半兵衛さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

半兵衛

半兵衛

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マルホランド・ドライブ(2001年製作の映画)

4.2

元々テレビドラマ用として製作されたパイロットフィルムを、ドラマ化が難しいからと映画に変更して用意していた様々な伏線をすべて放棄してそれを悪夢へ導く道具に変貌させてしまうリンチ監督の発想が凄くクレイジー>>続きを読む

バンパイアの惑星(1965年製作の映画)

3.3

チープなミニチュアや特撮などそこはかとないB級感は拭えないけれど、それでも照明の工夫された使い方やカメラアングルでそれなりのSF映画に仕上げてしまうところにマリオ・バーヴァ監督のセンスを感じさせる。>>続きを読む

恋の大冒険(1970年製作の映画)

3.0

ミュージカルとしては日本人特有の人前で踊る気恥ずかしさがどこか抜けきれていないし、そもそもドキュメンタリー畑の羽仁監督に虚構の極みであるミュージカルを担当させること自体暴挙で(それに評論は鋭いけれど頭>>続きを読む

生き残るヤツ(1971年製作の映画)

3.2

同時期に製作された『フレンチ・コネクション』や『哀しみの街かど』同様ドラッグに染まったアメリカの社会を舞台にしているのに、出てくる登場人物がみんな英雄にも悲劇の主人公にもなれないどうしようもない奴らば>>続きを読む

赤い縄 〜果てるまで〜(1987年製作の映画)

3.0

石井隆作品らしく村木と名美による愛欲のメロドラマが展開されるのだが、監督が演出のポイントを間違えたのか変態行為への願望が強い男女の同じ趣味があるんなら一緒に楽しみましょうと特に葛藤もなく開始してしまう>>続きを読む

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.5

いわゆる動物から見た人間の様相を描いたドラマだけれど、語り口は寓話的なのに要所要所で人間社会の厭な部分を突きつけられるのでそれらを醒めた表情で見つめるロバ同様落ち込む気分になってくる。

本作の特徴は
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ジンジャーとフレッド(1985年製作の映画)

3.4

元物真似コンビが再結成してテレビに出演するというメインのドラマを見ようとしても、画面上では個性的な衣装や格好の奴らが意味なくたくさん登場するのでそっちの方ばかりに目がいって集中できず。尤もフェリーニの>>続きを読む

戦国ロック 疾風の女たち(1972年製作の映画)

2.5

山奥でのロケと撮影所にあるセットだけで戦国時代を表現してしまうところに日活撮影所の綿々と受け継がれてきた技術力を見せつけられて感激するが、肝心の女優たちがみな現代メイク&喋り方のうえ、女盗賊設定なのに>>続きを読む

実録・阿部定(1975年製作の映画)

4.3

「外の世界が邪魔なのよ」と女は呟き、窓を閉じた。昭和11年という226事件などが発生しどこか不穏な世相の空気から解放されるため、女は好きな男との性愛に一日中浸っていく。そんな低俗な狭い部屋の世界にも関>>続きを読む

狂棲時代(1973年製作の映画)

3.0

恋人と関係性に悩む風間杜夫の性と愛を巡るドラマで、タイトルからもわかるとおり当時人気があった漫画『同棲時代』からインスパイアを受けた一本。鹿島茂の『甦る昭和脇役名画館』の芹明香の件に記載されていながら>>続きを読む

人生模様(1952年製作の映画)

3.8

O・ヘンリーの原作が素晴らしいのもさることながら、当時の撮影所が持っている高いポテンシャルやベテラン監督たちや俳優たちの力量も合わさりオムニバス映画のなかでもレベルの高い作品に。

ホームレスが寒い冬
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今年の恋(1962年製作の映画)

3.8

大作や話題作の間に本作のような軽めのコメディを高水準のレベルで仕上げてしまうのが木下恵介監督の凄み、ウジウジした高校生田村正和を巡る兄の吉田輝雄と友人の姉の岡田茉莉子とのいさかいがいつの間にか恋愛ドラ>>続きを読む

恐竜・怪鳥の伝説(1977年製作の映画)

2.5

パニック映画には違いないけれど(『ジョーズ』まんまのシーンも)、どうしてこうなってしまったのか。チープな恐竜の造形、お金や社会の仕組みを組み込んだ無駄にアダルトでシビアな脚本、不穏すぎるテーマソング、>>続きを読む

吸血鬼(1956年製作の映画)

3.5

タイトルは吸血鬼と謳っているが、実際は女性の血を抜き取って殺害する謎の殺人者を主人公の新聞記者や警察が追う犯罪映画。

題材としてはジャーロにもホラーにもなりそうなのだが、まだイタリア映画独自のスリラ
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サイコ(1960年製作の映画)

4.2

監督が抱く女性への変態的な欲求を、極上のサスペンステクニックとお客様を飽きさせない巧妙な語り口により今でも語り継がれるサスペンス・スリラー映画へと昇華させてしまうヒッチコックはけだし幸福な作家なのかも>>続きを読む

新宿乱れ街 いくまで待って(1977年製作の映画)

3.0

アントニオーニっぽい曽根監督の演出はそれなりに面白いけれど、主役のシナリオライター志望があまりにもうだうだしすぎて見てるのが段々としんどくなってくる、自分のために尽くしてくれる彼女を他の男に抱かせると>>続きを読む

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣(1985年製作の映画)

3.8

エロばかり炸裂する内容の本作でハリウッドデビューするヴァーホーヴェンはやはり狂っているとしか言いようがないな(褒め言葉)、山賊ルトガーに寝取られて生きるためエロエロになるジェニファー・ジェイソン・リー>>続きを読む

ヴェネツィア時代の彼女の名前(1976年製作の映画)

4.0

『インディア・ソング』のサウンドトラックを別の映像に組み合わせるだけでこうも違ってくるものなのか、『インディア~』のときは役者と美しい宮殿が存在しているので夢物語のような映画となっていたが廃墟(『イン>>続きを読む

インディア・ソング(1974年製作の映画)

4.0

耽美的なカメラワークもさることながら、画面にいる声なき登場人物と彼らを語っている第三者たちによるサウンドトラックによるずれが退廃した社交界の不可解か恋愛ドラマを別世界のような美しい世界観へと昇華させ見>>続きを読む

歌え!ロレッタ愛のために(1980年製作の映画)

3.8

監督の作品というより実際に歌っている歌姫役のシシー・スペイセクと、彼女の側で無骨にたたずむトミー・リー・ジョーンズの演技が前面に押し出されている作品ではあるが、そんな二人の熱演が単なるミュージシャンの>>続きを読む

ラブハンター 熱い肌(1972年製作の映画)

2.5

大金持ちの奥様がヒッピー集団と遭遇したことで日常を破壊され、性の世界へと誘われる…というロマンポルノ初期作品。一見するとブニュエル作品のような内容に見えなくもないが、実際は軽薄な若者たちにおもちゃにさ>>続きを読む

荒野の大活劇(1969年製作の映画)

3.0

マカロニウェスタンの世界でコメディをやるとこんなにゆるゆるになるのか…、仲の悪い兄弟が遺産を受け継ぐため数ヶ月一緒に過ごすお話も緩いけれどお金を稼ぐために悪いことをしていくけれど色んなトラブルに巻き込>>続きを読む

シンデレラマン(2005年製作の映画)

4.0

実際にいた人間をモデルにしたドラマであるがゆえに、その内面に入り込めず葛藤が描かれていないため美談になってしまっているところはあるがそれでも一度はボクシングで挫折したものの自分の人生を賭けて復帰し大恐>>続きを読む

猿女(1964年製作の映画)

4.1

多毛症の女性をアフリカで発見した猿女として見世物にする男によるドラマ、当初は猿女を単なる仕事上の相棒として扱っていた主人公がある事情による結婚を経て真剣に愛するようになっていくのがグッと来るし女の方は>>続きを読む

時は止まりぬ(1959年製作の映画)

4.6

真冬のダムで監視員を勤める中年男と当初予定した人物が来れなくなったため急遽一緒に働くことになった青年の交流劇、当初は何も起こらないゆったりとした映画の進行が心地よくて眠気に襲われてしまったもののユーモ>>続きを読む

果てなき船路(1940年製作の映画)

3.8

武器を運ぶことになった船で働く船乗りたちを通して、生きることは果てしなく働くことだと語っていく『蟹工船』のようなフォード流労働者映画。登場人物はみな豪胆で明るく、喧嘩や酒、女が好きな奴らばかりではある>>続きを読む

コヨーテ・アグリー(2000年製作の映画)

3.0

酒場で過激なダンスを披露している女性たちのなかに入ることになった主人公の成長ドラマ、演出も演技も平凡で特に語る点はないのだけれどいかにも21世紀初頭を思わせる軽いノリと頭を空っぽにしても楽しめる華やか>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.5

約100年も前に家庭における男性の横暴さを鋭く追及し、しかもそれへの痛快な対処法まで記した映画を作り上げたドライヤーって凄すぎないか。それに加えてアップなどの映像術や編集のテクニックは高いレベルにまで>>続きを読む

宵待草(1974年製作の映画)

3.0

神代辰巳監督が大正時代を舞台にどこからも疎外されたアナーキストの主人公たちを通して自分なりのアメリカンニューシネマを作ろうとしていたことは理解できるけれど、役者を動かすこととカメラの長回しという特徴に>>続きを読む

ドラキュリアン(1987年製作の映画)

3.9

怪奇ものを愛好するグループの子供たちが町に襲来するドラキュラ率いるモンスター軍団と戦うというジュブナイルなホラーコメディ、出てくる怪物がハマー映画などでお馴染みの面子だったりするのが映画ファンの心を大>>続きを読む

ふるさとポルノ記 津軽シコシコ節(1974年製作の映画)

3.0

津軽を舞台に繰り広げられる農村での他愛のないエロ騒動という三本立てのうちの箸休めのような他愛のない作品だけれど、綺麗な田園や自然の映像やノーテン気な日活俳優陣のコミカルな演技が不思議に心地よくて見てい>>続きを読む

誇り高き挑戦(1962年製作の映画)

3.0

深作欣二監督の戦後に闇を暴こうとする姿勢があまりにもストレートすぎて少年の頃も、そして大人になった今も面白さよりも恥ずかしさの方が勝ってしまう。それにアウトローとしての立場にいるとはいえ使命を持ってい>>続きを読む

宇宙大怪獣ギララ(1967年製作の映画)

2.5

言いたいことは山ほどあるけれど、モンスター映画は和洋問わずモンスターの存在を序盤からちらつかせて、中盤の美味しいところで全貌を出現するというのがパターンなのに前半牧歌的なSFドラマを延々とやって中盤よ>>続きを読む

みな殺しの拳銃(1967年製作の映画)

3.5

一見するとレストランを経営する折り目正しい青年実業家みたいだけれど、その実は主役のギャング三兄弟のなかでもっとも狂暴な藤竜也を見ているだけで満足。三男の岡崎二朗を敵組織の人質に取られ、誰もが屈服する空>>続きを読む

犯罪王リコ(1930年製作の映画)

3.5

ギャングスターとしてのしあがった男の栄光と破滅のストーリーを余計な横道にそれずハイスピードな語り口で駆け抜ける演出は今見ると結構新鮮、そんな主役を演じるロビンソンは貫禄がつきすぎていて野心ギラギラなギ>>続きを読む

肉弾鬼中隊(1934年製作の映画)

3.5

砂漠のなかに取り残された部隊が次々と見えない敵に殺されるというストーリーを、余計なドラマをくっつかせず簡略的でありながらインパクトのあるシーンを積み重ねることにより贅肉のついていないシャープなサスペン>>続きを読む