スキピオ

ファインディング・ドリーのスキピオのレビュー・感想・評価

ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)
3.0
"Just keep swimming !"

前作は父子愛がメインで、ハンディキャップがサブのサブくらい。ピクサーでも前半期だった当時は片親の愛を3DCGアニメで描くのは新鮮だったろうし、そこに障害を持つキャラクターも普通に出てきて特別扱いしなかったのが絶妙なバランスだった。今回はその逆で実質的にハンディキャップがメイン、そうなると話が別になってくる。

自分は、基本的に障害者ものの映画は好きじゃない。「障害をもつこと」をテーマに真正面から捉えようとするとどうしても作品内で何らかの「答え」を出さなきゃならないけど、2時間観てても結局は障害っていう「正直、現状どうにもならないもの」に対して誰しも納得できる「答え」なんて出ないから。ドリーの両親が最後なんか言ってたけど、白々しすぎて忘れちゃった。

アシカのくだりは最初眉をひそめたけど、あの世界を「キレイな世界」だけにせず、ちゃんと「差別もある現実」を突きつけていたのがよかったと思う。あれをアシカの鳴き声が「out!(降りろ)」に聞こえることに引っ掛けたギャグと混ぜこぜにしてる不謹慎ぶりがさすがアメリカ人のユーモアだ(笑)

タコのハンクのツンデレ大活躍ぶりをはじめ、新キャラクターが魅力的で面白いところはたくさんあるし伏線の回収ぶりには感心したんだけど、ストーリーは基本的には前作をトレースするのみで新しさはほとんど無し、(ピクサー前半期である)前作と同程度。結局は前作が好きな人向けのファンサービスムービーの域を出ていなかった。

ま、続編で「前作と同程度まで持ってくる」ってのも難しいんだけどねー。