ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ハード・ターゲット(1993年製作の映画)

3.0

久々に見直すと、好きなように暴れているジョン・ウーに、律儀に付き合っているジャン=クロード・バンダムやランス・ヘンリクセンが偉いというか優しい。
バレットタイムなスローに壁越しの一対一、鳩、2丁拳銃。
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マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.5

思ったりより全然良かった。すでに絶滅したセックスコメディの今更感はあるけど、本筋はトラウマから時が止まっていた二人が、己と見つめ合い、もう一度(人生を)やり直すまで。殻を破るのは童貞の少年だけではなく>>続きを読む

ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

2.5

意味ありげで観念的なセリフと、どん詰まりの精神状態を反映しているような画。それは独創的な表現を模索する誠実さではなく、独裁的で窮屈な表現。所詮はゲスなドラマなくせに、絵画的に決めた白黒で「芸術ですから>>続きを読む

夜叉ヶ池 4Kデジタルリマスター版(1979年製作の映画)

2.0

坂東玉三郎が美しい米良にしか見えなかった。そもそも篠田正浩は映画的な知性が圧倒的に欠けていると思う。市川崑のトンデモ大作より真面目に(思い入れたっぷりに)作っていそうで、それがまたキツい。

黒の札束(1963年製作の映画)

2.5

ちっぽけな小市民の川崎敬三。どう見ても大それた悪事(犯罪)が成功しそうにない、その疑心暗鬼な佇まい。偽札に関わる仲間が強面の高松英郎やチンピラ風情の杉田康など信頼できるはずがないメンツ。
ありふれた男
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The house of the devil(原題)(2009年製作の映画)

3.0

一番良いのは間抜けな面したグレタ・ガーウィグが車内で撃ち殺されるくだり。ハッタリでしかないホラーな演出より銃やナイフを使ったアクション(暴力)のほうが驚きもあるし、強く撮れている。低予算でこれだけ雰囲>>続きを読む

フィンチ(2021年製作の映画)

2.5

世紀末にトム・ハンクスとロボットと犬のみ。またこれもトム・ハンクスの一人芝居映画。一人分のギャラで120分。安上がりな役者。
『ザ・ロード』のような荒れ果てた世界なんだろうけど、描かれるのはヒューマニ
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黒の死球(1963年製作の映画)

2.5

単なるスカウトマンが殺人事件の犯人探し。宇津井健、筋の通った真っ直ぐな人と言うより自分なりの正義心から平気で他人の家まで押しかけてくるガサツなタイプで好きになれない。聞かれてないことまで何でも話してし>>続きを読む

黒の商標(トレードマーク)(1963年製作の映画)

2.5

弓削太郎を増村と比べること自体バカげているが、高松英郎の使い方など見ると、もうなんか本気で見ている俺が悪いのかって気持ちにもなる。監督によって素晴らしい役者も薄っぺらなキャラクターを演じるだけのつまら>>続きを読む

ダーリング(1965年製作の映画)

3.0

美しいモデルが自らの肉体を使ってのし上がる話だと思わせて、そのような女性は好き放題遊んだ結果、己の自由を奪われ一生監視され監禁されればいいんだと言わんばかりの怖い映画。ジョン・シュレシンジャーの愛情は>>続きを読む

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

4.0

片方の足を切り落とし、その欠けた身体が心のバランスまで崩していく。ドヌーヴが父親でもあり愛人でもあった老いた男に復讐するのは結果でしかなく、共に暮らしていく原作のラストをブニュエルが嫌がり、だからと言>>続きを読む

ハロウィン・キラー!(2023年製作の映画)

2.5

「ほら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいな感じ!」とか言わせて、バック・トゥ・ザ・フューチャーの設定を丸ごと利用するの、なんかズルい。
現代的な若者が80年代に飛ばされて大雑把な価値観に驚いてバ
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海辺のホテルにて(1981年製作の映画)

3.5

ドヌーヴとドヴェールだけではなく、みなバラバラになって離れ離れに散っていく。ただ「愛されたかった」というシンプルな感情が最も困難で、追い求める情熱に救いはない。不確かな物語(関係性)の退屈さを超え、そ>>続きを読む

パラドクス(2014年製作の映画)

2.0

分かった!これはこういうことなんや!みたいな感じで、ドヤ顔でタネ明かしを終盤にされても、それはお前が勝手に考えた世界のルールだし、知らんがな…という気になる。オチとかどうでもいいから、そこに至る前のド>>続きを読む

メクトーブ,マイ・ラブ(2017年製作の映画)

3.0

冴えない内気な映画オタク(自称脚本家)が、ヤリまくってる従兄弟や女友達や知り合いを穏やかな顔して視姦している。豊満な肉体と整った顔立ちの女性がわんさか現れては画面越しに挑発してくる。誰もがバカンスを満>>続きを読む

主婦の一日(1977年製作の映画)

3.0

『TOPコレクション 何が見える?「覗き見る」まなざしの系譜』(東京都写真美術館)。
写真や映像が成り立つまでの記録(資料程度)でしかなかった退屈な展示のなか、「覗き見る」という行為のゲスさ、気味の悪
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チャイニーズ・ウォリアーズ(1987年製作の映画)

2.5

ミシェル・ヨーのインディージョーンズみたいな謳い文句に釣られて見たが、パクリは劇伴と格好(ムチ)だけ。本筋は極悪非道な日本軍から城を守るため、ミシェル・ヨー軍団と決起した村人が共に闘うよくあるあれ。な>>続きを読む

アウトサイダー(1981年製作の映画)

3.0

(おそらく)本物のキチガイ病院での撮影から始まる初期のタル・ベーラ。素人しか使わず、ドキュメンタリーを骨組みにしてフィクションで肉付けしていく、まあそれなりによくある手法。静寂な長回しなど微塵もなく、>>続きを読む

黒の試走車(テストカー)(1962年製作の映画)

3.5

俺が増村に熱狂していた時期はすでに遠くだが、それでも一時間半真剣に見てしまう。愛も憎しみも変わらぬテンションで、暑苦しい男も女も顔をギリギリまで近づけ、彼らの行動を記録するかのように不意にえらく離れた>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

3.0

ホラースリラーでもモンスター映画でもなく、無意味な暴力とグロを垂れ流す悪趣味なブラックコメディ。たまたま巻き込まれた人たちが死にまくる。どの人物にも思い入れなく簡単に殺され、死体が道端に平気で転がって>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.5

ウェス・アンダーソン組いつもの馴れ合いメンツではなく、本気の芝居が出来る役者を呼び寄せてのアンダーソン劇団。これも架空な人物の偽自分史。背景は書き割り、主要な役者が中心も脇も(何役も)演じるガッツリと>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

2.5

もうなにも感じない。無。銃弾飛び交うアクションもダンスの振付のようで、傷みも憎しみもゼロ。まったくアガらず。前作以上にキアヌはもっさり。年齢的に限界。いまだに『マトリックス』での姿、あの幻影を追いかけ>>続きを読む

セクシー・ビースト(2000年製作の映画)

3.0

MVやCMでは巨匠なんだから、わざわざ映画なんか撮らなくても良いとは思うが、まあそれでもチャレンジしてみたくなるのが映画という魔物。
MVやCMで散々やっている映像以外の物語(会話)とキャラクターで勝
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赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。(2023年製作の映画)

1.0

福田雄一の作品に触れたその日は仏滅大凶。身近な人が死にます。俺は血が混じったションベンが出ました。

チンピラ(1996年製作の映画)

3.0

青山真治組の役者と黒沢清組の役者と北野武組の役者が混ざり合ってヤクザごっこをしている。その色の付いた役者たちから外れた大沢たかおと片岡礼子のくだりが一番良い。青山真治は映画にこだわらず、NHKあたりで>>続きを読む

冷たい水(1994年製作の映画)

3.0

中盤、DJ気取りでアサイヤス監修「Hits Now」みたいな格好つけた音楽が垂れ流され、行き場をなくした若者たちが下向きながら廃墟で蠢いている。ハサミで髪を切ったり、空き地を燃やしたり、窓を割ったり。>>続きを読む

ルール(1998年製作の映画)

2.5

暇な時に00年代前後に作られた『スクリーム』の亜流ホラーを改めて見ていく作業。都市伝説をなぞる殺人鬼が現れて…。動機はまあ分かるとしても、この連続殺人を一人でやり遂げた犯人が凄いと言うか無理がある。パ>>続きを読む

ボクシング・ジム(2010年製作の映画)

3.5

その場に集まる人間観察。環境(土壌)の変化によって蟻の生態に違いが見えてくるのと同じ。ジッと眺め、会話を盗み聞きし、そこから浮かび上がる暮しや生活、人々の関係性。ラストは常に、その街の実景。
ボクシン
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バービー(2023年製作の映画)

2.0

『レディ・バード』のパクり元『Real Women Have Curves』の主演女優(アメリカ・フェレーラ)をわざわざ使ってクソデカイ映画を撮ってしまうグレダ・ガーウィグ。図太いというか、ゾッとする>>続きを読む

Sharper:騙す人(2023年製作の映画)

2.5

見てもしょうもないことは分かっているのだが、「騙し騙され」みたいな映画はうんざりしながらもやはり覗き見してしまう。主要人物それぞれの視点で語られる物語が最後に一つになり、誰が大金を手にするのか。
お粗
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ロード・オブ・セイラム(2012年製作の映画)

2.5

ヘロイン系のダウナーなロブ・ゾンビ。妻ゾンビを中心に、狭くて小さな世界観。肉体破損より精神的な恐怖でジワリジワリとだが、内向きで退屈な時間も多い。悪魔のチャクラが開く妄想的な映像。ケン・ラッセルを目指>>続きを読む

運命のボタン(2009年製作の映画)

2.5

原作リチャード・マシスンの一発ネタを引き伸ばすためのダラダラとした中盤が、陰謀論×妄想なリチャード・ケリー。00年代前後の終末観漂う空気に『ドニー・ダーコ』が偶々ハマって騒がれただけで、基本はどっぷり>>続きを読む

WILD LIFE(1997年製作の映画)

3.0

全編なにかしらの模倣ではあるのだけど、それでも映画の幅みたいなものは懸命に広げようとはしている。当時の黒沢清(なぜかサングラス掛けて出演しているが)映画と比較されるのはしょうがないとしても、黒沢清より>>続きを読む

デブのコック(1918年製作の映画)

3.0

ロスコー・アーバックルの『The Waiters' Ball』(『デブの料理番』)ありきで作られているのは間違いないとして、その厨房コントにバスター・キートンが加わることで「映画」が更に強度を増すのが>>続きを読む

イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

3.5

表現(映画)への情熱の話というより、男と男の奇妙な結びつきの映画で、当然のように『ミニー&モスコウィッツ』を引きずるようなシーモア・カッセルの「自由」な動きは生き方とイコールで、その「愛」に振り回され>>続きを読む

ヴェネツィア時代の彼女の名前(1976年製作の映画)

3.0

映像ではなく言葉で構築されたデュラスの表現。想像を働かせ、その世界の朗読にそっと耳を傾けている感じ。どちらが優れているかではなく、アケルマン『モントレー・ホテル』との対比と類比。