映画好きの自転車さんの映画レビュー・感想・評価

映画好きの自転車

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フロントライン(2025年製作の映画)

4.7

閉ざされたダイヤモンド•プリンセス号という社会の縮図で未知との脅威と闘う人間の強さと弱さを描く。静寂に忍び寄る不安が日常を覆うも、そこから芽生える希望と連帯に敬意を示したい。画面越しでこの出来事を見て>>続きを読む

国宝(2025年製作の映画)

4.5

時の風に400年研鑽された磨かれた美が、静謐に語りかける。似て非なる者である木兎であった吉沢亮演じる喜久雄。彼の悪魔との契約が次第に眼差に奥ゆかし企てと血筋を凌駕する色艶な所作が躰に宿る。血の伝統、芸>>続きを読む

雪の花 ―ともに在りて―(2025年製作の映画)

4.0

越前の厳しくも美しい山と川。死屍累々の犠牲と上善如水積み重ねられた努力と記録が医学の進歩を支えてきた。しかしやはり”医は仁術なり”。仁愛の徳を施し、情熱や信念を抱く者、いつの世も良い医者の条件である。>>続きを読む

永遠の0(2013年製作の映画)

4.0

風に揺れる夏草のように、過去と現在、命と記憶の狭間を揺蕩う詩。戦争の是非ではなく、人が人として、何を信じ、何を守ろうとしたのか。“英雄”でも”犠牲者”でもない、一人の男の「想い」の想いの痕跡巡り、ゼロ>>続きを読む

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.0

戦争という極限の名もなき人間性のメロディ。立場を超えた人間の憂慮も、やがて国家や制度に翻弄され、巨大な暴力の構造に呑まれ、全ての人間の「痛み」と「無力感」を齎す。誰もが加害者であり、同時に被害者でもあ>>続きを読む

リロ&スティッチ(2025年製作の映画)

4.0

陽光に包まれたハワイで、愛を無くした少女と愛を知らぬエイリアンの小さな奇跡の物語。リロの持つ光と影、無垢な孤独と奔放さと演技、ライティング、VFX駆使し生まれたスティッチの質感は、物語を現代に蘇させる>>続きを読む

天外者(2020年製作の映画)

3.7


幕末から明治へ。移ろう激動の世に夢と志を持ち続けた風雲児の、眩くも儚い軌跡を一幅の絵巻のように描く。「東の渋沢、西の五代」と呼ばれ、薩摩弁で「規格外の才を持つ人物」という意味の題名の時代の枠を超え、
>>続きを読む

ショウタイムセブン(2025年製作の映画)

3.5

ラテン語「中間」を意味するメディア。権力と世論の狭間でその力を笠に着て恐ろしい力を宿せる唯一無二の存在。しかし真の公正、公平はメディアの人間のみ宿る。対岸の火事なエンタメの暴力性。メディアサイクルによ>>続きを読む

トラペジウム(2024年製作の映画)

4.4

夢を夢で終わらせない持たざる者の無垢な焦燥と憧憬。アイドルという遥か彼方の眩い恒星は、遠くから眺めれば煌びやか美しい。しかし近づく程に星雲纏い見渡せなくなり、無限の闇を彷徨う。その青春は台形の如く歪か>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.2

人は避けたい事と出遭う者である。イランの聖地マシュハドでの娼婦連続殺人。女はヒブジャに二度殺される。蜘蛛の巣の如く社会全体に蔓延る偏見と沈黙。狂信者の蛮行は、やがて神の意志にすり替えられる社会、信仰、>>続きを読む

パディントン(2014年製作の映画)

3.6

雨の似合うロンドンの街角に、ペルーから来た小さな紳士クマのパディントンが訪れる。礼儀正しく、好奇心旺盛で、少し不器用。しかしビロードのような温もりを運ぶ。居場所とは、他者とのつながりの中で生まれ、家は>>続きを読む

花まんま(2025年製作の映画)

3.5

大切な人に贈る小さな花の弁当「花まんま」。
記憶の濃淡を色鮮やかに、丁寧に語り分けながら、人間の哀しさや温かさを繊細に、巧みに描く。しかし時折、暗澹たる展開を明るくする為の個人的に諄いが、記憶として心
>>続きを読む

名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)(2025年製作の映画)

4.5

雪の記憶に潜む悲哀と正義の影。白銀に沈む山間で過去と現在が交差する狭間に立つ、片目に過去を宿す男・大和敢助。正義の名を借り語れる罪と、罪を背負い語られぬ正義。雪山の冷たさとは裏腹に復讐、贖罪、沈黙、約>>続きを読む

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方(2024年製作の映画)

3.3

メディアの光と金の残響の中で、D•トランプの知れざる創設神話を逆説的に語る。メディアとマチズモの皮肉を脆く、如何に虚像あるかを暴く。彼の性格体現するトランプタワー。これはアメリカ•ドリームか、それとも>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.4

G・オールドマンが纏うチャーチルは単なる歴史的偉人でなく、混沌の中で煙とウイスキーに沈みながも言葉で世界を動かす民意に寄る首相。その言葉を用いた演説は、剣より鋭く、光より確か。成功も失敗も終わりでない>>続きを読む

かくかくしかじか(2025年製作の映画)

3.5

まだ何者でもない頃の”東村アキコ”の涙の自伝作品。絵画教室で出会った全時代的な日高先生の「描け!」というに呪縛にも似た厳しい指導。後にその「習うより慣れよ」という真意を理解し、感謝と後悔の念を抱く。師>>続きを読む

サブスタンス(2024年製作の映画)

5.0

皮膚の奥に潜む欲望が、静かに、しかし確かに鼓動する。美望む程に醜に囚われる。しかしその羨望も搾取の世から生まれた。
外見至上主義と自己嫌悪が引き起こす内面の恐怖を描き、美と若さを追い求める現代人に鋭い
>>続きを読む

マインクラフト/ザ・ムービー(2025年製作の映画)

4.0

友情伴う再起の古き良き娯楽的展開の王道。
四角の世界を狂気の技術で実写化する覇道。
相反する二つの道が重なり自由度高い3億本の世界一売上誇る原作ゲームをクリエイティブな実写映画化とする。そして劇場に純
>>続きを読む

シンシン/SING SING(2023年製作の映画)

3.5

更生プログラム"舞台演劇"を通して自身を囲む環境や内面に真摯に向き合い悩み踠き、囚われた心身を解放し、「人」として生きる喜びを再び掴む姿が胸を打つ。芸術の持つ不思議な力が人間を再起させる可能性を力強く>>続きを読む

サンダーボルツ*(2025年製作の映画)

4.5

過去に悪事を犯した後悔、孤独により空虚な現実を過ごす無法者、荒くれ者たち。己の秘めた傷、過去は呪いのように逃さない。一生抱えて生きるか、闘い精算するか。ヴィラン達の鎮魂歌は、まさに青天の霹靂。遣る瀬な>>続きを読む

陪審員2番(2024年製作の映画)

5.0

田舎町のある殺人事件の法廷を舞台に善悪の葛藤、「正義」と「正義感」の差異、真実の行方、正義の不形性問うイーストウッド監督手掛る最後の傑作。司法の象徴である正義の女神の名の元に開れる裁判。だが人を裁くは>>続きを読む

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

5.0

産業革命後に登場した毒ガス、戦車、火炎放射器等の新兵器により凄惨なWW1の戦場に息を呑む。たった数百メートルの戦前確保の為に地獄である塹壕戦で命を散らす、数多の若者たち。彼らは駒、弾丸ではなく人である>>続きを読む

紅の豚(1992年製作の映画)

5.0

世界恐慌で世間は黒雲に覆われ、ファシズム台頭し、迫り来る戦前に再び国家の英雄なる事拒み、忠義的な犬、自由奔放な猫でもない、思想や情事が何方不付な豚になった男。多くは語らず、背中で語る”ポルコ・ロッソ”>>続きを読む

蛍火の杜へ(2011年製作の映画)

3.3

常盤色の緑深い山神の森とは対照的な、いつか時により分かつ”ギン”と”蛍”の関係。初雪の如く純粋で、触れると融ける淡雪の如く儚い。

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

4.6

『ジュラシック・パーク』で 蘇り物珍しさ薄れた恐竜がCG飽和時代の現代の映画業界を彷彿させるが上手い。そして生命のレイプと言える所業で生み出され、自然淘汰で滅んだインドミナス。人類の自然を弄ぶ行為は、>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

4.9

『STAR WARS/EP4 新たなる希望』
遠い昔、はるか彼方の銀河系で繰り広げる神話的な馴染み深い普遍な物語。当時の最新技術を投入した未知の映像体験の原動となった視覚効果と音響演出は映画史に悠久に
>>続きを読む

海の沈黙(2004年製作の映画)

2.1

飽くなき美への探求。芸術の真価を求め続けた、ある画家の物語。贋作には新作にはない、作者の執念、執着があるかもしれない。しかし終始感情が波打つ事なく、穏やかな漣の如く終わった。

名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)(2011年製作の映画)

3.8

使い方を誤ると生涯の友すら失う事になり、此の上なく扱いが難しい凶器である“言葉”。純粋無垢な故、己の過ちを省みれる少年探偵団と被疑者達の対比がまさに「雪と墨」。アバランチに呑まれた程に荒削りだが古き良>>続きを読む

新幹線大爆破(2025年製作の映画)

3.5

JR東日本特別協力よる実写と最新VFXの融合は、圧倒的臨場感で観る者を東北新幹線へと誘う。旧作と異なり同時に車外では事態の解決と犯人探しに、新幹線の内と外で2軸のリアルタイム・サスペンスが並走が面白い>>続きを読む

名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)(2005年製作の映画)

4.5

人が人たる所以である感情。限りない力を産む事もあるが、水平線の如く不可視で風浪の如く移ろい易く、ふとした切っ掛けで嫉妬や怨嗟に変わり、殺意が芽ざす事もある。そしてシリーズでも異彩の「眠らない小五郎」の>>続きを読む