別れた妻に親権を奪われ子供の養育費の支払いに日々追われるしがない中年探偵が、依頼された調査の最中親しい人を殺害され、自分も身の危険に晒される…。話だけ聞くといかにも70年代らしいハードボイルドだけれど>>続きを読む
筒井康隆ワールドを映像化しようとするも作品の肝を掴みかねてカオスな作品になってしまったところはあれど、80年代のカルチャーや文化人たちの生態がフィルムに生々しく刻み込まれており独特な魅力を発揮している>>続きを読む
自分の世話をさせるため結婚適齢期が過ぎても娘を嫁に出そうとしない頑固で偏屈な靴屋の主人と彼の束縛から逃れるため結婚しようとする長女たちを通して、親の一方的な抑圧を打破して新たなる人生を勝ち取る新世代の>>続きを読む
前年『仁義なき戦い』に出演して実録やくざ路線のレギュラーとなった梅宮辰夫が最後に出演したエロ路線の作品、でもそんなことは関係ないと言わんばかりに嬉々としていつものようにおバカな演技を披露して観客を楽し>>続きを読む
アメリカの映画界に招かれて監督を手掛けたミケランジェロ・アントニオーニが、まったくアメリカスタイルに染まることなく自分なりのやり方でアメリカを総括しているのが痛快で、それでいて当時のアメリカン・ニュー>>続きを読む
お互いが異様な愛を持っていることを把握しつつ、一線を越えないがために他愛のない遊戯に熱中する姉弟のやりとりはに並のサスペンスより緊張感がありハラハラしながら最後まで鑑賞してしまった。そして規範をはみ出>>続きを読む
30代後半の女性に突如起こった結婚騒動をコミカルに描きつつも、軽薄にならないのはおっさんやおばさんの世代に当たる登場人物を通して年を重ねるにつれ比重が高まる上に行けないし希望が持てない少し行き詰まった>>続きを読む
冒頭での眼を切り裂く場面は改めて見直すとすぐに動物のだとわかるのでショッキングさは薄くなるが、それでもあの眼を切り裂き液体がでる映像のグロテスクな刺激は忘れ難い。
100年前の作品なのにとても刺激的>>続きを読む
ネガティブな学生時代を送ってきた人間にとってこの映画の主人公麦子の行動や感情は大いに共感してしまうはず、コミュ症とかそういうのではなくてただ単に人に合わせるのが面倒くさくて無理にポジティブになるのが嫌>>続きを読む
ジャン・ルノワールらしい自由な演出は健在でヒロインのポーレット・ゴダードが小間使=メイドという家主に使われる身分ながらも我が道を往く女性像に仕上がっているのが痛快なので楽しいのだけれど、彼女に下心のあ>>続きを読む
監督がウルトラマンとともに好きであった仮面ライダーを、自分なりの流儀で原典へリスペクトしつつ作り上げたこれぞマニア(道楽主義者)でしかなし得ない仮面ライダーに。でも庵野秀明監督の趣味が出すぎてしまって>>続きを読む
学生の頃に鑑賞したときは前の作品の完成度を信奉しすぎていたあまり今一つな印象だったけれど、二十年たちその呪縛から逃れた状態で見ると結構面白いことに気づかされた。
物語の構成が若干出来事の羅列になって>>続きを読む
冒頭のしろばんば=ユキムシを追いかける子供たちを捉えた体験していないなずなのに郷愁を誘われる映像で傑作だと確信したが、その後の子供から覗いた大人の複雑な世界の怪奇さ(でも大人になるとその微妙さが理解で>>続きを読む
脱獄犯丹波哲郎VS彼の行方を追う刑事三國連太郎(プラス高倉健)。物語の構成が大味なのであまり面白味はないしサスペンスに必要な緊張感が不足しているけれど、それでも豪華キャスティングの若い頃の演技を堪能で>>続きを読む
悪党であるはずの主人公ロバート・テイラーや彼の弟分ヴァン・ヘフリン、テイラーと相思相愛になるヒロインラナ・ターナーなどノワールのはずなのにみんなやけに泣くのに驚かされるが、それがかえって真実の愛に目覚>>続きを読む
この映画でのスペンサー・トレイシーは有能な弁護士ながらも老いや体調不良に苦しんでおり、それでも友人の息子を何とか冤罪から救わんと奮闘する人間臭いキャラクターで、それがゆえに葛藤や頑張りがより身近に感じ>>続きを読む
小学生のとき特撮ファンだった自分は図書館で借りた特撮本のなかから興味のある作品をリストアップして近所のレンタルビデオショップで借りていたのだが、そのなかで本作を見たときそれまでの作品とは違う「ドラマ」>>続きを読む
成瀬監督による目線や日常にある道具を使って登場人物の芸者の母(吉川満子)とその息子(磯野秋雄)、彼に好意のある幼馴染みである芸者(水久保澄子)の微妙な関係をナチュラルに表現する優れた演出もさ見事だけれ>>続きを読む
クリント・イーストウッドの二部作では描かれなかった、みすぼらしくてみっともない硫黄島での体験。でもこういうネズミのように米軍の残飯を漁って生き延びた日本兵は本当にいたのかもしれないし、そんな兵士を演じ>>続きを読む
中東における女性の不当な扱いを提議する作風のためあまり面白みはないけれど、それでも21世紀になっても女性に選挙権を与えず男や宗教に従順することを是とするあまりにも古風な考えが現在もまかり通っている事実>>続きを読む
超能力を駆使するスパイによるサイキックバトルになるかと思いきや、特撮ものを得意とするけれど本当はアクション大好き福田純監督の手によりハードな戦闘メインの作品となり「この作品はどこへ向かっているんだ?」>>続きを読む
絵画的な撮影やテンポの良いカット割、子供たちや音楽を巧みに使って権威をからかうルノワール演出に加えて、アンナ・マニャーニの陽性さと逞しい美しさと高い演技力を兼ね備えたヒロイン像やカラッとした明るい登場>>続きを読む
この時代特有の絵の具のようなカラーを生かして作り上げた美麗な映像世界はまるで絵画のよう(特に夜のホテルでのセットのはずなのに窓に波が映るシーンの耽美さには思わずうっとりした)だし、何気ない日常の風景に>>続きを読む
ゾラの生涯とタイトルに銘打っている割にはドラマの大半をドレフュス事件に割いているのも気になるが、ゾラが作家として売れない頃から支え続けた妻やゾラの友人である画家のセザンヌが単に主人公に理解のある人物と>>続きを読む
義理の姉である女性に惚れている男の禁断の愛といういかにもメロドラマなシチュエーションが、成瀬監督の緻密な演出によって抜き差しならぬ関係に陥る寸前の二人による緊迫したドラマへ。中盤の列車での高峰秀子と加>>続きを読む
手に入れた権力にしがみつく有力者や王族が別の人に奪い返されていく歴史の循環の愚かさをある時代では権力者を演じていた役者に現代パートでは浮浪者を演じさせることで強調させたり、支配する上流階級の合間に庶民>>続きを読む
『ビー・バップ・ハイスクール』でノリに乗っていた那須博之監督と仲村トオルがその勢いのまま作ってしまったアクション映画だけれど、あまりにもその場の勢いを優先&無茶なアクションを要求しまくった結果荒唐無稽>>続きを読む
スケバン映画の系譜の作品ではあるものの、舞台が横須賀である点といいヒロインの名前がヨーコだったりと完全に『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』を意識しまくっている便乗スタイルな作風が時代の流れを感じさせる>>続きを読む
主役と思っていたリリアン・ギッシュの出番が思ったより少なめで、メインドラマは出世のためニューヨークに渡ったロバート・ハロン演じる青年と彼を心配する両親との葛藤を描いたドラマだったけれどこれはこれで味わ>>続きを読む
内容こそ海沿いにある別荘で夏休みを過ごす少女ポーリーヌと従姉妹のマリオンのひと夏の恋模様を描いた他愛のないものなのに、映像や恋愛している男女の感情を鋭く捉えた卓越した監督の観察眼により瑞々しく豊潤な愛>>続きを読む
子供もので観客が期待するセンチメンタルや子供の頃への郷愁を悉く叩き壊して、大人の不可思議な社会で物事を把握できないまま生きていくしかない少年の少し息苦しい生活を容赦なく描く成瀬監督の冷徹な演出が圧巻。>>続きを読む
全編ヨーロッパが舞台なのにロケシーンがほとんどなく大方セットで済ませてしまっているためどこかフェリーニ作品のような人工美に彩られた不思議な世界になっており、それが芸人と美女の恋の追いかけっこドラマとマ>>続きを読む
低予算ゆえのチープさや一部の展開に?な部分はあれど、日常の風景にあるふとした歪みや違和感のある物が突然非日常な恐怖に変貌して精神的に主人公を苦しめていくという着眼点に優れた物語は秀でているし、廃墟とい>>続きを読む
多重人格者とそれを治療しようとする医師のサスペンスチックなドラマは今見ても結構面白くて、後年この作品に影響を受けて多重人格を巡るサスペンスドラマが和洋問わず量産されていくのも納得。前半普通の主婦だった>>続きを読む
喜劇映画専門だと思っていた瀬川昌治監督がシリアスなノワールを撮っていたことにも驚いたけれど、鑑賞すると意外としっかりとした作りになっていて違和感がないのにびっくり。犯罪計画を何者かに密告され警察に捕ま>>続きを読む
どいつもこいつも欲深くて程度の低い一家と殺し屋による金のためにお互いがお互いを傷つけ合いだまし合う四畳半ノワール。フリードキン監督の殺伐とした演出と動物のようにモラルもなく吠えて暴れまわる登場人物がど>>続きを読む