『フローラとマックス』を観た。
相変わらず、音楽が生まれる瞬間のときめきを時間と場所を飛び越えた映画的マジックで紡ぎ出す天才ジョン・カーニー。
アコギと打ち込み、ライブとオンライン。コロナ禍を経たから>>続きを読む
毎年、花粉が飛び始める時期になると、自分の身体の適応能力の低さに愕然とする。
まだおれの身体は花粉を克服することができないのか…。というか花粉が飛んでない時期にそれに抗うよう準備ができなかったのかと、>>続きを読む
ヨーロッパ東部に位置するラトビアから届いた『Away』は、ギンツ・ジルバロディス監督のアニメーション映画です。
3年半を費やし、なんと監督ひとりで全てを作り上げた驚異の一本。
全編セ>>続きを読む
スクリーンで観る変身シーンのダイナミックさに胸躍るも、あまりに致命的な脚本で体感時間がめちゃくちゃ長かった。
原作がありそれを踏まえて物語を構成していくのは仕方ないかもしれないが、劇場で観るには同じこ>>続きを読む
今作は2014年に日本公開された作品で、その当時口コミで話題が広がり、東京のあちこちのミニシアターで上映されていた記憶があります。
その人気は今でも根強く、ここ最近でも東山紀之主演で舞台化されました>>続きを読む
トルーマン・カポーティといえば、オードリー・ヘップバーンが出演した『ティファニーで朝食を』の原作者、というぐらいの認識しかありませんでした。
映画のなかで描かれるのは、ついぞ日の目を見なかった未完の問>>続きを読む
『ゼロ・グラビティ』の製作費(1億ドル)よりも安い費用面(7400万ドル)で、火星探査を実現させてしまったインド宇宙開発驚愕の実話。
探査機の予算、軽量化、燃料問題など様々な難題を女性たちが日々の家事>>続きを読む
フードで頭を覆い隠し、顔が見られないよう振る舞うエロイーズ。
彼女の散歩相手を装いながら、肖像画の執筆を頼まれたマリアンヌ。
2人が初めて海岸に散歩に出て、マリアンヌはエロイーズの後を追う。
道が悪路>>続きを読む
国の愚策にいつもしわ寄せがいくのは、市井の人々だ。富山の漁村の母たちが一念発起し、時の政権すらその地位から引き摺り下ろした史実に胸を打たれる。
出演者の皆さんが富山の方言を流暢に駆使しており、特に室井>>続きを読む
浮かんでは消えていく故郷の夢想。廃墟に落ちる雨音と画面を埋め尽くす悲壮に包まれながら、世界の終焉を嘆く。
誰しもが孤独を抱え、太刀打ちできない脅威の前にして芸術、信仰、文化が示せるものは取るに足らない>>続きを読む
かなり歪なバランスで構成されていて、無駄も多いし、2時間半はけっこう長く感じる。けれども、愛する人のためにダイアナとして生きるか、世界を救うためワンダーウーマンとして生きるかという、ヒーローとしての葛>>続きを読む
ゲーム原作を元にし、そのプレイヤー達をターゲット層にしているとは言え、ひとつの映画の前編としてあまりにも不親切なつくりだったなと。
アニメーションとしての見どころも少なく、後編への引き方とあまりうまい>>続きを読む
ポケモンは「仲間」から「家族」へ。
ポケモンに育てられた少年ココを軸に、自然(ポケモン)VS文明(人間)のテーマを展開しながら、子離れを経験する親の物語に昇華させていく。
ポケモンに育てられたことで>>続きを読む
2作目の『地獄旅行』は観れなかったが楽しめた。
1作目のビルとテッドのどうしようもなさが3作目でも拍車をかけていて、さらに彼らを二乗して現れたかのような2人の娘の存在が映画の能天気さを限界突破している>>続きを読む
どうかしてるってぐらいチープな作りとビルとテッドの間抜けで愛おしいバディ感がたまらない。
ナチスドイツの占領下となったフランスで、全長400mに及ぶオープンセットに1500人の人間が集まり、往来を行き来するオープニングに度肝を抜かれる。
戦時下を感じさせない群衆の豊かさと運命に翻弄される芸>>続きを読む
「破」の終局の始まりから14年後が経ち、目醒める碇シンジ。救ったはずの世界は姿を変え、自らに向けられる人々の目は軽蔑を帯びる。そこから浦島太郎の憂鬱が始まり、だんだんと世界の全貌が明らかになっていく。>>続きを読む
運命を仕組まれた子どもたちの日常と非日常。何気なく存在する日常の他愛のなさと尊さを、使徒という非日常が瓦解し、次第にその境界線が曖昧になっていく。
少年少女のエゴとプライドと使命感が交差し、誰かを助け>>続きを読む
自然対文明の普遍的なテーマを土台に、キャッチーなキャラクター造形と縦横無尽に動き回るアクションシーンが見事なまでにハマった中国アニメーション。
やりつくされたテーマではあるが、それを十二分に補う世界観>>続きを読む
エヴァンゲリヲンを繋ぐアンビリカルケーブルが躯体から外れ、床に落ちる際にプラグから逆噴射をして衝撃を抑える。この5秒にも満たないシーンが大好きで、庵野秀明のフィクションを合理的に魅せることへの美学が詰>>続きを読む
15分おきに発車(上映)される無限列車が瞬く間に日本歴代興行収入第一位を射止めようとしている。まさに、よもやよもやだ。炎柱・煉獄さんの熱量に充てられて、日本中が鬼滅の刃で溢れている。アニメシリーズは苦>>続きを読む
初回)ギミックやルールが難解なうえ、画面上で起こっている出来事があまりに未体験な概念のため、圧倒されたのか、煙に巻かれたのか、なんとも判断しがたい、いやそれでも確実にとんでもないものを見た気がする1回>>続きを読む
ノスタルジーとエモーショナルの極地。
もはや魔法だとかそんなこと言ってられない、のっぴきらない現実に立ち往生する3人の女性が、おジャ魔女ドレミをきっかけに作品の聖地を巡りながら、自分探しの旅に出かける>>続きを読む
大林宣彦監督82歳、渾身の遺作であり、遺言であり、観客との約束であった。
日本の戦争映画史を擬えながら、現代の私たちに向けた痛烈な反戦のメッセージを極彩色に包まれた映像のコラージュと衰え知らずのポップ>>続きを読む
「手紙」というのは人と人とを繋ぐコミュニケーションツールのひとつであると同時に、絵画やアニメーションと同じように書き手が存在する一種の「作品」なのだと思った。
自らの心の内をしたためられた手紙は、文体>>続きを読む
「心を開く」とはよく言ったもので、主人公の心象風景を扉が象徴的に言い表している、そんな作品だった。
その扉の先には決して幸せな未来なんか待っているはずがないのに、それがわかっていてもそのドアノブに手を>>続きを読む
劇場版でぶりぶりざえもんと言えば、傑作『電撃!ブタのヒヅメ大作戦』を思い出す。
あの作品も社会派なアクション映画だったが今回もその系譜に連なるラクガキの皮を被った亡国とレジスタンスによる武器(ミラクル>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
明朗快活な兄とは対照的な内気で引っ込み思案な弟を軸に「父の不在」を通して、自らや家族と向き合い前へと進む物語。
魔法が失われた空想上の世界という突飛な世界観とは裏腹に、オーソドックスな物語構成ではある>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
個人的な努力やがんばりを種族の生存・繁栄に結びつけるのはいかがなものか。かなり偏った見方をすれば、社会主義の礼賛や優生思想にも繋がりかねないのではないか、とかなりモヤモヤしてしまった。
あと、のび太>>続きを読む
何度もビデオで観ていたのに、やはりスクリーンだと断然見え方が変わってくる。
冒頭のタタリ神急襲の場面なんかは涙出るぐらい恐ろしいし、タタリ神を覆うニョロニョロの一本ずつがあまりにも鮮明で、これをアニメ>>続きを読む
見えないからこそ想像することができる。
想像するからこそ見えてくるものがある。
しょうがなくアルプススタンドの端に集まったあの子たちも、野球部のエースで4番の彼も、吹奏楽部の部長でテストも学年1位の>>続きを読む
「食事もして、服も買って、デートもして、就職もする」
人生の全てがそのなかで完結するショッピングモールが田舎の閉塞感を象徴しているかのようだ。
何もない、ここではないどこかに行きたい。10代特有の今>>続きを読む
あまりの優秀さ故に左遷された超エリート刑事が長閑な田舎で出会す怪事件の数々。
銃火器をジャカジャカと装備する小気味よい編集の乱れ打ちに、熱く愛くるしいブロマンスを織り交ぜながら、緩急効かせた笑いとアク>>続きを読む
感情の波が寄せては返し、夕空が恋人たちを染めていく。
様々なところで散見されるように色彩と音楽が映画全編を彩り、ときに寄り添い、ときに突き放し、登場人物たちの心象風景を雄弁に語る作りはとても美しく、と>>続きを読む
空虚な部屋の片隅を映しているだけなのに怖い。カメラが向けられるだけで怖い。
情報量も少なく、必要最低限の演出の積み重ねで恐怖がより蓄積されていく。
舞台も、小道具も、全てが制作陣の意のままに操られ、点>>続きを読む
音楽を聴いていると、この歌詞って自分のことじゃない?と思う瞬間がごく稀に訪れるんだけど、この映画はまさにその瞬間を描いた作品で、あるひとりのミュージシャンと彼が生み出す音楽との出会いが少年の人生を一変>>続きを読む