さわらさんの映画レビュー・感想・評価

さわら

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香川1区(2021年製作の映画)

4.5

ジャーナリスト・田崎さんに八つ当たりしたり「50歳引退宣言」の撤回動画を出すかどうかで1ヶ月悩んだり、前作からわかってたけど、小川淳也氏はきっと政治家に向いてない。でも、だからこそ任せたい民意が痛いほ>>続きを読む

決戦は日曜日(2022年製作の映画)

4.5

最初は二世議員の選挙活動がコミカルに映るが、次第に政治やシステムに絡め取られ、主人公と観てる我らの笑みを失わせる。恐るべし。暗躍する利権議員・政策秘書・記者、そして金。とてつもなく大きなものに対峙する>>続きを読む

魔界転生(1981年製作の映画)

4.5

前半の魔界衆への仲間集めという怠い展開に、眠気に耐えたものだけがたどり着ける恍惚。燃えさかる天守閣での若山富三郎・千葉真一の殺陣のかっこよさよ!
勝ちか負けかもわからない唐突すぎるラスト。斬られ、白目
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.5

たとえ「真実」だとしても虚偽とし沈黙を強要される。何よりその圧力が性別・世代間から生じるものではなく、“とてつもなく大きなもの”が発せられているという絶望感。戦いに勝って、心は負ける。あぁ地獄。
で、
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

『 簡単には言い表せない傷を慰撫する2人、よかった。

が、『PASSION』の工場の白煙を背景にした2人や、『親密さ』での朝焼けの丸子橋のような、“奇跡的な何か”は感じられなかった。『THE DEP
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.0

戻れぬ過去を思って嫌気がさしたり、もう出会えないであろう人を想ったりして身悶える気もわかる。わかるのだけど、“いま”をもっともっと強く愛してもいいんじゃないか。そんな映画を観たいよ。つまらん。小沢健二>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.5

ホラー、アクション、そしてファミリーへとジャンルを縦横無尽に駆け廻る。映画内のドールハウスに象徴されるように、映画という舞台はジェームズ・ワンにとってひとつの小さな玩具にすぎない。

痺れた。上から、
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偶然と想像(2021年製作の映画)

5.0

超絶。論理と情動のボクシングの1話と2話。からの3話。見ず知らずの2人が、心の傷に手当てし寄り添うこと。あぁ、素晴らしすぎる終幕。大傑作間違いなし。

偶然が重なり、僕たちの思い描いた結末の想像をゆう
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ただ悪より救いたまえ(2019年製作の映画)

1.5

イ・ジョンジェには、「こいつに追われたらやべぇ」という金玉が萎縮してしまうような恐怖感が足りない。泣きながら目を潰していくような異常さもない。あぁ、つまらない。すごく長く感じた。韓国ノワールの名が廃る>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.5

カルチャー誌と文芸誌という出版社カーストを“階層”で描く。文芸誌を追い出された新人編集者は、涙ながらに螺旋階段を下る。
下の階層の人間が最上階の社長室を突き抜け屋上に登ったとき、あぁこれは吉田大八的屋
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ホムンクルス(2021年製作の映画)

2.5

ドリル穴・金環日食・螺旋階段。常軌をあと一歩のところで逸さない。保ち続ける“円環”のイメージ。

ぎりぎり面白くない。
岸井ゆきの×成田凌、『愛がなんだ』にしか見えない病。

オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

5.0

海の中の、すごい瞬間・映像の数々なのだけど、第3者がクレイグを撮っているし、都合よくドラマチックに構成し直してるのも火を見るより明らかだ。自然に魅入られた男の人間性の再生なんて、ほんと身勝手なエゴイズ>>続きを読む

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

2.0

見せたがる男どもは当然唾棄すべき人間だろうけど、とはいえ「インテリな子と話すのが好きなんだ」と言って12歳の女の子を話し相手に選ぶ男を、あたかも聖人のように扱うのはおかしくないか。

SNSが児童虐待
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

5.0

ポスターイメージよりだいぶスリリングなのは、非当事者が当事者の語りを“語り直す”ことの難しさを観ている者が、4人の若者と同じく、目の当たりにするからだ。

こんなの観たことのない!静かな静かな映画体験
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ビバリウム(2019年製作の映画)

3.5

閉鎖空間においても、男は外で仕事・女は家で育児をするという、旧来的なジェンダー社会が自然と構成されてしまうのが皮肉だ。その子育てにおいても、子どもの持つ潜在的な不快さと不気味さを無理に増幅させて描き、>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.0

他の現代ボクシング邦画『あゝ荒野』『アンダードッグ』に比べると短編で、いささか消化不良感はあるけど、それでも戦わざる負えない諦めの悪い男たちの連帯には胸熱くさせる。松山ケンイチの薄ら笑い、東出の崩壊の>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.5

公開前、「シンジが一発でも親父を殴るシーンがあれば傑作」というツイートを見て激しく同意したのだけど、その意味ですばらしかった。

僕はこの映画を3月11日に観た。
10年前。ひとつの神話の終わりを見届
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.0

人の気持ちを読みすぎる“まともじゃない”女子高生と、気持ちの読めなすぎる“まともじゃない”予備校教師の謎の結託。非倫理的な行動の数々は文字通り“まともじゃない”のだけど、それ自体が前田弘二×高田亮の思>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

2.5

異国の地、つまり与えられた環境でしっかり根を張り逞しく生きる様をセリ(韓国名「ミナリ」)に込めるのはいいが、「子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味」というチラシ裏の文言にはとうてい>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

4.0

朴正煕といえば朴槿恵のパパやろ、ほどの知識しか持たないほど韓国現代史にそんなに詳しくなのだが、それでも面白かった。こうして全斗煥が生まれたのかと思うと皮肉なものである。

共に同じ景色を見ていたはずが
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あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.5

婚約者と愛人、出産経験者とそうでない人、都市と外部。安易に分断されるさまざまな女性たちを、歪み合いもせず、まさに「邂逅」してみせる。あの夜の、幸福な自転車の“ニケツ”が理想世界を象徴していた。

男も
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すけべてんこもり(1995年製作の映画)

4.5

公開題『すけべてんこもり』からは到底及びもつかない、とてつもなく大きい、人類創世の話に至るのが興味深い。これだから映画はやめられないよ!

30年に1度は噴火するといわれる三宅島、溶岩ごろごろ転がる荒
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グッド・ストライプス(2015年製作の映画)

4.0

岨手監督新作への予習。

夫婦って、縦と横の糸であえて布を織り成す必要もないのかもしれない。交わらなくても、“よき平行線”(つまりはグッド・ストライプス)であればいい。

結婚に向けて、あくまで妊娠は
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香港画(2020年製作の映画)

4.0

催涙ガスを市民に迷いなく向けてしまう黒警察にも驚くが、ショッピングモールで平和に抗っていた市民側も火を放ち街を壊し練り歩くようになっていく様がすごい。そうか、こんな感じで国民の分断は始まるのか。

2
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

2.5

薄っぺらい幸せからの転落劇は、高さがないぶんさして面白いものでもない。

「子供を殴ってしまうのには理由がある」「学校に文句を言う親には理由がある」という穿った倫理世界上にこの話はあるので、趣味が点滴
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.0

劇中繰り返される「いまがいちばん最高」という言葉は決して本心から出てくるものではない。実際、CD屋のナカウチ(芹沢興人)は都内ライブハウスに勤め始めても仲間のつぶやきを気にしてるし、就職を決めたイトウ>>続きを読む

ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)

4.0

ドルビーシネマのでかいスクリーンに、悪意はないが、「仙台、消滅」とでかでかと映し出されるのはグッとくるものがある。また、「第一次防波線、突破」などと聞くとテンションが上がる。ジャスコ崩壊や足利市での戦>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.5

きのこ帝国、下高井戸シネマ、穂村弘、天竺鼠、押井守、今村夏子、カウリスマキとか。文化系のさまざまな点に共感したり、そんなことなかったりを繰り返しながら、結果普遍的な話にもっていく腕力がすごい。
とはい
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リベリオン ワルシャワ大攻防戦(2014年製作の映画)

4.0

ナチス・占領下のポーランド、ソ連の援軍を期待しワルシャワにて蜂起を決意する若者たち。最初こそ楽しく青春ムービーのような爽やかさを醸すが、一転ドイツ攻撃は凄まじく、血肉降り注ぐ描写やさっきまで仲間だった>>続きを読む

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

4.5

前篇・後篇一気見した。
自分の弱さや情けなさに泣きたくなることもあるけど、それが戦わない理由にはならない。熱いボクシングドラマに涙腺決壊は不可避だった。

第4の男・二ノ宮隆太郎が発する「男のロマンだ
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ヘイター(2020年製作の映画)

4.5

難民・貧困・民族の三重に苦しむポーランドで、社会の分断に暗躍する新時代ダークヒーローの誕生譚。フェイクニュースや陰謀論が流行り、大陸を蔓延る「ぼんやりとした不安」はもはや他岸の家事ではない。映画祭うけ>>続きを読む

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

2.5

いくら事実であるといえ、なんの努力・苦労も無しにミサや告解で人々の心を掴むのは無理があるなと。同情の余地なく徹底的に悪を貫くなら気持ちよさも感じるが、ダニエルが微妙に善人ぶるのが大変痛ましい。蛇足。>>続きを読む

三匹の侍(1964年製作の映画)

3.5

泥くさく、無骨で逞しい感じすらある姿は「三人」ではなく確かに「三匹」だ。丹波哲郎・平幹二朗・長門勇の面構えがどれもいい。ちなみに僕は圧倒的長門勇推し。

音にこだわり、リアリティを求めた殺陣演出に注目
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鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)

5.0

ウルトラスーパー大傑作!
贅沢極まりない美術と仲代達矢、そして何より正妻・歌(岩下志麻)のラストに釘づけだった。堕ちてもなお愛する男への、妾に奪われた女の情愛。身体の中の涙が全部でた。

「血の繋がっ
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花と沼(2020年製作の映画)

5.0

(R18版タイトル)『キモハラ課長 ムラムラおっぴろげ』を鑑賞。素晴らしい。眼鏡っ娘かつ主演・七海ななが街中を走る横移動は城定監督の伝統芸なのだけど、いつも感動してしまう。それと彼女の着るTシャツ、あ>>続きを読む

湯けむりおっぱい注意報(2017年製作の映画)

3.5

御年86歳、2017年の珍品。
個人的に、初の小川欽也御史の作品。

辻褄の合わない会話だらけの男と女のピンクロードムービー。芦ノ湖、三国峠、城ヶ崎海岸を巡る。謎のシャボン玉演出もあるが、最大の衝撃シ
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