「-1589年 公海-」でスタートする馬鹿馬鹿しさがピークであった。しかし題材的にちょっと似ている『クローズZERO』二部作と公開年が一緒とは奇妙な偶然。
誰が主人公とかあんまりなく、活躍の比重がほぼ平等。つまり学院自体が主人公になっている。ナショナル・ギャラリーの前をキメキメで並んで歩いているシーンでふつーにおじさんが前を横切るところめちゃおもろい。
吉良上野介に瓜二つの末弟がその影武者として暗躍する…という筋書きは実に河合勇人らしいもので、彼は一貫して「偽物が本物になる」物語を撮り続けている。無論この映画自体忠臣蔵の亜流、というよりパロディであっ>>続きを読む
デジタルで映画を撮るならどういう画面が最適か、というのが考えに考え抜かれていたと思う。確かに体感は4時間あったけど、デジタル撮影の艶やかさをスクリーンに投影し続ける後半は化け物じみている。ぜーんぜん隙>>続きを読む
上白石萌音が松村北斗の自宅を訪れると、自分で髪を切ろうと青いケープを纏った松村が顔を出す。「私切ろっか?」と上白石が提案するときカメラはふいに松村邸に入る。この瞬間のとぼけたような空気感。対照的に、松>>続きを読む
「冒険」というだけあってヒリヒリする四編。レネットとミラベルが奥から手前に向かってくるのをロングで交互に映し出すファースト・ショットには初期映画の香りがする。そして4話は「喋らずに」絵を売るというエピ>>続きを読む
爆速で進むじゃん!映画は速い方がおもろいタチなのでシリーズベスト。ロケーションも過去作と被んないように工夫してくれてて嬉しい。砂漠にせよ流砂に飲み込まれて地下洞穴に移行するとかね。荒れまくる海での剣戟>>続きを読む
当時の芝居を再現する者(芳賀、唐橋)と、この20年を踏まえた芝居をする者(村上、藤田)との間に巧=半田健人は立つ。半田は当時の芝居を再現しようとするも、もう声が違いすぎて再現には至らない。人間とオルフ>>続きを読む
刑事モノだと思って見ると全然違うものがお出しされて面食らう。ドジャースが負けてブチ切れてカーラジオに拳銃ぶっ放して誤魔化すためにパトランプつけて走り回るとこサイコー。
こんなにウェス・アンダーソンみたいだったっけ。でもセックスも臓器も全部見せる(暴力だけ見せない?)ので分かりやすい。階段は下りてばかりで全然上ってなかった気がする。つまり結局は上流階級のお話ということ>>続きを読む
メジャータイトルでこんなにシックな画面で走りきってるのがいい。チェーンで結ばれたアクセサリー、チェーンで繋がれたチューバッカ。二人同時にレバーを動かす動作の気持ちよさ。
リビアの化学工場跡での戦闘→空母での決着戦と、若干の幕間はあるもほぼ二部構成の潔さと、弾薬・火薬の景気の良さで軽快な見心地。ステイサムの自問自答としてのカメラ目線も良い。イコ・ウワイスはもうちょっとア>>続きを読む
思い込んだら周りが見えなくなる母子の物語であるが、マイクロカーの存在が面白い。彼らの見ている世界がいかに狭いかを象徴している。だいたいこのクルマ二人乗りである。父親もいるのに!彼はなにかの表彰式を二人>>続きを読む
縦長の爆撃機にぶら下がる球型の爆弾群や合わせ鏡のように連なるデイジー・リドリーのイメージが物語内の負の連鎖を象徴しており好感。ローラ・ダーンやベニチオ・デル・トロといった配役も自分好み。ラストはまたジ>>続きを読む
横たわる子どもの死体感。噂の階段落ち凄すぎる。書き割りみたいな階段だなーとは思ってたけれど。
デキる男が気になるものの周囲から「似合わない」と言われまくり、その一方身の丈には合いそうな男が言い寄ってくるものの、彼はそもそも友だちの恋人で…。いやーめっちゃ城定が参考にしてそうなオチ。長回しの最中>>続きを読む
声変わりという不可逆の変化と社会におけるヤクザの立ち位置を並置する。一曲おきに「紅」を歌う綾野剛の顔が素晴らしい。決して変顔にはならない顔芸。
勉強ができるからと息子を信州から東京へ送り十余年、貧乏しつつもその成功を信じ、やっとこさ会いに行ってみると結局息子も貧乏をしている。それじゃあ喋れないだろうと思うくらい白い歯をニッと剥き出して笑いなが>>続きを読む
全然わかんねーって思いながら見てたけどミシェル・ウィリアムズとホン・チャウが和解するシーンでグッと掴まれてしまった。
ホン・チャウが男を連れ帰る→創作中のミシェル・ウィリアムズが塑像の股間に台座を差し>>続きを読む
三宅唱の「時代劇」とおんなじ嫌悪感。小綺麗であるのがそんなに正しいんすかね…。単にジャンルや時代性に興味ないってんならそれまでなんだけど。あと後半は面白かった。
今からすると『ザ・クリエイター/創造者』の習作。緑の生い茂った紛争地帯、殺風景な未来都市。上へ上へと登っていくフェリシティ・ジョーンズ。「じゃあ別にスター・ウォーズじゃなくてもいいじゃん」という感想が>>続きを読む
ジョークを飛ばしながらピンチを凌ぐみたいな如何にも「アメリカ映画」なところも含めてストレートにスター・ウォーズを語り直す。でも、にしては映っているのが人間ばかりで面白くない。もっと奇抜なビジュアルのキ>>続きを読む
再見。カウリスマキ史上最も短い劇映画であるにもかかわらず、実はタイトルまでに流れるバイクに跨る男女という図で全体を要約しきっているという(つまるところ男女のロードームービーなのだ)。どこまでも経済的な>>続きを読む
クライマックスのボクシングシーンでいろんな登場人物の顔がアップで挟まれるのだが、主人公のフィアンセだけが喜んでいてあとみんな渋い顔しているのが大変良い。繋ぎ方も面白かった。あとは物語の黒幕たるロイド・>>続きを読む
薄々勘づいてはいたが山口恭平は60分以上撮らせると途端にダメになる。必要以上にあれこれ描き過ぎてしまうというか。今回はギーツキャストがケミーになる=アフレコになると得意のコミカルタッチにまで変な間がで>>続きを読む
浅草駅地下の飲み屋では隅の席に追いやられ、行きつけのスナックには通いづらくなり、どんどん居場所のなくなっていく役所広司。更地を前に「ここなんだったっけ?」に自分を重ねてしまう感じ。すでに失った場所であ>>続きを読む
主役のダニエル・デッドワイラーの紋切りな芝居に疑問はあるが、彼女で画面が保っていたのも事実だと思う。毅然とした彼女の振る舞いが、怯える周囲の姿を浮き彫りにするアンバランスな画面に惹きつけられる(彼女こ>>続きを読む
チンピラが裏社会でのしあがっていく話なんだけど、中盤まではそんなにギスギスしてないのがいい。スヌーピーみたいな(音楽的素養の無さが悲しい…)テーマ曲がなおさらその雰囲気を和らげる。しかしベルモンドもか>>続きを読む
再見。過去作の特集上映を経て見ると、スタイルこそ軟化して喉越しが良くなっているけれど、全く以て同じショットや音楽を流用したり、似たり寄ったりなストーリーであったりを、年老いてなお語り続けている作家とい>>続きを読む
なんだか平板な映画。各シークエンスの配分が絶妙で滑らかに見れちゃうぶん逆に掴みどころがないというか。歴史ものには堂々たる重厚感がほしい気はする。しかしホアキン好きなんだなってことを認識する機会にはなっ>>続きを読む
女性主人公だとカウリスマキも自嘲的になれないというか。モテない男は笑えても、モテない女は笑いにできない、あるいは笑いにすべきでない。ロメール『美しき結婚』を想起したり。冒頭、延々とマッチ工場の機械を映>>続きを読む
再見。勤務していた炭鉱が閉まる、というところから映画が始まるのが好き。終わるところから始まる。
そしてひたすら水平運動。オープンカーの平たさすら象徴的に思えるが、多くの場合カメラは横に動く。これはやっ>>続きを読む
恋愛において優位に立っていたはずのパスカル・オジェが、ふとしたきっかけからそのプライドがズタズタになっていく様を捉えた映画。高い鼻がへし折られる瞬間を見られて嬉しいという倒錯的な感性を呼び起こされる。>>続きを読む
武装集団に囚われた乗客らを救出するシーンの、マイク・コルターの肩ナメカメラの生々しさに息を呑む。そして何かがフレームインしたかと思えば同行したジェラルド・バトラーで、視点ショットではなかったと明かされ>>続きを読む
ナンセンスコメディ。猫アレルギーを治すために猫を撫でようとするも毎回失神する天丼ギャグやら「猫マニア」なる奇人やらおもろい。アニメーションの良さは未だ分からず。
ボロボロの居酒屋(跡と言ってもいいくらいだ)のみが舞台の前半部は、戦争映画というよりは大映の撮影を想起する。おそらく低予算ゆえの粗さは見えるものの、端正なショットが撮られていたと思う。矢継ぎ早のカット>>続きを読む