せいけさんの映画レビュー・感想・評価

せいけ

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モンキー・ビジネス(1952年製作の映画)

4.5

やりすぎってくらい出鱈目なシチュエーションで展開されるスクリューボールコメディだが、終始面白く何回も声を出して笑ってしまった
映画は客観を描くメディアというのホークスは心得ているのではないだろうか
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気のいい女たち(1960年製作の映画)

4.3

檻に閉じ込められたようみ淡々と仕事をして、開放されたように遊び回る女たち
ひたすら劣悪な男たち
ただただ下品で下劣なシーンも多くてこれは面白くなるのだろうかと疑問だったが、まさかの急展開に
分かり合え
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百年恋歌(2005年製作の映画)

4.5

スー・チーとチャン・チェン、2人を観ているだけで十分というくらい魅力が引き出されている
特に「恋愛の夢」では、ビリヤードをしているだけなのに、ひたすら色っぽく焦ったい
灰皿を置いただけでなぜこんなに胸
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チャイム(2024年製作の映画)

5.0

黒沢清の代名詞となり得る作品。日常へとシームレスに訪れる恐怖の描き方にひたすら唸らされる。料理教室という恐怖とは程遠いモチーフを出発点によくここまで高純度の黒沢清作品に仕上げたなと。コントロールされた>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

圧倒的な世界観と前作よりも多分に含まれたスペクタルシーンによりアート性もエンタメ性も増幅した続編に
ポールの救世主性にまつわるドラマの感情のうねり、それを相対化するチャニの視線に思わずひりつく
そして
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三つ数えろ(1946年製作の映画)

4.3

話の筋が複雑なので会話の中で人物の名前が出てきてもそれって誰のことだっけ?とまりつつも最後まで鑑賞
神秘的で色気ある画面と探偵モノ特有の真相に近づいているのか離れているのかわからないストーリーテリング
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異人たちとの夏(1988年製作の映画)

4.2

なかなか異質なバランスで作られた山田太一原作の映画
ストーリーは知っているので、ここをこういう演出するのかという驚きもありながら、原作モノということもあり大林宣彦のクセは抑えめで比較的見やすい作り

さざなみ(2015年製作の映画)

4.7

45年連れ添った夫婦の1週間にわたる出来事
まず本物の夫婦にしか見えないような年輪というか過ごしてきた時間が画面から垣間見える
そしてこんなに濃密に愛し合っている老夫婦を映画で初めて見たかもしれない
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赤い河(1948年製作の映画)

4.5

信じられないような牛の数、そして大移動
どれだけ巧妙な演出も物理的なスケールの前には敵わないと思うような牛の存在感
しかもそれを完璧にコントロールしている
想像の余地もないほど牛が自然に動き突発的に裏
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.7

竹取物語をこうも現代的な解釈で物語に落とし込めるのかということにまず驚き
そして何より水彩タッチの映像美
ヒューマニズムとアートが融合してなんだこれは目が喜んでしまう
卑近な欲望に身を任せる人間の愚か
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ハウルの動く城(2004年製作の映画)

4.8

ハウルの動く城とはよく言ったもので、アニメーションひいては映画は動いてなんぼのものだと改めて感じる
そんなところ手を抜いたってバレないよと思いそうなほど細部の動きによって画面に命が宿っている
アニメー
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

重苦しい題材の電気映画をスピーディーかつリズミカルに見せ切ってしまう力がすごい
得意の時系列シャッフルにより面白いものを見せられている感覚を得られる
ただ個人的には編集のリズムや会話劇の見せ方にハマら
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

5.0

アメリカへ移住した女と韓国に定住している初恋の相手同士が24年ぶりに再会するという手垢がつきまくったストーリーがここまで面白くなるとは
2人が会えなかった時間を美しい風景、環境音で繊細に表現して、演技
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熱のあとに(2023年製作の映画)

4.3

決まりに決まった画面設計と理解の範疇にいない自分が辿る顛末が面白い
人が人を意図して変えることは難しいかもしれないけど、人によって無意識に影響を受けることはあるだろう
省略がかなり大胆ゆえに突飛な行動
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彼方からの手紙(2008年製作の映画)

4.3

予想だにしない展開に驚き
うだつの上がらない男と少女の不思議な交流から時空次元を超えるような世界の広がり
何となくそういう話と知っていても予想できない驚きがあった
あの家のシークエンスに至ってはいい意
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赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

4.8

とにかくめっちゃ笑った
ひたすら噛み合わない会話と想定外のあちゃちゃな出来事に振り回される展開が面白い
セリフの応酬によるリズム感がちょっとしたアトラクションに乗ったような感覚であっという間に駆け抜け
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

5.0

行きずりの関係であるゲイ男性2人が親密な会話を交わすごとに、自身の繊細で複雑なパーソナリティを示しあっていく
普遍的な物語とは決して言わせない静かだけど確かな強度を感じた
ほとんど男2人が会話している
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愛情萬歳(1994年製作の映画)

4.5

セリフと音楽に頼らないという説明文の通り、削ぎ落とされた映像で語っていく
不動産の空き家を中心に交差する摩訶不思議な男女3人の人間模様
満たされない思いを抱えているように見える3人はガランとして殺風景
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

夫の死というたったひとつの真実から枝葉のごとく様々なカッコ付きの真実が紡ぎあげられていく
主人公のサンドラが作家というところも見逃せない
ある状況からその事象が起こり得るのかを検証し憶測として提言して
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紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)

4.3

画面に映る色彩の組み合わせがいい
マリリン・モンローの金髪と豪華絢爛な衣装も相まって画面がずっと華やいでいる
展開自体はかなりデタラメな話だけど、振り切ったコメディとしてかなり笑える
一貫してお金や宝
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

ビクトル・エリセ31年ぶりの新作という文脈を抜きにしてもストレートな物語に胸を打たれる
とはいえ、映画の制作中に失踪した俳優であり親友を探す映画監督が主人公という設定は、映画を撮りたくても撮れなかった
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宇宙探索編集部(2021年製作の映画)

4.0

あまりその類の映画は観たことないけど、フェイクドキュメンタリーのような体裁をとられていたことが、没入感を高めてくれた
明確なフィクションの前提がなされていたら、関心がそこまで保たれていない気がする
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奇跡(1954年製作の映画)

4.5

少し引いた画のワンシーンワンカットで信仰について議論する人間たち
不条理を前にして祈ることや、交わらない会話をするばかりの様子をただただ見せつけられるも、美しい長回しにうっとりしそうになる
自分が無信
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

5.0

黒人作家がヤケクソになって書いたステレオタイプな黒人の物語が大ヒットするというブラックコメディ
もうこのプロットを思いついた時点で勝ち
気難しくて偏屈な主人公が直面する人種に関係ない普遍的な家族の物語
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

5.0

率直に思っていたのと全く違う話だったので本当に驚いた
子供視点の地に足着いた世界観なのに入り口から出口までが遠すぎて、着地の時には途方に暮れてしまうような
ひたすらモラルを逸脱する子供と干渉を拒む大人
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エル・スール(1982年製作の映画)

5.0

暗闇と光の導きによって語られる、まさしく映画らしい映画の感動を得られた
父と娘の関係性の神秘を巡る物語としてもシンプルに十分過ぎるほど面白い
寡黙でどこか浮世離れした父親の奥底に流れる情動のようなもの
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ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版(1980年製作の映画)

4.5

どこを切り取っても狂気に満ちているけど美しい
陽炎座より、物語として成立させようという意思を多少なりとも感じるので、観やすいし客観的にいくとこれが最高傑作というのは納得
しかし夢か現かなんとも言い難い
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エデンより彼方に(2002年製作の映画)

4.8

ダグラス・サークの諸作品を形式はそのままにアップデートを目指した作品
影響元の作品の偉大さあってストーリー運びが面白いのだけど、人種差別や同性愛の要素が入る
それにより批評性が高まり、関係性の障壁とい
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闇を横切れ(1959年製作の映画)

4.8

息つく間もなく面白い
地方都市と悪の権力にまつわる話
オープニングと人物設定からしてどこに行き着く話か大体分かる話だけど、映画の面白さは結果ではなく、過程だと声高に叫ばんばかりに、ひたすら前に前に話が
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太陽の塔(2018年製作の映画)

4.3

聡明な学者の方々の知的な分析に頭がついていけねえぞと思いながら、太陽の塔、そして岡本太郎の時代を越えゆく生命力を感じた
無限に広がるルーツにひたすら感心させられる
インタビューの受け手も次第に語りが熱
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女と犬(1991年製作の映画)

3.5

おしゃれな雰囲気だしオーラある女優さんだけど、会話がほんとどうでもよくて笑った
究極の2択を続けるだけ、これを長編でやり切ったバージョンも一周回って見てみたい

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

三宅唱の映画は毎度五感が研ぎ澄まされる
俳優の声と身体、暗闇に差し込む光、流れる時間、映画の要素すべてが詰まっていると言っていいと思う
自分ではどうしようもない困難を抱えて他者を拒絶しながらも他者に支
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許されざる者(1992年製作の映画)

4.8

洗練され尽くしたショットと役者の存在感
まさしくこれぞ映画という様式美
ただ物語についてはどこに行き着いたとしてもカタルシスを感じようがない堂々巡り
西部劇の根底から否定するかのような殺人の悍ましさを
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