さ
呼吸のできる場所を求めて流れていく

破綻する夫婦のほころびも、
その逃げ道である関係にある、甘くもどこかある違和感
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怪物(2023年製作の映画)

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己に持つ真実や正義、信念に物を言う
それは、正しくも、誤りも線を引くことはできない

想いは子どもへ、友人へ、
守りたいがため

そのとき現るは怪物なのか
怪物はいるのだろうか

パリタクシー(2022年製作の映画)

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長い旅路のほんの1日
ひとつひとつ、その人生を語るに欠かせない出来事をパリの街とともに巡る1日。

まもなく旅の終わりを迎える老女と、
その旅に居合わせることとなったどん底ドライバー。

終わりとはじ
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ロストケア(2023年製作の映画)

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人の尊厳とは何か
生きる選択、終える自由、それは誰にも与えられる権利のようで、選ぶことを許されない不自由さがある。

家族“だから"という絆の呪縛に苦しむ、けれど、ふいに解放されたとき、訪れるのが安堵
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零落(2023年製作の映画)

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生み出す苦悩、
そして、人の手に人の感性に委ねられ、変容していく作品たちは生みてなお、作家を苦しめる。

かっこ悪くて、ひどく勝手で葛藤をずるく隠すこともできない。すがることすらできない作家の仄暗く、
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

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一文字一文字、綴られる物語は、
人生そのものであり、
誰かの手から、また他の誰かの手に、
語られ続ける限り、その人生は色褪せることはない。

手にした者の解釈が加わり、
また別の想いは重なり、
そうし
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ちひろさん(2023年製作の映画)

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飄々と軽やかに、
ときに心地よく無遠慮に、
ちひろさんの日常は、
いつも誰かの心に添っていて、
いつも誰かが彼女を待っている。

彼女の狭い狭い心の隙間から覗く、
ちひろさんの核となる部分。
いつか誰
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エゴイスト(2023年製作の映画)

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純愛とは何か。

見返りを求めることなく、
己の損得、打算、思惑など一切ない、
ただ純粋に、誰かを想うこと。
それを純愛と呼び、
不純が混ざることは、影に潜めざるを得ない想いなのだろうか。

利己的で
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