壁を駆けるかのように登っていく岡田准一の驚異的な身体能力に度肝を抜かれ、柳楽優弥の圧倒的存在感と役者の個人技が目立つ。その一方で、ギャグにも振り切れずアクションシーンもフレッシュさを感じられず、全体的>>続きを読む
象徴を失った世界で呆然と立ち尽くす僕たちの土手っ腹に風穴を開けるかのような怪作。
想像も憶測も、すべてが斜め上をいく作りで、まんまとMCUの手のひらのなかでコロコロと転がされているような気分だ。底知れ>>続きを読む
途切れることのない音楽とのべつ幕なしに割られるカットの合間を縫うように現れる駅構内の長回しアバンタイトルに完全にやられた。今年ベストのキスシーン。
巨大なマンションや構造物を使った会話劇も素晴らしか>>続きを読む
リーアム・ニーソンの息子がマフィアに勘違いで殺され、その報復にマフィアを1人ずつ殺していくと、そのマフィアが敵対勢力の仕業に違いないと勘違いし、抗争が激化していく勘違い復讐映画。
全編に漂うコーエン兄>>続きを読む
前作から約1年半待たされた、最終章第2話。
それだけの時間が費やされたことあってか作画の完成度も高く、なんでもない日常シーンも人がよく動く動く。
7.1chの音響効果も遺憾無く発揮され、戦車のライド感>>続きを読む
オリジナルアニメの魅力そのままに、時代を反映させたメッセージ性やキャラクター達が縦横無尽に画面狭しと駆け巡る見事な実写化。
貧民や王族、魔人に関わらず、生まれや境遇は違えど、それぞれが内に抱えた「殻」>>続きを読む
今年はアニメ映画が大渋滞しており(大いに嬉しい)、今作もその例外ではなく、ここにきてここまで純度の高い夏休み映画が観れるとは思わなかった。
久石譲の劇伴は、流れるだけで物語が始まるような説得力を持ち、>>続きを読む
見終わったあと、こんなにも登場人物たち全員が愛おしくなる作品なかなかない。
新人の主演2人をはじめ、脇を固めるとても高校生には見えない(褒めています)俳優女優陣や、それらを取り巻くモブたちまで、とにか>>続きを読む
解散を決意した人気デュオ「ハルレオ」。映画の終盤、彼女たちは自分たちの「音楽」の行く末を観客に委ねる。
映画は、不必要な説明をせず、確かな演出による「省略」と「余白」を持って、登場人物たちの人間関係や>>続きを読む
愚かな人間は蚊帳の外に置いて、ゴジラとギドラの覇権をかけたがっぷり四つの頂上決戦が2時間たっぷり堪能できるブロックバスター大作。
画面狭しと、監督のゴジラシリーズへの迸る「怪獣愛」が炸裂し、どこか愛嬌>>続きを読む
瞬きするのが惜しいくらい、躍動感溢れるアニメーションと世界観に魅入る111分。
ほぼ全編クライマックスと言ってもいいくらい、のべつ幕なし繰り広げられる怒涛の展開の応酬は、まさにトリガー作品の真骨頂とい>>続きを読む
午前十時の映画祭にて、初映画館鑑賞。
緩急つけた抜群の編集と耳に残る音楽が生み出すパニック映画の金字塔は、公開から40年以上経った今も全く色褪せることなく恐怖のどん底に陥れる。
市政と市民に板挟みにな>>続きを読む
映画館と潜水艦の親和性って物凄い。なぜなら映画館という世間と隔絶された空間と潜水艦という海の底の暗闇に隔絶された空間が完全に一致するからである。映画館の暗闇に身を投じる自分があたかも主人公たちが乗り込>>続きを読む
物語としては劣化版ズートピアな感じが否めないんだけど、それこそ20年以上ポケモンに触れてきた身としては、あの世界観だけで鑑賞料金の元を取ったと言っても過言じゃないくらい素晴らしい世界が広がっていた。>>続きを読む
原恵一監督最新作にも関わらず、2時間心揺さぶられることなく終わってしまったのがとても残念…。ワンダーランドとは、成長とは…。
MCU11年の集大成。これ以上ないってくらい、MCUを追ってきた観客へのご褒美のつるべ打ちで3時間あっという間。
MCUが巻き起こしてきた新たな波は、間違いなく映画史の1ページに刻まれ、自分たちがリア>>続きを読む
野原一家総出で念願の新婚旅行でオーストリアへ。
楽しいはずの旅行が小さなすれ違いから夫婦不和の物語へ進み、ひろしとみさえにがっつり重きが置かれていて劇場版では観たこと姿が見られた。なので、野原一家の絆>>続きを読む
「部活動」って意味があるのか。その答えはおそらく誰にもわからない。それでも、何か目標に向かって一途に邁進する姿は、とても美しいし、心を打つ。
2年生になった主人公・黄前久美子の吹奏楽にかける青春の続き>>続きを読む
王都奪還までという、原作ファンとしては非常に納得のいく脱構築。キングダムの凄いところは、この濃厚なドラマがまだまだ序の口だということ。うまくいけば、(中華統一の話だけど)邦画として未だ嘗てないサーガに>>続きを読む
公開が始まるや否やメガヒットを飛ばす、もはや春休み映画の代名詞と言っていい劇場版名探偵コナンの圧倒的存在感は今年も顕在。それとは裏腹に本来あるべきミステリー要素はどんどん希薄になっていき、人気脇役のキ>>続きを読む
寄せては返す波のように、反復と反射を繰り返しながら語られる、ある一人の女性と家族の映像詩。
スクリーンに反射したその行ったこともない場所や風景に郷愁を覚え、会ったこともない人物の孤独に寄り添ううちに、>>続きを読む
シェイクスピアの「リア王」を翻案に、黒沢明が時代劇映画化。仲代達也の生きながら彷徨う亡霊のような姿が脳裏に焼きつく。
物語ラストの騎馬シーンも見ものだが、なんといっても台詞回しと緩急のついた編集が心を>>続きを読む
昨今のディズニーアニメの実写化(そもそも実写化とは…?)が乱立するなかで、最もいただけなかった作品。
もはや「ダンボ」の映画じゃなくて、人間が自浄するための道具のように扱われていて本当にうんざりでした>>続きを読む
過不足なく進む物語が安心して観られる反面、すべてが想像の範囲内に収まってしまったなぁという印象。
80年代の音楽や映画、ファッションがとても魅力的。
だけどみんなどれだけ『ブレックファスト・クラブ』や>>続きを読む
壮大なフィナーレへ向けての、前菜と言いましょうか、マーベルとしては小ぶりな印象だったが、既存の「選ばれる」ヒーロー像を脱却し、「選び取る」ヒーロー像を描いたことはとても重要だろう。
物語とアクションは>>続きを読む
とんでもない野心作。
ある人物の想い出(=意識)に潜り込み、過去に抱えた後悔を拭い去る、というプロットをよくおそ松さんでやろうと思ったものだ。赤塚不二夫というより、どちらかというと藤子・F・不二雄っぽ>>続きを読む
御年88歳が監督と主演をこなしている作品とは思えない軽やかさ。イーストウッドにしか撮ることのできない映画でもあり、反対にイーストウッドでしか成立し得ない、彼の監督業、俳優業、さらには実生活の年輪の深さ>>続きを読む
主演2人の演技アンサンブルが心地よく響き合うロードムービー。
土地や人種といった表出する差別と、思い込みや決めつけによる無意識下の差別という複雑に絡み合う問題を、ウィットに富んだ語り口で小気味よく紡い>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
幾度となく家族や恋人を救うことができなかったヒーローを多く見てきた。掴んだ手を離す、(もしくは掴み損ねる)、という行動の先には必然的に悲劇が待ち受ける。手を離す、離されるということはいずれかが犠牲にな>>続きを読む
近所に次々と増えていくファミリーマートや、ファッションセンターしまむらを筆頭としたしまむらグループ、そして学生の頃部活帰りに必ずと言っていいほど食べてたガリガリくん。これら全てが埼玉発の企業や商品であ>>続きを読む
ディセプティコンやネオナチが秘密基地を作っていたりと、定期的に映画の題材に取り上げられる「月の裏側」を、今年はドラえもんが大冒険。
今回のキーになる「異説メンバーズバッジ」の仕組みが複雑で、深く考えす>>続きを読む
機甲術(パンツァークンスト)という名の武術を駆使した縦横無尽なアクションとローラーボールの躍動感には心踊ったが、おそらく原作のエピソードをつぎはぎしたのであろう物語のチグハグ感が目立ってしまってあまり>>続きを読む
TOHOシネマズ新宿で観たあと、プレミアムモルツ飲みながら、新宿の街をゲッワイエンタフって歌いながら歩くのが考えうる限り最も楽しい鑑賞スタイルの映画。
この映画のなにが凄いって、主軸となる三人の女性の三角関係を、誰かに比重が傾くことなく描き切ったことだと思う。
常に、エマ・ストーンが、レイチェル・ワイズが、オリヴィア・コールマンが、この画面を、この映>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
人類で初めて月面に降り立つという歴史的に見てもあまりに壮大な出来事を扱いながら、ひとりの父親による最愛の娘のための弔い、という凄まじくパーソナルな物語へと着地させる、まさにデイミアン・チャゼルの作品だ>>続きを読む
魚介のみならず、古今東西ありとあらゆる娯楽作品からエンタメ要素を抽出した、濃厚コクうまごった煮映画でした。
シチリアでのアクションのテンポと編集が観ていて本当に楽しいのです。