さわらさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

さわら

さわら

映画(455)
ドラマ(0)
アニメ(0)

紙の月(2014年製作の映画)

3.0

映画祭の観客賞ほど当てにならないものはない。だけど、本作監督が『桐島〜』以降の久しぶりの大作である吉田大八師匠であり、また艶かしい宮沢りえが主演であることに期待して鑑賞。ただ正直期待は裏切られ、2時間>>続きを読む

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

4.5

『わたしはロランス』のときのような色彩的鮮やかさはない。なぜなら寂れた田舎のファーム(牧場)が舞台だから。だけど前作よりスリリングで見飽きせない、重厚なストーリーは見事なもので、25歳の怪物ぶりを強く>>続きを読む

東京漂流 あなたのお部屋で犯らせてもらえませんか?(1998年製作の映画)

4.0

「バクシーシ山下の社会科見学」、4回目にして初参戦。下衆な映画は渋谷で観るに限る。そんなことを強く実感した2時間半だった。
本作の内容は、バクシーシたちが4泊5日、ヤドカリのように女の家(ときに男優の
>>続きを読む

下女(1960年製作の映画)

5.0

一軒家に引っ越し、そこまで大きくない家にも関わらず、妻が倒れたことをキッカケに家政婦を雇ってしまったのが運の尽き。毒蛇のように舌をペロペロ出す家政婦に、思うがまま欲情掻き立てられ扇動されてしまう情けな>>続きを読む

太陽の坐る場所(2014年製作の映画)

3.5

Yahoo映画もFilmarksも、そこでの評価は極めて低く、そこまで期待していなかったが、BOOKOFFで絶版のレア本を見つけたときのような、ある種の掘り出し物的な良い映画であったように思う。良作。>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

4.0

8時だよ、全員集合‼︎における、「志村うしろうしろー」的な映画だった。要は、トリアー特有の鬱展開になることは観客皆が重々承知(お決まり)なわけで、それでいても違わずそこに帰着してみせる安心感は筆舌に尽>>続きを読む

ドライブイン蒲生(2014年製作の映画)

2.0

75歳監督だからというわけではないが、内容があまりにもじじくさくて辟易した。
正直、個人的に本作の面白さはほとんど感じられなかった。強いて言えば、トシと咲紀の掛け合いなのだろうが、あまりに主役2人の厭
>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

5.0

初濱口映画で、体の芯から驚愕・興奮・悦楽な時間を味わった。ありがとう、大好きです濱口監督。Filmarksを観ている全ての人に、「濱口竜介」の名を脳に刻んでいただきたい。彼こそポスト北野武や黒沢清であ>>続きを読む

サッドティー(2013年製作の映画)

5.0

サッドティーは「ほんのり甘くて、すっぱくて、苦い」らしい。なんだ恋愛と同じじゃないか、って思えるほど恋愛達者な僕じゃないけど、それでも節々に思い当たる言葉にぶつかる。言ったり言われたり、また言われたか>>続きを読む

聖者たちの食卓(2011年製作の映画)

4.0

同じ釜の飯を食うなんて言葉があるけど、その言葉の意味をしかと痛感させる映画だった。
シク教の「すべての人々は平等である」という教義を守るため、黄金寺院であるハリマンディル・サーヒブで毎日行われる習わし
>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

4.5

今年27歳になって思うことは、20歳になったときの不思議な高揚感はもはやなく、30歳の足音が聞こえてきたわけでもないということで。いわゆる宙ぶらりんで“ままならない”という鬱屈、空虚感という類いの気分>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)

3.5

しょうもない、馬鹿げたことを徹底的に行うことは観ていて清々しい。本作はトリアー版『好色一代女』なのだが、ベクトルは振り切れんばかりにバカに徹している。例えば初セックスの場面、でかでかと出てくる腰振りの>>続きを読む

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

3.5

怒りのエネルギーをどこにどう向けるか、原発や食品管理など、様々な問題を抱える今の日本に1つの指針を示してくれる映画である。ファン・ドンヒョク監督、主演のコン・ユの「伝えねば!」という強い覚悟と意志を感>>続きを読む

FORMA(2013年製作の映画)

3.5

無意味なほどの長回しや不可思議なラスト、静謐なエンドクレジットを観ていると、ハネケの『隠された記憶』やミシェル・フランコの『父の秘密』の二番煎じ感は否めない。しかし日本人監督(ましてや女性監督)がここ>>続きを読む

ぼんとリンちゃん(2014年製作の映画)

4.5

「ぼん」の圧倒的存在感の前に、「りんちゃん」の影が薄まってしまっているのは惜しいとこではあるが、それを差し引いても素晴らしい映画だった。中年ゲーム・アニメオタクの「べび」を罵倒する姿は、M気質がないに>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

4.0

単なるいち歌手グループの成功譚なはずはない。マフィア・ドラッグ・借金・確執・離脱・離婚、そして死。青春の光と闇、栄光と挫折。つきまとう負のオーラを最後に拭い去り、ラストに歌う『君の瞳に恋してる』にはあ>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年製作の映画)

3.5

数少ない知人が本作を観たあと、事あるごとに壊れたラジオのように「アイアムグルーート‼︎」と叫んでいたので、そこまでかと思い鑑賞。前評判もクソ高かったので期待値マックスだった。
んで、鑑賞後。期待値ほど
>>続きを読む

テロ、ライブ(2013年製作の映画)

4.5

閉鎖的なテレビ局の放送室で繰り広げられる、際限なき功名心や欲望、そして思惑。その映画全体の対比的な構図がすごく面白かった。よくも限定的な場面・シチュエーションで、ここまでどきどきさせる画が撮れるなとし>>続きを読む

TOKYO TRIBE(2014年製作の映画)

2.5

全編ヒップホップとか、さらにド派手なアクション。目で耳で、どちらも斬新で冒頭楽しませてくれた。だけど、それも45分までだったな。途中から間延び、観ていて辛いと思うこともしばしば。竹内力の狂乱ぶり、鈴木>>続きを読む

新しき世界(2013年製作の映画)

5.0

本作『新しき世界』は、犯罪映画や抗争映画、ましてや映画界全体にとって新基準を設けた記念碑的作品である。スコアが最高5点なんて、ここまで歯がゆい気持ちになった映画はない。白石和彌監督『凶悪』、園子温監督>>続きを読む

ドラッグ・ウォー 毒戦(2012年製作の映画)

3.5

併映された『新しき世界』が近年稀に見る大傑作だったゆえ、本作が見劣ってしまったことは否めない。順番が逆ならまた感じることも変わろうが、歴史的快作『新しき世界』を観た後だと、何もかもが薄っぺらい劇画に見>>続きを読む

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)

4.0

ゴジラは、僕にとって“憧れ”である。ゴジラ映画はほぼ全てをビデオ&DVDで鑑賞したが、劇場で観る機会はなかった。子どもの頃、「いつか新作ゴジラを映画館で観れますように」と七夕の短冊に書いたことがありそ>>続きを読む

麻雀放浪記(1984年製作の映画)

4.5

寺山修司の「賭博には、人生では決して味わえぬ敗北の味がある」という言葉に感化されて、麻雀をかじった小生にとって、本作はかなりツボであった。古今東西、ギャンブルをめぐる名言のなかに、「負けこそギャンブル>>続きを読む

思い出のマーニー(2014年製作の映画)

4.5

誰ですか、本作を『アナ〜』のWヒロインをパクった便乗映画で、ジブリ初の百合映画と言ったのは‼︎本作は、『アナ〜』なんかより強く心に響き、百合っぽさが無くはないが、もっと人間の普遍的な愛を語っている。ア>>続きを読む

あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

海の日ということで、海の映画を。
ラブストーリーなんてあまり好きじゃないし、ほとんど観ない。しかし、本作は別。「おすすめの恋愛映画はありますかー?」が常套文句でべちゃべちゃよく喋る女美容師に対し、常に
>>続きを読む

徳川セックス禁止令 色情大名(1972年製作の映画)

5.0

都内に『思い出のマーニー』を観に来たのに、何を間違ったか本作を鑑賞。本作を観るに至った思考の変移を自分でも解せぬが、いいもんみたなという妙な充足感を感じている(伝説的映画『エロ将軍 二十一人の愛妾』と>>続きを読む

複製された男(2013年製作の映画)

4.5

都市伝説にはなるが、自分と瓜二つの人間、いわゆるドッペルゲンガーと呼ばれる人はこの世に3人いるらしい。小生も知人から『ファインディング・ニモ』に出てくる海ガメに似てるとよく言われるのだが、正直複雑であ>>続きを読む

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

3.5

舞台はオーストラリア。都会に住む14歳の姉と6歳の弟は、父に連れられて砂漠に向かう。父には目的があった、それは砂漠で一家心中すること。そんな父の思惑に気づき、どうにか生き延びた姉弟は砂漠を放浪する羽目>>続きを読む

狩人の夜(1955年製作の映画)

4.5

名優チャールズ・ロートンの初監督作品。しかし、当時の多くの批評家たちに本作は評価されず、結局興行的に鳴かず飛ばずだったらしい。監督の死後、本作のミステリアスさやロバート・ミッチャム、リリアン・ギッシュ>>続きを読む

サンタ・サングレ/聖なる血(1989年製作の映画)

4.0

サーカスの団長オルゴとその団のブランコ乗りのコンチャ、その間に生まれた主人公フェニックスは感受性豊かで繊細な少年。オルゴは常に女に手を出すダメ夫である。ある日、コンチャはオルゴの浮気現場を目撃し、怒り>>続きを読む

愛の新世界(1994年製作の映画)

5.0

“みんな大好き、高橋伴明監督作品祭り”が始まるよ!今回は鈴木砂羽デビュー作、そして日本映画史上初のヘアヌード映画としても名高い『愛の新世界』だ!
SMクラブの女王様でありながら、女優のたまごとして劇団
>>続きを読む

愛のコリーダ(1976年製作の映画)

3.0

「芸術か猥褻か」といった不毛な論争などよろしい。なぜなら本作が「芸術的な猥褻」であり、「猥褻な芸術」でもあるからだ。どちらの要素も包含している本作で、白黒区別をつけようとすること自体間違っていると思っ>>続きを読む

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.5

冴えない理科教師・城戸誠。城戸は東海村の原子力発電所からプルトニウムを盗み(管理甘すぎ‼︎)、自宅で原子爆弾をつくるのに成功する。そしてそれを武器に、野球中継の延長やローリング・ストーンズの来日などを>>続きを読む

青春の殺人者(1976年製作の映画)

4.5

長谷川和彦、監督第1作目にして驚愕的作品。いろんな現場の助監督を経て充分な下地があったからこそ生まれた、日本映画史における記念碑的快作である。俳優・染谷将太のおすすめ青春映画として本作を挙げていたが、>>続きを読む

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

2.5

例えばスーパーマリオやロックマン、魔界村をやっていて、ボス戦直前で残り0機になり、「やべーこれ死んだら、また最初からだよー」みたいなクソガキ感覚(『ゲームセンターCX』の有野課長感覚)を経験したことの>>続きを読む

渇き。(2013年製作の映画)

3.5

拝啓、中島哲也様。まずは最新作にして野心作、そして狂作な本作の公開を心からお慶び申し上げます。鑑賞後、周りの女子高生たちが「気持ちわるーい」「観なきゃよかったー」「つまんなーい」などの罵詈雑言のなか、>>続きを読む