りょうさんの映画レビュー・感想・評価

りょう

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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.6

 ペドロ・アルモドバル監督の作品は、若いころに何本か観ていましたが、実写なのにアニメーションのような原色を多用する色彩が苦手で、自然と観ないようになっていました。この作品は評判がいいし、写真も好印象だ>>続きを読む

パリ13区(2021年製作の映画)

3.8

 ジャック・オーディアール監督のこれまでの作品と比較すると、少し抽象的な表現でつかみどころのない印象でした。主な登場人物は3人だけですが、少し群像劇のような雰囲気もあり、男女の三角関係のようでもあり、>>続きを読む

英雄の証明(2021年製作の映画)

3.8

 イランは当然のように死刑制度を存続させ、“人権後進国”を日本と競っています。この作品には、金銭で夫の死刑を免除してもらおうとする女性が登場しますが、そんなことができるイランは、もしかしたら日本よりマ>>続きを読む

あつい胸さわぎ(2023年製作の映画)

4.0

 あまり話題作でもなかったし、「なんでこんなに評判がいいんだろう」と思って観たら、まんまと泣かされてしまいました。
 大学生である千夏の乳がんを中心にした物語ですが、ありがちな闘病をテーマにしたような
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.2

 定期的に過去に遡る構成は「メメント」のまんまだと思いましたが、恋愛映画のニュアンスとしては「エターナル・サンシャイン」に似ていました。物語の構造や登場人物の過去へのこだわりとかは違いますが…。これが>>続きを読む

ジャンヌ(2019年製作の映画)

2.0

 この描写と展開で138分はかなり厳しかったです。前半はアマチュア劇団の舞台劇を屋外で撮影したようなものでした。なぜかめちゃくちゃ足場の悪そうな砂地や丘陵地なので、登場人物の動作が緩慢です。
 中盤以
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ジャネット(2017年製作の映画)

2.0

 ブリュノ・デュモン監督の作品は、もう20年以上前ですが、「ユマニテ」を観ました。ほとんど記憶にないくらいです。
 久しぶりにこの名前に出会ったと思ったら、ロック・ミュージカルでしかもジャンヌ・ダルク
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犬王(2021年製作の映画)

2.4

 個人的には、あまり共感できる作品ではありませんでした。序盤に“三種の神器”のくだりがあって、それをきっかけに友魚が仇討ちの旅をはじめたはずですが、どちらも物語から消失してしまいます。それが物語の基軸>>続きを読む

ハンナ(2011年製作の映画)

4.0

 あまり評判がよくありませんが、個人的には結構好きで、これまで4回観ました。
 10年前くらいの最初の感想は、The Chemical Brothersの劇伴がカッコいいということです。16歳の少女を
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.2

 すごいものを観てしまったことに間違いありませんが、映画のクオリティとしては残念なものでした。
 殺戮シーンの過剰な演出は賛否あると思います。血糊の分量を間違っているし、ここまでやられてしまうと笑うし
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ブレイブ ワン(2007年製作の映画)

3.8

 たぶん15年ぶりくらいで観ました。当時もジョディ・フォスターが演じたエリカの行動に賛否がありましたが、現代的な価値感でも難しい判断です。おそらく両極端になるであろう意見はどちらも正論のはずです。
 
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ゾディアック(2006年製作の映画)

3.8

 今回で3回目になります。最初に観たときは、連続殺人鬼をテーマにしたデヴィッド・フィンチャー監督の作品なので、当然に「セブン」のような作風を期待しました。長年にわたって決定的な証拠もつかめない刑事や新>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.4

 なにより主演のアナマリア・バルトロメイの美貌に見惚れてしまいます。自分の境遇を誰にも相談できなかったりするので、複雑な心情や焦燥感を表現することも簡単ではなかったと思いますが、そんな彼女の演技が作品>>続きを読む

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

3.2

 とても評判のいい作品ですが、個人的にはあまり共感できず、こういう感動的な物語を理解するだけの素養がなくて残念でした。もともとアメリカの良心や愛国心を体現したような物語が苦手です。父親をトム・ハンクス>>続きを読む

ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.2

 ミシェル・フランコ監督の作品は、「父の秘密」しか観ていませんが、ここまで作風を一変させておきながら、映画でやりたいことは“そのまま”という表現に感服しました。
 メキシコの誘拐ビジネスの実態は、最近
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ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)

4.0

 必ず2回観ようと思っていましたが、何年も経ってしまって都合よく結末を忘れていました。映像やアクションシーンの迫力とかは普通ですが、登場人物の設定と脚本が素晴らしいです。終盤に判明するクリスチャンと2>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.8

 先週も滋賀県に仕事で出張したので、米原まで新幹線を利用しました。この作品に登場する高速鉄道は、あくまで新幹線ではない架空の列車“ゆかり”ですが、品川、新横浜、静岡、浜松という“ひかり”の停車駅が登場>>続きを読む

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

3.2

 とても評判がいいし、終盤はそれに見合った感動的なシーンとなっています。そこに至るのは俳優陣の功績で、とても素晴らしいと思いました。
 ただ、冒頭の空襲シーンの映像のクオリティには閉口してしまいます。
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母性(2022年製作の映画)

3.2

 母と娘の共存関係を「羅生門」のような構成で表現している作品だと勘違いしていました。そうではないアプローチは悪くありませんが、物語の主軸がわかりづらい演出と構成です。
 前半の清佳の幼少期は、かなりデ
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レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード(2003年製作の映画)

3.0

 当時は地元のシネコンで観て、ほぼ満席状態でした。アントニオ・バンデラスもジョニー・デップもキャリアの絶頂期で人気があったからです。
 ただ、この物語のスケール感に“マリアッチ”のキャラクターはマッチ
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サイド・エフェクト(2013年製作の映画)

3.8

 個人的に医薬品が嫌いなので、最近は風邪薬、サプリメント、栄養ドリンクすら服用しません。副作用が苦手ということもあります。夢遊病は小学生のころに経験していて、屋外まで歩いたことはありませんが、気付いた>>続きを読む

哀しき獣(2010年製作の映画)

3.6

 たぶん10年ぶりくらいで2回目を観ましたが、あの当時に流行っていた韓国の犯罪映画に紛れてしまい、あまり記憶していませんでした。
 別々の理由で同一人物の殺人依頼が2つもあり、それが同時に実行されよう
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.0

 日本の劇場公開からほぼ1年を経過してしまったので、ネタバレになるビジュアルを何度か観てしまい、「この映像でまともな映画になるのか?」という半信半疑のままで観ました。
 主な登場人物は、アダを含めた4
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

 最初に観たときは、想定外で未体験の展開に戸惑い、ほとんど意味を理解できないままだったので、久しぶりに2回目を観ました。表面的には物語を理解できましたが、やっぱり解釈しきれない難解な作品です。
 序盤
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ブラックアダム(2022年製作の映画)

3.4

 ドウェイン・ジョンソンとヴィン・ディーゼルの区別すらつかないくらいなので、あまり期待もせず観ましたが、ヒーローをテーマにしたヒーロー映画という表現がくどい印象でした。アクションシーンのクオリティだけ>>続きを読む

3つの鍵(2021年製作の映画)

3.8

 「3つの鍵」という邦題や「3つの家族の…」というあらすじで混乱しました。どう観ても“4つの家族”の物語だからです。原題は「3つのフロア」という意味だろうし、1階に住む老夫婦と孫娘のシャーロットがカウ>>続きを読む

シャイニング(1980年製作の映画)

4.2

 もう何度も観ていますが、久しぶりに観ると、少しベタなホラー映画の表現が多用されていました。逆に言えば、これが現代的なホラー映画の原型の1つになったということだと思います。
 かなり血生臭い描写もあり
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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

3.6

 主人公のクラリスが夫と2人の子どもたちを残して家出するシーンから始まりますが、そこから時間軸がごちゃまぜになった4人の物語が断片的に描かれる構成です。頭のなかで1つの物語に再構築できないまま、ずっと>>続きを読む

Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック(2018年製作の映画)

2.0

 主人公の2人のように頭を空っぽにして観ないといけない作品でした。16歳の少女が違法薬物の常習者で、しまいには昏睡強盗で得た札束でバカンスという展開をめちゃくちゃポジティブに描いています。そのまま若者>>続きを読む

ボーダー 二つの世界(2018年製作の映画)

4.0

 2年前くらいに観て、この世界観をちゃんと理解できないまま、必ずもう1回観ようと思っていたところ、その途中でアリ・アッバシ監督の前作「マザーズ」を観ることができました。さらに抽象的で難解ながら、独特の>>続きを読む

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

3.2

 先日観た「麒麟の翼」とともに原作が秀逸で、この作品も2回読みました。後半に判明する登場人物の相関関係を前半では想像できずにいたので、2回目で納得というか、予想外の物語の展開に驚嘆した記憶があります。>>続きを読む

カラダ探し(2022年製作の映画)

2.4

 「赤い人」と呼ばれた少女は、台湾映画の「紅い服の少女」をイメージしましたが、それを下回るビジュアルが残念です。そもそも自分の「カラダ探し」を頼んでおきながら、その高校生たちを次々と襲って邪魔する意味>>続きを読む

スモールワールド(2021年製作の映画)

3.6

 ポーランドの映画といえば、クシシュトフ・キエシロフスキ監督やアンジェイ・ワイダ監督をイメージしますが、それはあまりに単純な発想だと反省しました。最近はこんな映画もあるんだと納得させられた作品です。>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.6

 世界中で“専業主婦”なるものが普及・定着してきたロジックを認識していれば、冒頭からの描写がめちゃくちゃ不気味で、彼らのコミュニティが何らかの悪意をもって構築されたものであることがわかります。
 それ
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インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)

3.6

 噂どおりの難解映画でした。それぞれの場面の出来事は理解できますが、物語に起承転結がなく、冒頭からエンディングにかけて、なにをどう解釈していいのかわかりません。
 ただ、映像的な仕掛けが多種多様で飽き
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麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜(2011年製作の映画)

3.2

 原作を読んだのが10年前くらい、映画を観たのが5年前くらいでしたが、どちらもちゃんと憶えていなくてよかったかもしれません。2回目でもそれなりに面白かったです。
 東野圭吾さんの「加賀恭一郎」シリーズ
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