半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

半兵衛

半兵衛

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ヨーロッパ横断特急(1966年製作の映画)

3.0

麻薬の運び屋になった男を巡る珍道中にその物語を構想している監督たちという多重構造なメタフィクション犯罪劇をアバンギャルドにそれでいてポップなリズムに難解ではない娯楽作に仕上げているのは良いのだけれど、>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.0

この作品を鑑賞していてフリッツ・ラングの『M』やマーヴィン・ルロイの『They Won't Forget』を思い浮かべた、二つとも殺人事件を通して前者ではナチス前夜のドイツの状況を、後者ではアメリカに>>続きを読む

この広い空のどこかに(1954年製作の映画)

4.5

酒屋を営む主人公家族の微妙な距離感と関係性を詳細に描きつつ、彼ら一人一人の類型的ではない人間性を浮き彫りにして単純ではない家族というコミュニティの世界で生きることの難しさを実感させる脚本の素晴らしさに>>続きを読む

化石の荒野(1982年製作の映画)

2.5

ハードボイルドでかっこいい渡瀬恒彦を見れるのはファンとしては嬉しいけれど、壮大だけど荒唐無稽な設定や大作なのに随所に漂うチープな感覚が作品の格をだいぶ落として残念な作品に。そして出てくる役者が豪華なメ>>続きを読む

何という行き方!(1964年製作の映画)

3.5

次々と亭主が亡くなるのに辛気臭さが一切ない陽気なあげまん一代記、当初演じる予定だったマリリン・モンローの方がしっくり来ていたのかもしれないがシャーリー・マクレーンのキュートさと巧みなコメディ演技により>>続きを読む

踊らん哉(1937年製作の映画)

4.1

フレッド・アステアの神業としか言い様のないタップダンスを全編にわたって堪能できるだけでもテンションが上がるのに、相棒役を担当するジンジャー・ロジャースとの息のあったコンビぶりや話をかきみだすバカな脇役>>続きを読む

レスリー・チャン 嵐の青春(1982年製作の映画)

4.0

香港の街に生きる上流階級の若者と下町に住む若者、そんな別々の世界で暮らす四人が恋をして他愛のないでも愛おしい時間を過ごす様子をポップに切り取るパトリック・タム監督の演出が素晴らしくて確かに香港のゴダー>>続きを読む

恋をしましょう(1960年製作の映画)

2.7

カラーで派手ではあるのに、年齢のいったマリリン・モンローが世間から想像されているイメージのキャラクターを必死になって演じているように感じられて痛々しい。そのせいかあるいは共演者のイヴ・モンタンとラブラ>>続きを読む

四月の魚(1986年製作の映画)

1.5

下手な高橋幸宏の演技はそれなりに味わいはあるけれど、主役にして全編に登場させてしまうとそれにも限度があるしあまりのぎこちなさに見てるこちらが申し訳なくなってくる。しかも相手役には同じ音楽畑で芝居が達者>>続きを読む

ドライビング Miss デイジー(1989年製作の映画)

3.8

ユダヤ人の元教師である老女とその運転手を任された黒人とのドラマは差別の問題を深く描きつつもそれをユーモアで包むウィットな語り口が魅力的で面白かったけれど、20年以上もの月日をわずか一時間半で処理する演>>続きを読む

浮草物語(1934年製作の映画)

4.0

リメイク版である『浮草』は小津スタイルと大映スタッフの技術が合わさった傑作であったが、馴染みのスタッフ&キャストによる本作も画としては地味ながらも旅芸人の侘しさが全編に漂う好編に仕上がっている。

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大学は出たけれど(1929年製作の映画)

-

現存するフィルムがダイジェストのような短縮版なので評価が難しいけれど、それでも不景気による就職難というシリアスな題材を軽妙にさばきつつも愛する母や奥さんと葛藤や困難を経て精神的に成長し再出発する主人公>>続きを読む

チャップリンの冒険(1917年製作の映画)

3.5

一時間ぐらいありそうな容量のドラマを一気呵成に畳み掛けて20分で終わらせる怒涛の演出や笑いのセンスが光るチャップリン流ドタバタ喜劇、でもそれが下卑にならず粋なコメディ演出により上品にまとめられていると>>続きを読む

番場の忠太郎 瞼の母(1931年製作の映画)

3.5

無声映画上映会というイベントを知人から教えてもらい本作を久々に、しかも生での演奏や弁士つきで鑑賞したが映画が製作された時期のお客さんがどういう風に見ていたかを実感できてなかなか貴重な体験だった。

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雷電(1928年製作の映画)

3.1

強すぎる子が周囲から孤立することを心配してわざと試合で負けるよう母から懇願された力士・雷電と、ある事情で力士に仕立て上げられた医者がそれぞれの思惑で負けたいと思いつつもそれがかえって勝負がつかない原因>>続きを読む

マイ・ボディガード(2004年製作の映画)

3.8

リベンジもので二時間半という長尺は少しきつかったけれど、それでもスタイリッシュなバイオレンスが冴えるトニー・スコット監督の演出や役者陣の好演により充実した作品に。特に愛する女性の喪失から復讐に駆られ血>>続きを読む

アッシャー家の惨劇(1960年製作の映画)

3.3

怖くはないけれど不気味な屋敷、次々に起こる怪異、ヴィンセント・プライスの怪演を適度に捌いてポーワールドを再現するロジャー・コーマン監督の職人的テクニックが心地よいのでそれなりに楽しめた。でも凝ったディ>>続きを読む

激撮!日本の緊縛(1980年製作の映画)

3.5

宿した子供に自分の意思を受け継がせて太平洋戦争~戦後、現代と激動の時代を生き抜き、過去の男たちに肉体を提供して自分達の罪と向き合わせて決済させるというポルノ映画だからこそ出来る歴史映画。そんな三世代の>>続きを読む

ルトガー・ハウアー/危険な愛(1973年製作の映画)

3.8

ゲロとか💩とか性器とか出しまくったり、冒頭をはじめとするバイオレンスな場面の数々など露悪的なヴァーホーヴェンの演出スタイルが二作目の本作で既に完成しているのに驚かされる。でもそんな下品なパワーによって>>続きを読む

谷ナオミ しびれる(1978年製作の映画)

2.7

いつもは縛られていたぶられる和服のヒロインを演じているイメージの谷ナオミが普通の女の子(トラウマ持ち)を活発に演じているのを見れるだけでお得感がある、そして和服だとあまり出ないスタイルのよさが前面に出>>続きを読む

魔女(1922年製作の映画)

3.5

学術的云々と冒頭のナレーションで語っているけれど、要は魔女狩りや魔女についての見世物映画。確かに魔女裁判やそれを取り締まる僧侶たちの再現ドラマはこういう風にやっていたのかと興味深いけれど、所詮『奇跡体>>続きを読む

大列車強盗(1903年製作の映画)

3.0

映画創世記の作品ということでカメラはワンシーンワンカットによるただ撮影しているという感覚のショットばかりなので単調ではあるが、それでも列車の強盗に入った男たちがじわじわと侵入していく緊迫感はそれなりに>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

4.0

川島雄三監督お得意の風俗映画ではあるが、大映特有のアダルトな雰囲気とマッチしていつもの作品よりランクの高い作品に。そして何より当時28歳で、美貌も色気も充実していた若尾文子の存在感!彼女の艶やかなエロ>>続きを読む

デフ-コン4(1985年製作の映画)

3.2

主人公たち宇宙飛行士が宇宙船内で仕事をしているうちに地球で核戦争が勃発してその状況をただただ見守らなければならない序盤の流れは船内のモニターに途切れ途切れに映る映像や徐々に解ってくる被害状況、奥さんの>>続きを読む

御冗談でショ(1932年製作の映画)

3.7

ある意味キートンやチャップリンよりもぶっ飛んだマルクス兄弟のアナーキーなギャグの数々がこれでもかと繰り出され、その無茶苦茶なギャグはあまりにも常識や倫理を超越しており『天才バカボン』の境地に近くて笑う>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.5

孤独という狂気が都会の闇の病理によりさらに暴走化していく様を丁寧に描いた現代的なルサンチマン映画のマスターピース。ニーチェがルサンチマンを「弱者の道徳」と捉えていたように、トラビスは自分の良心を孤独が>>続きを読む

招かれざる客(1967年製作の映画)

4.2

人種の問題という一歩間違えれば重苦しくなる題材を敢えてライトに捌いていく演出や役者たちの軽妙な演技が普遍的な感覚を持った作品となって見やすくなり、最後まで抵抗無く鑑賞することが出来た。

娘が黒人と結
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肉体の門(1977年製作の映画)

3.5

ポルノ映画と発表当時センセーショナルな小説として話題を呼んだ娼婦たちの生態を生々しく綴った『肉体の門』、相性は良さそうなのにいざやってみると原作が持つ文芸としての品格に足を引っ張っられてポルノ映画特有>>続きを読む

女教師(1977年製作の映画)

3.5

暴行された女性をめぐるドラマになるのかと思いきや、いつの間にか暴行した不良少年が保身的な大人たちに反抗していく展開になって本来主役であるはずの被害者永島暎子が脇に追いやられているので何となく釈然としな>>続きを読む

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)

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ごめんなさい、20年前はダメだったので歳をとったらイケると予想したのにやっぱりダメでした。

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に』で実践した人間の虚ろになった内面の心理を映像で表現
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八つ墓村(1977年製作の映画)

3.3

横溝正史特有の土地の匂いが漂う土俗ミステリーが、『日本沈没』『人間革命』『砂の器』『八甲田山』といった大作路線を次々と手掛けヒットさせてノリにのっていた橋本忍の怨念にこだわった脚本により先祖伝来の呪い>>続きを読む

ひらいて(2021年製作の映画)

3.9

愛を拗らせて暴走する主人公は確かに面倒くさい奴かも知れないが、暴走にまっすぐひたむきな彼女の姿は純粋そのものでこれも青春だなとしみじみ。でもそれが理解できる自分も面倒くさい奴なんだろうなと思う。

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ノックは無用(1952年製作の映画)

3.0

亡き恋人を想いすぎて精神を病みメンヘラどころかサイコパスになった役は溌剌とした笑顔が魅力なマリリン・モンローが演じるとやはり不自然に感じるが、それでもぎこちなさがかえって人の意見に対してすぐに言ってる>>続きを読む

羽織の大将(1960年製作の映画)

3.7

落語をネタにした映画ではかなりレベルが高い部類の作品。ミュージシャンから俳優に転向したフランキー堺に落語家からタレントに転向する主人公を演じさせ、タレントへの転身に反対する彼の兄弟子に落語家からタレン>>続きを読む

迷宮物語(1987年製作の映画)

3.5

眉村卓の作品を三人の監督により映像化した三話のオムニバス映画、正直夢というにはあまりにもわかりやすすぎる&寺山修司オマージュが強すぎる一話や車や人体が破壊される様子をを変態かと思うくらい丁寧に描いたの>>続きを読む

北野武 神出鬼没(1999年製作の映画)

3.7

北野武へのインタビューのみの内容で特に映画としての面白さは無いのだけれど、ハスミンと武という映画ファン歓喜の対談が予想以上に内容が濃くてチャラチャラした映画論なんか振り回さずいきなり深淵に切り込んでい>>続きを読む