トモヒコさんの映画レビュー・感想・評価

トモヒコ

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きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)

4.8

湯浅政明監督最新作。日本映画史に残るほどリア充カップルが幸せそうに描かれていたわけで、僕これ独り身だったら心死んでたというか、作品に対する評価が逆転していただろうな、とか思うわけですが。最愛の恋人を失>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.8

 好意の強いほうが、好意の弱いほうに主導権を握られる。力関係に高低差が生じ、誰も報われない恋愛が続いていきます。そういう醜いパワーゲームのなかでひとは成長していくのでしょう。ただ『愛がなんだ』で描かれ>>続きを読む

サッドヒルを掘り返せ(2017年製作の映画)

4.8

 「映画好き」にもいろいろ階層があると思いますが、「映画が人生に寄り添ってくれた」経験を持つ人、その忠誠心は固いのではないでしょうか。というのは最近ぼくは本当に映画に救われていて。春休みで自宅とバ先と>>続きを読む

パペット 大騒査線 追憶の紫影(2018年製作の映画)

4.8

差別や偏見にさらされるパペットたちを、肌の色で差別される現実のコミュニティと重ね合わせることは、そう難しくありませんでした。
社会の低層に、人間の娯楽のためにつくられ、人間を憎み、ときに人間に憧れ、ま
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サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所(2017年製作の映画)

4.8

 映画に出てくるドラァグクイーンと言えば僕は『RENT』のエンジェルが真っ先に思い浮かぶのですが、Today for you♪と陽気に歌っていた彼(彼女)を含め、現代のストリートに、貧困とともに生きる>>続きを読む

フロントランナー(2018年製作の映画)

4.8

 政治に「たられば」はないとは言え、ハートが失脚したことは、米国にとって重大な損失だったと思います。88年大統領選挙に関しては、政治家、マスコミ、国民の誰もがイノセントではあり得なかった。全プレイヤー>>続きを読む

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

4.5

 闘わないほうが「賢明」だと言われる試合に臨み、そこで負けない男のドラマとしての前作『クリード チャンプを継ぐ男』と『クリード 炎の宿敵』を二本立てで観て、シリーズの通奏低音的なテーマが浮き上がってき>>続きを読む

迫り来る嵐(2017年製作の映画)

4.5

 フィンチャーの『セブン』やヒッチコックの『めまい』、果てはリュミエール兄弟の『工場の出口』まで。映画的記憶を刺激しながら、陰鬱かつ洗練された映像で語りきる中国製ノワール。本作最大のチャームは、主人公>>続きを読む

悪の法則(2013年製作の映画)

4.8

 金も地位も名誉もあり、綺麗な婚約者までいる若き弁護士。イケイケの彼が、自分のワルい部分を弄ぶかのように、あるいは自分に箔をつけるかのように麻薬ビジネスに手を染めるが、次第に、現実の冷徹な論理に絡めと>>続きを読む

シュガー・ラッシュ:オンライン(2018年製作の映画)

4.5

 映画はじめは『シュガー・ラッシュ:オンライン』。字幕版のいいところはガル・ガドットが演じるシャンクを楽しめるところ。菜々緒にはない渋みとかやだみが出ていて吹替の3倍は格好よかったです。(ヴァネロペは>>続きを読む

斬、(2018年製作の映画)

4.5

江戸時代末期。日本が開国し世界大戦へ向うその入り口で、ホンモノの刀に対する違和感を飲み込めない主人公。人を斬ることをためらう彼は、まさに監督そのひと。戦争の足音が聞こえる中で、人を傷つけることを拒否し>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.8

初見は台湾の映画館で。アカデミー賞発表当日だった。
主人公・イライザと半魚人の彼は、言葉や文字でのコミュニケーションがとれない。ふたりは手話、顔の表情、ジェスチャーなどで意思疎通をする。この映画も映像
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ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

4.8

 監督イーストウッドは自身の作品で一貫したテーマを扱っている。「古きよきアメリカ」が自明でないときに、アメリカ人男性はどう生きるのか。
 本作では3人の男が各々のトラウマと向き合う姿が描かれる。ジミー
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レディ・バード(2017年製作の映画)

4.8

カリフォルニアの州都・サクラメントはカトリックの呪縛息つく田舎町。女子高生レディ・バードは「来世は東京のイケメン男子にしてくださ〜い!」と言わんばかりに地元を憎み、N.Y.に憧れている。
サクラメント
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ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.5

(ネタバレしてるけどネタバレしてたほうが面白いから読んでください!)
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』が傑作だった件は各方面で語られていて僕も基本的には大興奮というかいまちょっとデル・トロの顔が
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ブラックブック(2006年製作の映画)

4.8

 ポール・バーホーベンのハリウッド作品を観ているうちは、身も蓋もない人体破壊描写と性表現、地に足の着かない着地で神経を逆撫でされながらもバーホーベン無しでは生きていけないカラダに改造されていく感覚を楽>>続きを読む

キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー(2014年製作の映画)

4.8

 今月の映画秘宝にならって「俺が愛するMCU」をあげるならば1位は本作「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」になる。「アベンジャーズ4」の撮了を報告したルッソ兄弟の初MCU作品。本作の前に彼>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

4.2

 マーク・ウェブ監督と言えば傑作「(500)日のサマー」や「gifted/ギフテッド」などのドラマ作品が注目されがちだが、エポック・メイキングなサム・ライミ版とMCUの間で影を潜めつつある「アメイジン>>続きを読む

リトル・ミス・サンシャイン(2006年製作の映画)

4.5

「人は誰しもが独立した個人であり、各々の決断はその存在と共に尊重されるのであって、家族・親子・性別等の役割規範により阻害されるべきではない」ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス夫妻の作品を重ねて>>続きを読む

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

4.9

「プレイス・ビヨンド・ザ・パインス/宿命」と併せて観た。大学広報にお願いされた「高校生におすすめの冬の映画5本」の一本に選ぼうとニヤニヤしている。
それなりに幸せな期間を過ごして、信じられるものを見つ
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.0

インヒアレント・ヴァイスとは何かをずっと考えている。保険用語で「外部的作用によらずものそれ自体の作用によって非保険貨物に損害を生ぜしめる貨物特有の性質」らしいが本作ではホアキン・フェニックス扮するドッ>>続きを読む

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)

4.8

自分のアイデンティティに誇りを持ちながら、触れ合い、ぶつかり合う文化のなかで、人の輪に溶け込みたいという人間の普遍的な願望を描く本作。
海峡華人たちの絢爛豪華な豪遊ぶりは映画全編にスペクタクル性を与え
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