1号さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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奇跡の海(1996年製作の映画)

3.9

本作を含め何本かしか観ていないけれど(近年のは予告だけで無理)、この監督はもう常軌を逸しているとしか言いようがない。出演者が病まないか心配になる。
遠い昔、(あなたはこの映画が)「きっと好きだよ」と友
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ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)

4.0

ものすごく久しぶりに観たけど、ロバート・アルトマン、やっぱりおもしろかった。
業界をど真ん中から斜めに見て、フィクションだけどほんとのことを描いたのだろう。あの時代によくこんな風刺の効いたのを、しかも
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.2

めちゃくちゃ良かった。この映画を成す成分すべてがたまらなく好き。
どこにも属せない主人公、快適とは程遠い旅、あの寄る辺なさ。冬のロシアの車窓は寂しいを超えてひたすら暗く、それにも増して人物のキラキラ度
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幻滅(2021年製作の映画)

4.0

どこまで現実が反映されているのかはわからないが、当時の世相や階級社会とその中にある人々の悲喜交々の、主にダークサイドが、魅力的な俳優たちにより生々しくも素晴らしい再現度合いで描かれた大作。織り込まれた>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.9

誰もが持つ感想であろうが、もったいない。恣意的な逮捕、訴追により我らは何を失ったのか。司法も終わってるが、できる人が出てきても、価値を理解し才能を伸ばす環境をつくろうとするより出る杭を打つ体質よ。天才>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.1

これまでもイランはじめイスラム圏の映画は観てきたが、どれとも違う。製作が欧州だからできた、濃度の高いイスラム映画だろう。
描かれた社会では、被害の性としての女性は言うまでもなく、加害の性の男性に生まれ
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.0

ショーン・ベイカーは、必ず観に行くリストの監督のひとり。ハッとするシーンがいくつも。パステルカラーとダメ人間。ダメすぎていとおしくなるのか?
ストロベリーが最高だったのでググったら、実年齢27歳でびっ
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仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

3.8

前作に続き、トヨエツの佇まい(いるだけで絵になる。顔だけでも絵になる)と食べるシーンは抜群。動より静がいい時代劇で、陰影が効いた映像もきれい。あと、脇の石橋蓮司と高畑淳子がいい味。
しかしやはり、女が
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.0

久しぶりに観た。やっぱり好き。ポール・トーマス・アンダーソンのセンスが好き。
で、これはほんとにキュートなラブストーリー。めちゃくちゃダサかわいい。タイトルも好き♡

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.1

本編が終わるや席を立つ人が必ずと言っていいほどいるものだけど、この映画で、わたしにはとてもできない。
『リービング・ラスベガス』を思い起こさせる、ゆっくりとした自死。室内のみで展開する、スリリングでド
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.0

息つくひまもなく、終始緊張の連続だった。つらすぎて目をそむけたくなった。
ピュアな二人のほのぼのしたシーンを、大人にやさしくされるシーンをもっと…と思ってしまうが、現実に真摯に向き合った本作は、それを
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.9

マイケルジョーダンやナイキのその後を知っているからおもしろい映画。
たった一人の選手との契約が、前代未聞の契約のリスクを取ったことの結果が、どれほどのものを生み出したか。
選手はスーパースターとなり、
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ロストケア(2023年製作の映画)

3.9

これほど重いテーマにして、あまりに身近で、日常的なイシューでもあると突き付けられる。
死は生よりさらに思うにまかせない。幸せな老いや死とはなんだろう。
原作がそうなのか、死刑制度を並べて問うたことで問
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ある公爵夫人の生涯(2008年製作の映画)

3.9

この時代、日本のお姫様もそうだけど(皇室のお姫様はいまもかなりそうか)、当時の価値観でいうところの嫁ぎ先に恵まれても、自ら選んだわけでもない不幸な一生に泣いた女性はいっぱいいたろうな。もう、全部が理不>>続きを読む

妖怪の孫(2023年製作の映画)

3.9

映画にして世に出してくれたことには敬意を表するが、観ていてつらかった。正直、この人の顔を観るのも苦痛なのに、暗澹たる気持ちとはこのこと。ほとんど知っていたことばかりでも、自分の国のことと思いたくなく、>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

オリジナルのファンとしてカズオイシグロ脚本を楽しみに観た。ビル・ナイの演技素晴らしかったなぁ。
国を超え時代を超える物語なのだと、あらためてオリジナルの偉大さを感じた。『生きる』というタイトルは本当に
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.0

近しい人の証言などが登場せず、本人の語りで進行するドキュメンタリー。
なんというか、カッコいいの権化なんだけど、天才だよね。まず、容姿が天才(笑)。スタイルと、それを生むセンスが天才。時代を通してカッ
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

これは映画館で観るべきだぁ。
ストーリーは割と型通りだしできすぎだけど、この場合これでいい。人物の魅力とシーンの描写やセリフに引き込まれる。で、音楽は上原ひろみという贅沢♡
ブルーノート東京の再現度合
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ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.0

本人は言うまでもないし、ご家族やお仲間ももちろんなんだけど、ロシアの、名もない彼の支持者たちの勇敢さよ。歓迎のため空港に待ち受けた人だかりが、それだけで次々に連行されるのを見て胸が締めつけられた。普通>>続きを読む

キングメーカー 大統領を作った男(2021年製作の映画)

3.9

良作でした。
金大中氏の政治家としての半生と共にあった人のドラマなわけだけど、時代とはいえ二人してドラマティックにもほどがあるほどドラマティック。史実ベースの政治ドラマの力の強さに驚くばかり。
それに
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.1

戦争映画が苦手で敬遠してた一本。しかし劇場で観られて良かった。傑作。
異国の内戦が次第に拡大する恐怖の中、エンターテイメントとしてのツボを押さえつつ、人間像と人間劇がしっかりしているがゆえ、ヒューマン
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ふたりの女王 メアリーとエリザベス(2018年製作の映画)

3.7

イギリス王室のおどろおどろしい歴史を描く映画はけっこう多くて、どの程度史実に忠実なのかにはばらつきがあるだろうが、日本の皇室では考えられないレベルのものが当たり前に公開を許されて(というかおそらく許す>>続きを読む

007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997年製作の映画)

3.8

ミシェル・ヨー、オスカー受賞で昔のアクションも見たくなり、たぶん未鑑賞だった本作を観る。
戦闘力の高いボンドガール、カッコよかった!(この際ストーリーは後回し。笑)
まさにアジアンビューティーで、この
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グリーン・デスティニー(2000年製作の映画)

3.9

当時この映像表現は鮮烈だった。役者も闘うシーンも美しく記憶に残っている。
こんなに評価が低いのはなぜだろう、いま観るとそうなるのだろうか。

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.9

この少年→青年が、あのスピルバーグになるのかと思って観ると感慨深い。
ほぼ家族の話で、実際にはもっと大変だったのでは?と思うエピソードもマイルドに描かれているところに彼の両親への愛情が感じられた。
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ただいま、つなかん(2023年製作の映画)

3.6

一代さんは素晴らしい。つなかんに集う人たちも素敵。ケチなどつけたいわけがない。ただ、映画としては…。テレビ的なドキュメンタリーだと感じた。
終盤に糸井さんが登場して、(糸井さんが悪いわけじゃないが)そ
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

タイトル(観たら意味がわかった)の概念の再現度合いが奇跡的。ミシェル・ヨーはじめ役者の頑張りもすごい。キッチュでシュールなタッチが好き。アライグマがツボ(笑)。
個人的に本作をベストにこそ挙げないが、
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.9

想像以上におもしろかった!登場人物がなかなか魅力的だし、映画としてもよくできてる。
派遣アニメだと思ってた…。

エゴイスト(2023年製作の映画)

3.9

鈴木亮平が抜群で、この人を主役に据えたらどんな作品も大概成り立つのではと思うくらい良かった。
ハンドカメラ?の必然性だけはわからなかったけど、正統派のラブストーリー。それが毎回男女の物語である必要がな
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.9

スーパーロマンティックですっごい良かった。が、二度と観たくない(泣)。
ホラー耐性低すぎるので迷った末に、『君の名前で…』が大好きだからね、観に行ったら、サ、サリーが怖くて怖くて、あれは『ノーカントリ
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別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

全部絶妙。演出やカメラワークや、あとセリフ!それに、脇の、奥さんや後半の小柄な部下のキャラクター、差し込まれてくるアイスクリームやスッポンまでが絶妙。印象的なシーンも多く、とても洗練された映画だった。>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

要素が多いのに散漫にならず、単純化された正しさも、テンプレート的キャラクターも登場せず、時代と人間をちゃんと描いていた。
サム・メンデス、実はずっとこういう映画が撮りたかったんじゃない?などと想像した
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.9

これはいままで観たのと違う感じ…って思ったけど、なんかわかんないけどなんかわかる、って感想を持たされる時点で今泉作品なのかな。ただ、いつものよりユルダルくはない感じ?

孤独でいたい孤独な人、腹が座っ
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.1

中国って、昔からこうしたヒューマニズムに満ちた映画を送り出していたけど、久しぶりに観た。
ロバやツバメ、レンガに畑に、人につくった借り、そして麦の花。細部に宿るものすべてを丁寧に描いていた。
心優しい
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対峙(2021年製作の映画)

4.2

9割以上が4人の息詰まる会話劇で、ここに着地するほかないだろうというところに着地するのだが、特に加害者側については、かといってどう生きるのか、鑑賞後も考えてしまう。
映画としては、会話劇の残りの1割に
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バビロン(2021年製作の映画)

4.0

ディカプリオの『華麗なるギャッツビー』から金ピカを抜いたようなドロドロ乱痴気騒ぎと叫び通しのマーゴット・ロビーに食傷気味で迎えるラスト10分、最高のものを観たと思わされる。ハリウッドのつわものどもが夢>>続きを読む