半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価

半兵衛

半兵衛

映画(2451)
ドラマ(8)
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車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

3.0

加藤泰監督のローアングルや役者を格好よく撮る演出はキレキレに冴え渡っており、特に橋からヒロインを落下させる場面やラストの橋の上の果たし合いなどのショットは素晴らしかった。

でも主人公のキャラクターが
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夢犯(1985年製作の映画)

2.5

原作&脚本担当の石井隆ワールドを再現したような映像は美しいし主役の赤坂麗のクールビューティっぷりも陰惨な過去を背負ったヒットマンという役柄に合っていたけれど、肝心のターゲットを巡るドラマの流れがヘンテ>>続きを読む

アザーズ(2001年製作の映画)

3.8

初見時はオチに衝撃を受けたものの見直してオチありきの映画になって興醒めしないか心配だったが、ヨーロッパスタイルの撮影(『去年マリエンバートで』を彷彿とさせるショットも)や蝋燭の光を生かした陰影、不気味>>続きを読む

姿なき目撃者(1955年製作の映画)

3.5

隣人の家政婦に頼まれて隣家の奥さんの不倫現場を捉えた写真を撮った子供が命の危険にさらされるという様をシャープに描いたサスペンス映画の佳作、写真機が貴重品(亡くなった父親の形見として子供が持っている)だ>>続きを読む

傷だらけの挽歌(1971年製作の映画)

4.0

序盤から景気よく人が殺され狂暴な母親をボスとするクレイジーな犯罪者たちが誘拐した女をめぐって興奮していく70年代らしい狂熱的なノワール映画だった序盤はベタでやや退屈ではあったけれど、中盤誘拐されたヒロ>>続きを読む

ラヂオの時間(1997年製作の映画)

3.5

三谷幸喜の監督作品ではやはりこれがベストでは、映像の技術とドラマが噛み合っており役者たちのドタバタ演技もはまっていて楽しい。そして何より、愚痴り泣き笑いしながらラジオドラマを提供しようとするスタッフを>>続きを読む

リリー・マルレーン 4K デジタルリマスター版(1980年製作の映画)

3.7

大作ということでファスビンダー監督特有の強すぎる癖はさほど無かったけれど、それでもオールスターによる戦争メロドラマを的確に捌いて停滞させることなくサクサク進行させていく手腕はさすがだし映像のセンスが相>>続きを読む

ションベン・ライダー(1983年製作の映画)

3.5

学生時代初めて見たときはあまりにも訳がわからなくて困惑したが、今見てもそうだった。

相米慎二監督特有の長回しによる役者のエモーショナルな動作を優先しすぎたため話は崩壊し(二時間以内と収めるという上層
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黄金の棺(1966年製作の映画)

3.5

南北戦争が終結した直後という設定にも関わらず南軍を再興してアメリカを支配するというヤバい親父ジョセフ・コットンが冒頭に出てきた時点で「どう見ても最後は無惨な結末にしかならないな…」と思っていたら、その>>続きを読む

自由の暴力 デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

4.0

自分に釣り合わない大金を手にした男が無知ゆえに周囲の人間に食い潰され、破滅していく残酷な宝くじ映画。五十年たってもその内容が古びていないのは人間を見極める力を持っていないと大金を所持して生活できないと>>続きを読む

外道(1998年製作の映画)

4.0

見ていて楽しい映画だったかというとそうでもなかったような気がするが、それでもこの映画を見ていて夢中になるというか集中できたのはバブルがはじけた後の90年代の地方のどん詰まりムードがローカル色を交えてよ>>続きを読む

ファイブ・バンボーレ(1970年製作の映画)

2.5

カメラマン出身マリオ・バーヴァによる工夫された凝った映像の数々は見ごたえはあったけれど、それと肝心の物語と結び付かないのでいつものホラー作品などのような魅惑な映像世界とならず上滑りしている印象に。そし>>続きを読む

メイド・イン・ホンコン/香港製造 デジタル・リマスター版(1997年製作の映画)

4.0

香港変換という大イベントが起こる最中、それとは関係なく底辺でもがく青年たちのドラマがヒリヒリとした痛々しい感触をともなって伝わる青春ドラマ。10代の頃に鑑賞していたら大きなショックを受けていたのだろう>>続きを読む

ダ・ヴィンチ・コード(2006年製作の映画)

3.6

あれだけ壮大なスケールの原作を娯楽のツボを押さえつつ映画化してしまうのはさすがロン・ハワードど唸らされるが、一方で原作が持つ多大な情報量を処理するのに精一杯でアメリカ映画らしいストーリーが追い付いてお>>続きを読む

リング2(1999年製作の映画)

3.3

物語の展開が支離滅裂でよくわからない(特に後半の実験の件はどうしてそうなったのか理解できなかった)という致命的な欠点はあれど、前作の『リング』を継承した恐怖演出はなかなかの物だったし『インフェルノ 蹂>>続きを読む

エフィ・ブリースト デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

3.0

大林宣彦作品に匹敵するほどのナレーションの多用だとか単調かつ淡々とした語り口を二時間以上もやっているのが私にはきつすぎてこの点数に。それでもハンナ・シグラの美貌やモノクロの映像を絵画のように仕上げる撮>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.7

演劇スタイルでかつ物語の語り口も淡々と感じられたので世評ほどのれなかったが、それでも舞台となる主人公の家に差し込む光の美しさにはうっとりさせられたし後半の依存性の愛の衝動に苦しみ悶える女性を迫真をもっ>>続きを読む

色暦大奥秘話(1971年製作の映画)

3.0

日活ロマンポルノで初めて公開された作品にして、初めての時代劇ポルノ。何のノウハウもない手探りの状態で製作されたためか、絡みの場面が単調で興奮しないという致命的な欠点はあるものの、日活黄金時代を支えたセ>>続きを読む

暴力団再武装(1971年製作の映画)

4.0

東映任侠映画の権化のような存在であった当時の鶴田浩二に非情な手段で新興都市のやくざを殲滅して街を支配する冷徹な暴力団員を演じさせたり、その後港湾の労働者と利益を追求する組織のトップとの狭間に立たされ身>>続きを読む

続網走番外地(1965年製作の映画)

3.5

前作の大ヒットを受けて脚本を書く暇もない状態で急遽製作された続編、実際話は結構行き当たりばったりだし俳優の見せ場でだいぶ間を持たせている印象はあるがそれでも様々な登場人物を巧みにさばいてラストに集束し>>続きを読む

街の風景(1931年製作の映画)

4.0

舞台の大半がアパートの玄関だったり役者のやり取りや出方など演劇っぽさを強く感じるけれど、ヴィダー監督が巧みなカット割で映画としての空間に仕上げてしまう手腕が見事。また当時のニューヨークに集う人たちの様>>続きを読む

高慢と偏見とゾンビ(2016年製作の映画)

3.5

有名な純文学にしてラブコメでもある小説にゾンビ要素を加えた作品を見事に映像化、ホラーと中世ヨーロッパのドラマ二つの要素を無理なく調和させようとするのに尽力しているためかそれほど突出した面白さは無かった>>続きを読む

ミス・メンド(1926年製作の映画)

3.9

さすがに四時間もの悪党と正義の主人公たちによる追っかけっこは百年後の洗練された娯楽映画を見慣れてしまった人間としてはやや単調に思えたものの、それでもサスペンスと笑いを交互に交えた巧みな緩急の演出や暗闇>>続きを読む

天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

4.5

前半は人、車、機関車が怒涛のごとく掛けていく追いかけっこ、後半は未知の世界への冒険と豪勢すぎる二部構成なうえにジュブナイルとしても完璧だし大人のキャラもみな立っているという老若男女大満足な娯楽映画。子>>続きを読む

「女の小箱」より 夫が見た(1964年製作の映画)

4.3

10代のとき鑑賞してテレビドラマとは違うパワーに衝撃を受けた映画で、この作品を監督した増村保造は他の映画監督とは違うと確信してレンタルビデオ店にあった増村作品のビデオ(確かこの作品を見た直後に名画座を>>続きを読む

緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

4.5

『牝犬』のリメイクとも言われる中年男が若い女の色香に惑わされて転落していく様を描いたドラマ、人生を肯定した明朗さがあったオリジナルとは違うひたすらダークな展開にルノワールは不満があったらしいがそれでも>>続きを読む

アルターフ -復讐の名のもとに-(2000年製作の映画)

4.0

母と妹を警官に殺されその事実を知り復讐に燃えテロ組織に加わった青年と彼を引き取って自分の子供のように育てるも実は殺害した当の人物であった警察官、そんな二人の複雑な愛憎劇に警察官の奥さんや青年の幼馴染み>>続きを読む

生れながらの殺し屋(1947年製作の映画)

3.0

主人公は常にイライラしていて頭に血がのぼるとすぐに人に暴力を振るったり挙げ句の果てに殺したりするサイコパスのくせに狡猾で自分の欲望のためなら何でもやるしたたかなクズ野郎、そんな彼に惚れるヒロインも自分>>続きを読む

ビッグ・パレード(1925年製作の映画)

4.0

第一次世界大戦を舞台にした戦記ものという割には前半は戦闘がない兵士たちののんびりとした生活がメインとして描かれていて拍子抜けだったけれど、兵士の日常を詳細に描いた演出とヴィダー監督の卓抜なギャグセンス>>続きを読む

らせん(1998年製作の映画)

2.5

「貞子」を科学でアプローチするという原作の手法が、変なサスペンス演出により埋没してとなり結局は90年代サスペンスとホラーが混じらず分離したまま提供される中途半端な作品に。そして肝心のホラーパートが怖く>>続きを読む

自動車泥棒(1964年製作の映画)

3.3

ヌーヴェルヴァーグに触発されたとおぼしきゲリラロケや手持ちカメラワークはいつものお行儀のよい東宝スタイルとは違った鮮烈な味わいを醸し出していたけれど、肝心の演出が尖りすぎて収集がつかず全体的に変すぎる>>続きを読む

日本ゲリラ時代(1968年製作の映画)

3.0

脚本を担当した森崎東による製作当時の1968年を喜劇で皮肉る(主人公が密航者という設定も意味深)というスタイルのはずが作り手の思想が暴走しすぎて(監督との相性がよろしくなかったというのもあるけど)、後>>続きを読む

グリム童話 金の鳥(1987年製作の映画)

3.7

東映動画から虫プロ、その後CMを経てマッドハウスで活躍した異才にして実は色んなメジャー作品にも携わっているアニメ作家平田敏夫。そんな彼が好き勝手やった数少ない一作として本作を挙げていた(もう一つは『ボ>>続きを読む

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

4.0

80年代のアイドル映画は今見直すと少女のドラマとアダルトな内容とのギャップが激しくて困惑するが、そうした方向性を定めた一作にして脚本家や監督がアイドル映画という枠を借りて好き勝手やってしまったような作>>続きを読む

アメリカン・ミー(1992年製作の映画)

3.8

自らもメキシコ系の血を受け継ぐオルモスによる、メキシコ系がアメリカで生きることの大変さを容赦のない暴力と差別描写で激しく訴えたバイオレンス社会派映画。そして安藤昇にも通じる本職の人かと勘違いしそうな凄>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.5

夢を抱いて都会に出てきた女の子が理想と現実とのギャップに悩まされるうちに過去同じ境遇に陥っていた女性の怨念に取り憑かれるというおのぼりさん系タイムリープホラーというテイストは中々興味深かったし怨念が現>>続きを読む