はんそく負けさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

怪物の木こり(2023年製作の映画)

4.1

確かに完璧な映画ではない。日本映画特有の説明過多は目につくし、序盤のカーチェイスなどリッチな画面とは到底言い難いのだけど(しかし主人公の車を認識させることには成功している)、韓国映画らしいルックを積極>>続きを読む

電撃戦隊チェンジマン シャトルベース!危機一髪!(1985年製作の映画)

2.5

マクガフィンは受け渡すのではなくレッドひとりが運搬し、仲間はレッドを襲撃する敵を「ここは任せろ!」と引き受けてゆく。受け渡すこと≒ゴレンジャーハリケーンを素直にやらない。ある種アンチテーゼなのかもしれ>>続きを読む

美しき結婚(1981年製作の映画)

3.7

要するに彼氏ほしい〜という主人公に肩入れして見ていたが、意中の男性にフラれ、罵詈雑言を残して去っていく。その帰りの電車で彼女はほくそ笑むのだが、その瞬間彼女の人間性にガックシ来てしまう。そんな人だった>>続きを読む

クリティカル・ゾーン(2023年製作の映画)

3.0

音に気を配った映画ではあるもののどこかサイレント然としたショット群に惹かれる。2ショット目は間違いなく『工場の出口』。かと思えば車のハンドルにカメラをつけて視点がぐるぐる回るといった実験的な画面も。こ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.8

首≒顔の映画という気がする。印象的なのは中村獅童の顔で、彼のちょっと大袈裟な芝居もうまくハマっていたと思う。岸辺一徳も強烈な顔。あとはプレイヤーとしてのたけしもやっぱ素晴らしく、「あの二人、どっちも危>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.4

社会派をやるにつけて少なくとも真摯な姿勢を貫けていたと思う。ので好感。
稲垣吾郎とガッキーのことはあまり信用していなかったけど、「え?」と威圧する稲垣のファースト・ショットはこれ以上なく素晴らしく、逆
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暗殺の森(1970年製作の映画)

2.0

クレーンの主張激しい動き回るカメラはフレームを規定せずどんどん世界を見せてくれるのだが、最も素晴らしいのがダンスホールで踊る人々が輪になって外に出て行って、そして戻ってくるショットである以上それが最適>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

2.4

やたらと階段が登場しアル中女が千鳥足で登っていくのだがふらふらしているわけで全然辿り着けない。そういう動線に面白みを見出しているのかもしれないが個人的には刺さらず。やたらと物も投げてる。
あとこれは主
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.0

ロケーションの映画。物語というよりも見せたい画がある、という感じで、見たことある地球の風景にワンポイント加えてSFの風景にするというのがどれもうまくいっている。また人物に関しても大衆の映し方は素晴らし>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.2

冒頭からファスベンダーによる神経質な一人語り、あるいは音楽を聴く行為によってこの主人公はひどく内省的であることを提示。そしてやはりというべきか、物語は個人のものになっていく。隠れ家に戻った際爆音で鳴り>>続きを読む

飛行士の妻(1980年製作の映画)

4.0

恋人の不倫相手を意味もなく尾行するのだけど、そこにたまたま居合わせたおてんば娘がついてきて…というプロットがまずおもしろい。おてんば娘のおてんば娘感素晴らしい〜。
映画としては構図/逆構図がキーになっ
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人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした(2023年製作の映画)

2.4

アラサー女三人が橋の上で「幸せになりたい〜」と絶叫するシーンが良い。仕事で成功した者、新婚の者、そしていずれも持たざる者。それぞれの幸せになりたさ。自分も同年代なので感じ入るところはある。しかしおっさ>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(2005年製作の映画)

2.5

強いジジイというものに幻想を抱きすぎてる気はする。クリストファー・リーはともかくイアン・マクダーミドは…。辻褄合わせな終盤もどんどんカットしてほしかったが、手術台?に載せられたヘイデンとナタリー・ポー>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.7

『シン・ゴジラ』で良かった作戦遂行のおもしろさは十全に引き継がれていた。ただ作戦自体は地味というか、パンチに欠けるな、というのが正直なところ。
芝居は今風だなと思うが、青木崇高だけはバチッとハマってい
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人情紙風船(1937年製作の映画)

3.7

モノクロなのに抜けるような青空、そして雨。あるいは静寂と喧騒が交互にくることで世間の明暗をくっきりさせる。格差というだけではなく、同じ貧民だろうと人生には明暗というものが付き纏うわけで、中村翫右衛門と>>続きを読む

デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING(2023年製作の映画)

3.0

そう、『02』って暗いんですよ。その暗さを大輔とブイモンの竹を割ったようなコンビが打破していくところにひとつの魅力があって、そこはかなり踏襲されていたと思う。ただ、今回は暗いを通り越して重たいテーマを>>続きを読む

電撃戦隊チェンジマン(1985年製作の映画)

2.5

劇場版らしく派手にはしてあるけどフツー。だけど本編よりちょっとだけ時間が長いので、ロボ戦において合体前の戦闘が見られるのが良い。あと、なんでもない犬が大活躍するんだけど、その犬に対してたびたびスローモ>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

VFXの列車がまるで生き物のように蠢き、行き交うショットの只ならぬ空気が次のショットで見事に更新される嬉しさ。メキシコにてベンアフが催眠術に覚醒して逆転するシーンはジョジョ3部みたいで激アツだった。

大決戦!超ウルトラ8兄弟(2008年製作の映画)

2.4

『超時空の大決戦』もそうだけど、本来ウルトラマンのいない世界にウルトラマンが現れる、という話をやるわりに、その「ウルトラマンのいない世界」の見せ方があんまり上手くないと思う。結局地続きに見えてしまうと>>続きを読む

ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY(2000年製作の映画)

2.7

これ、面白いのか面白くないのかよく分からん。個人的にはあんま気持ち乗らなくて、自信を持って「すげーおもろい!みんな見て!」とは言い切れない。メロドラマ中心に据えてるのはようやったなと思う。ラストのディ>>続きを読む

埋もれ木(2005年製作の映画)

2.4

個々のショットには目を惹くものも多いが全体で見るとやはりイマイチ。ただ人間が列を作って歩く様が大変不気味に撮られる終盤には驚くと同時に、そうかこの映画はこの怖さを楽しめば良かったのだなとなんとなく合点>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

2.9

映画らしいようならしくないような、映画館で見てるからギリ映画として成立してるんじゃないかとさえ思えるラフな筆致がやっぱりいい。本当にあんまり真似できないスタイルになっていると思う。アイナ・ジ・エンドが>>続きを読む

オクス駅お化け(2022年製作の映画)

2.8

怖くはあったけど面白くなかった。同じ技で攻めてくるのでだんだん慣れてくる。ただキム・ボラとキム・ジェヒョンが廃駅の奥へ奥へと進んでいくクライマックスは一応それらしい盛り上がりを見せてくれて、ぼんやりと>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃(2002年製作の映画)

2.4

冒頭の近未来都市の画面でスター・ウォーズというよりはブレランだな、と思ってしまって以降もノレず。美しい野原でヘイデンとナタリー・ポートマンがいちゃいちゃする場面もいかにもという感じで面白みがない。要す>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

2.0

潔癖なほどシンメトリーな画面がむしろ崩れる場面、たとえばジェイソン・シュワルツマンが三姉妹と抱き合うような構図にこそ心動かされる。しかしタランティーノみたいな、センスやユーモアのひけらかしがどうにも飲>>続きを読む

ハント(2022年製作の映画)

3.5

ふつーに面白い映画だが、良くも悪くもその範疇を超えてはこない。ただ顔の撮り方は度々素晴らしくて、チョン・ウソンがホテルのロビーかバーで白人の男(所属がわからない)に渡米を勧められるシーンで、怒りに震え>>続きを読む

ウルトラマンUSA(1989年製作の映画)

2.5

背景は良いのに人物(ウルトラマン含む)があんまりうまく描かれていないと思う。短いのに「怪獣を殺すばかりが能じゃない」というエピソードをわざわざやってるのが円谷らしい。しかしポリゴンショック前とはいえ引>>続きを読む

スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(1999年製作の映画)

3.6

賭けレースでのマシンの不思議なモーター音でやっと気付いたのだが、異星人の声・言語やレーザー銃、ライトセーバー等この映画は音響が素晴らしいんだな。いつか劇場で堪能してみたいが…。EP4もだがルーカスは結>>続きを読む

こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

4.2

幾何学模様に切り取られた都心のオフィスビル群に対して、向島界隈のカメラポジションの低さに安堵する。吉永小百合の営む足袋屋兼大泉の実家の二階も行き来の割には映らず、高所というものがあまり歓迎されていない>>続きを読む

PATHAAN/パターン(2023年製作の映画)

2.5

男は筋肉、女は曲線美っていうそれぞれの肉体の美しさを堂々と見せつけてくる点に惹かれてしまうのだが、でもそれって最近の映画では忌避されがちであって、要するにちょっと前時代のにおいが残っている。そこにまぁ>>続きを読む

ほつれる(2023年製作の映画)

3.5

スタンダード・サイズであるにもかかわらず、奥行きを無視した被写界深度の浅い画面。つまり門脇麦にだけピントが合うことで彼女の寄る方なさを提示する。こういう画角の使い方もあるんだーと感心する。
また濱口や
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死の棘(1990年製作の映画)

2.1

構図こそ凝っているものの松坂・岸部両氏がフレーム内にいるとその芝居と台詞に依存してしまって画面が停滞する。これだと演劇を撮影したものをただ見せられているみたいで映画と呼ぶには締まりがなさすぎると思った>>続きを読む

伽揶子のために(1984年製作の映画)

2.5

『泥の河』よりは見やすい。この閉塞した物語が閉塞したまま終わるのだろう、ということを察知するまではつらいが、察知してからはまぁ悪くない気がしてくる。

暗黒街の美女(1958年製作の映画)

3.1

2月なのに七分丈のパンツをピシッと穿き、肩幅に脚を開いてグッと立つ白木マリの勇ましさに惚れ惚れ。ラスト、ヤクザ同士の銃撃戦はトルコ風呂の地下ボイラー室に雪崩込むが、清順の下へ下へ…という志向の泥臭さは>>続きを読む

爆竜戦隊アバレンジャー 20th 許されざるアバレ(2023年製作の映画)

3.5

ファンムービーとしての満足度も然ることながら、駆け足でよかろうという箇所としっとり撮るべき箇所の取捨選択が非常に巧い。コミカルの差し込み方も絶妙というか、どんどんぶっ込んでいく中に役者への信頼が見える>>続きを読む