ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 36ページ目

ベビーパウダー山崎

ベビーパウダー山崎

怪猫トルコ風呂(1975年製作の映画)

2.5

感情お構いなしにエロにグロを飾り付け、ロマンを排した東映ポルノ。エロスに愛情がないぶん場末の見世物感が強い。東映に呼ばれた谷ナオミはバカバカしい怪猫を演じても品がある。黒猫視点の白黒映像がなんとなく監>>続きを読む

トパーズ(1991年製作の映画)

2.0

村上ドラゴンの交友関係、文化人の顔見世出演の下品さ。首締められながら珍棒しごかれていた気持ち悪い青年って幻冬舎最高責任者の石原正康?ヤバいね。黒歴史でしょ。エンドクレジット後に無駄にドラゴンのキューバ>>続きを読む

テス(1979年製作の映画)

4.0

生き死にギリギリの被害者と加害者の立場を体験してきた地獄の門より重たい業を背負った作家にしか撮れない映画(表現)。常人が目にする景色より、遥か先の世界がポランスキーの頭のなかでは見えていて、それは過去>>続きを読む

帰って来たヨッパライ(1968年製作の映画)

3.5

繰り返される自殺のイメージを死刑に変えて、おそらくパクり元はラフェルソンの『ザ・モンキーズ 恋の合言葉HEAD!』だと思う。久しぶりに見直したが面構えと声が抜群に良い大島渚組の役者が歌い手を囲んでキャ>>続きを読む

ホテル強制わいせつ事件 犯して!(1977年製作の映画)

3.0

山科ゆりと埴輪。恐怖を煽るような変な音楽。桂千穂でよく見る無駄な落下死。桂千穂のキチガイのシナリオを至ってド真面目に撮りきると、なんだか本当によくわからないただただ異常な映画が剥き出しになるだけという>>続きを読む

マペット・ムービー/マペットの夢みるハリウッド(1979年製作の映画)

3.0

メル・ブルックスのキチガイ科学者、ジェームズ・コバーンやエリオット・グールドもちょい役で顔出し。70年代ハリウッド人脈。幼少の頃なんとなく怖くて『セサミストリート』は見ていなかったしジム・ヘンソンの歴>>続きを読む

黒薔薇昇天(1975年製作の映画)

4.0

林功とか白鳥信一あたりを見続けていて、稀に魔が差して神代のポルノを見返してしまったりするとあまりに「映画」で度肝を抜かれる唖然とする。さあ物語ですよ、濡れ場を見せますよ、みたいな定形お約束が一切通用し>>続きを読む

刑事マディガン(1967年製作の映画)

3.0

己の死できっちり落とし前をつけさせる非情なドン・シーゲルフィルム。失態を取り戻そうと動き回る下っ端の刑事はあっけなく死ぬが、不正を見逃す「正しい」上司は生き延びる。犯罪映画に見せかけた政治的なドラマ。>>続きを読む

残酷 黒薔薇私刑(1975年製作の映画)

3.0

日本軍に虐げられる谷ナオミと東てる美。75年製作だし、なんとなくナチスプロイテーションが元にあるような気がした。気が狂った妹を盲の兄が殺す『その男凶暴につき』以来の切なさ。大海バックに死んだ兄妹をロン>>続きを読む

ネオン警察 ジャックの刺青(1970年製作の映画)

2.5

珍しく善人側(小林旭の相棒)の郷えい治と真理アンヌの濡れ場。郷えい治のギリシャ彫刻のような肉体が美しく惚れ惚れする。スーパースターの小林旭以外はみな死ぬ、結局最後は殴り込みのヤクザ映画で武田一成らしさ>>続きを読む

オキシジェン(2021年製作の映画)

3.0

閉じ込められての一人芝居。どの角度から映しても顔貌が整っているメラニー・ロランが『反撥』のドヌーヴに見えてきたりもして、それなりに楽しんだ(ロランは狂いませんが…)。肉体に針を刺す痛々しいくだりを繰り>>続きを読む

黄昏のチャイナタウン(1990年製作の映画)

3.0

ごたごたがあって監督をすることになったニコルソン、たしか『ゴーイング・サウス』もそんな流れだったような気がする。前作のポランスキーのノワール(『チャイナタウン』)、あれはもう天才の仕事なのでそれと比べ>>続きを読む

実録三億円事件 時効成立(1975年製作の映画)

2.5

石井輝男のなかでは相当出来が悪い。濃い役者の顔面アップで、この薄汚さがリアルだと見せつける実録ものとは相性があまり良くない。まあ石井輝男は上品だからね。金子信雄はやりすぎ、小川眞由美は弱い、岡田会長は>>続きを読む

ウォーカー(1987年製作の映画)

3.5

エド・ハリスのベストは本作か『ナイトライダーズ』で決まり。血みどろと虐殺、中心のキチガイが己の信念を貫けば貫くほど災いは降りかかり人が死にまくる。混乱こそ「映画」の美。映画を撮りたいというより、表現の>>続きを読む

禁断・制服の悶え(1976年製作の映画)

3.0

感情が見えにくい東てる美を百戦錬磨の男優等がサポートしている。浮浪者にレイプされる珠瑠美。雪山へ向かう前に逮捕される男と女。小市民が日常を外れ罪を犯してしまう物語は久保田圭司の十八番。久保田圭司のシナ>>続きを読む

ドラッグストア・カウボーイ(1989年製作の映画)

3.5

『ボージャック・ホースマン』を全話終えてしまって、依存症で苦しむ映画が見たくなり棚から引っ張りだした。構成はほとんど同じだけど(もちろんラリー・クラークがパクってる)より絶望的で若者の痛々しさが描かれ>>続きを読む

グリフターズ/詐欺師たち(1990年製作の映画)

2.5

端から破綻しているジム・トンプスンの原作に忠実であればあるほど唐突な展開が不自然に映る。小説での空白が映像ではなにもかも見えてしまう弊害。解決策はその想像を越えるかはっきりと無視するかの二択で、どちら>>続きを読む

アンダーウォーター(2020年製作の映画)

2.0

クリステン・スチュワートの髪型、エイリアンのシガニーウィーバーなんだろうけど、金髪で短髪は家田荘子にしか見えなかった。

団鬼六 縄炎夫人(1980年製作の映画)

3.0

藤井克彦のポルノは吊り橋がよく出てくる。ロケが好きで、人物も風景の一部として溶け込む画を撮りたい作家なんだと思う。思わぬ殺人から日常が崩れていくサスペンスなポルノ。夫は見知らぬ女性に溺れ、妻は被害者の>>続きを読む

最後の晩餐/平和主義者の連続殺人(1995年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

保守的な思想の元軍人や牧師を片っ端から殺していく意識高めの左翼な学生が最後はひろゆきもしくは橋下徹みたいな大衆扇動者に丸め込まれて皆殺しにされる、90年代になぜかよく作られた悪趣味ブラック・コメディ。>>続きを読む

ニコラス・ケイジの ウェザーマン(2005年製作の映画)

4.5

『ボージャック・ホースマン』(大傑作)を見ていたらなんとなく思い出したオールタイムベスト級に好きな映画。誰もが傷つけ、傷つきながらそれでも生きている。

連続暴行 白昼の淫夢(1982年製作の映画)

3.5

レイプ犯と被害者の女性の関係に悪事を働くには臆病な、だからといって欲望にはだらしない男がもうひとり加わることによって物語が歪な三角形になり最後まで飽きさせない。善悪フラフラと男が行ったり来たりすること>>続きを読む

宇能鴻一郎の開いて写して(1981年製作の映画)

3.0

高層ビルからの強風、撮影用ライト、吠えながら追いかけ回す狂犬、診察台、覗き見、スワッピング。80年代に入ると予算も減り、撮影に時間を掛けられないぶん、何かしら場面場面で目を楽しませるため仕掛けてくる(>>続きを読む

むれむれ女子大生(1977年製作の映画)

2.0

ゴルフ、受験、処女、「狭い穴に入る(を通る)かどうか」を繰り返し描いている桂千穂のシナリオ(すべてセックスの隠喩)。どこか尖れはもっと面白くなりそうなのに、平坦なフィルムしか撮れない林功のせいなのか、>>続きを読む

アーミー・オブ・ザ・デッド(2021年製作の映画)

2.0

ザック・スナイダーってどの映画もオープニングタイトル(冒頭)が一番良い。というかそれだけ。頭の悪いキャラクターが場を乱すお約束、もういいでしょ。物語も関係性も取って付けたような、その場限りの継ぎ接ぎだ>>続きを読む

シークレット・ディフェンス(1998年製作の映画)

4.5

こういった適当な企業ミステリーというか、エドワード・ヤンの初期や『月の砂漠』『デーモンラヴァー』みたいな会社や仕事をしっかりと描きながらその裏側で殺したり殺されたりするサスペンスを躁と鬱なら徹底的に寄>>続きを読む

インディアン・サマー/タマワクの英雄たち(1993年製作の映画)

2.0

大人になり思い出のキャンプ場に集まった八人の同窓会映画。こんなホッコリ映画になぜか脇役として出演している雑務係のサム・ライミが一番の見所。間抜けなドタバタを任されたサム・ライミの気持ち悪いニヤケ顔が突>>続きを読む

ハースメル(2018年製作の映画)

3.0

構成がほぼほぼダニー・ボイル版『スティーブ・ジョブズ』。音楽業界を舞台にしながら会話劇でしかないのはアレックス・ロス・ペリーならまあしょうがないと納得はするが、そもそもオフビートな作家のアレックス・ロ>>続きを読む

デスペラード/ながれ者(1987年製作の映画)

2.5

シナリオがエルモア・レナード。最悪の状況に陥っていく展開、あっけなく犠牲になる人物、四人が銃を向け合う終盤あたりはレナードらしさがあるけど、ここぞというときのダサいスロー映像やキャラクターが無駄にカッ>>続きを読む

ダーティ・シェイム(1994年製作の映画)

2.0

お気楽なブラックムービー。監督脚本主演をこなすキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズの世界観(表現)とノリが合わない。

スケバンマフィア 恥辱(1980年製作の映画)

3.0

倉吉朝子の物語で押しきれず、映画としては結構とっ散らかっている。火花がはじけるような男女の濡れ場、女性に難事を背負わせてとことんまで描き切るのは斉藤信幸の映画。セックスを明るく映すか、暗く見せるか、そ>>続きを読む

殺しのドレス(1980年製作の映画)

4.0

暗い映画が見たくなる。日常を淡々と映す映画や社会正義を声高に訴える映画にそれほど惹かれないので、人間の奥底にある薄暗い部分を肥大化させて描くデ・パルマ映画を定期的に吸収したくなる。一筋縄ではいかない役>>続きを読む

未亡人の寝室(1981年製作の映画)

3.5

迷宮じみた不可思議な屋敷に引き寄せられた奇妙な人たち。誰もが行きあたりばったりにデタラメな会話をして煙に巻く。生者と死者、愛憎とセックス、ゆがむ時間と空間、幻想文学のケオリ。まともな映画を撮ろうとして>>続きを読む

go(1999年製作の映画)

3.0

タラ坊映画(の構成)にケヴィン・スミス『クラークス』やリンクレイター『バッド・チューニング』あたりをかけ合わせて90年代の刹那的な暴力と薄っぺらなダンスミュージックで味付けしたダグ・リーマンの初期作。>>続きを読む

エイプリル・フール(1986年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

好きなホラー映画。フィンチャー『ゲーム』というより漫★画太郎の世界に近い。大掛かりなドッキリはミステリーホテル経営のリハーサル、と一応説明はされるが、それにしても騙す相手がいない場所(場面)であそこま>>続きを読む

夏の秘密(1982年製作の映画)

3.0

若山富三郎が阿藤快を撃ち殺す激シブなくだりから始まるアイドル映画。前半は若山富三郎で後半は鬼ババ化した松尾嘉代が出刃包丁片手にアイドルを追いかけ回すホラー。ラストは燃える映画館。アイドル?日本映画を舐>>続きを読む