せいけさんの映画レビュー・感想・評価

せいけ

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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

孤島にて親友から唐突にそっぽを向かれ、子供のような喧嘩に発展する中年男性の話
こんなにこじんまりとして導入からあらゆる示唆に富んで、小さな話と大きな世界を同列に描くマーティン・マクドナー脚本が上手すぎ
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マジカル・ガール(2014年製作の映画)

4.7

入口と出口がこんなにも異なるなんて
独特な間合いから漂う不穏さに加えて日本の魔法少女要素が紛れ込んでくるという歪さがときに可笑しくでもやっぱり不穏
音楽の使い方も弾けている
オープニングの示唆的な会話
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ナイルの娘(1987年製作の映画)

3.8

洗練された画作りが印象に残る
フィックスの長回しがメインだけど、美術やカメラを置く位置が絶妙で動きが少ない画面にも立体感があり見ていて画に飽きない
映像面ではさすがと思わされながら、話は若干薄味でとこ
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天上の花(2022年製作の映画)

4.0

東出昌大の真骨頂のような映画
色眼鏡で消費されるにはやはり勿体無い存在
愛ゆえの暴力という詭弁としか思えない理屈をこの人ならあり得ると思わせる演技はさすがだと思う
アンモラルな存在を客観的にこんな人だ
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冬の旅(1985年製作の映画)

4.5

1人の女性の出来事を複数の証言を頼りに紡いでいく形式
ドキュメンタリー性とフィクション性がほどよく同居しているような雰囲気
リアルな地に足着いた感触でありながら時折かなりケレン味ある演出をかましてくる
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

4.5

この内容で幸福とはかなり皮肉が利いているタイトル
独特な編集と音楽、鮮やかな色使いで画面の多幸感を演出するけれどそれが却って幸せの上滑り感が表れてくるような
主人公はよく言えば誰にも平等に接することが
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そばかす(2022年製作の映画)

4.3

アセクシャルな主人公を描いた作品
やはり三浦透子の存在感がいい
ポスタービジュアルさながらタバコを吸うシーンが様になる
題材の提示が分かりやすすぎたり、展開のさせ方が少し都合良かったりと映画として粗が
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.0

文字通りダゲール街で暮らす人々を優しく見つめたドキュメンタリー
なんてことない人々の日常が記録されているけど、その中でもあっと驚くような瞬間が立ち上がる
個人的に印象的だったのはこの人々が仕事をしてい
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とべない風船(2022年製作の映画)

2.5

題材の切実さや魅力的なキャストを活かせていない印象
物語の大きな転換点と転換点の間にあるディテールが練り込まれていないのでこの映画内のリアリティを信じることは難しい
位置関係が曖昧な演出、登場人物の関
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

5.0

馬鹿みたいな感想だけど映画が始まった瞬間に自分は耳が聞こえるんだと思った
リズミカルな環境音の連鎖により映画に乗せられながら、逆説的にケイコの世界を微かに実感させられる
改めて三宅唱が捉える世界は美し
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ワイルドツアー(2018年製作の映画)

5.0

今ここにある瞬間の記録の積み重ねが映画なんだと当たり前のことを実感させられる
初々しさを正確に記録されているからこそ、リアルとフィクションの境目が曖昧になりありきたり過ぎるほどありきたりな物語にとてつ
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密使と番人(2017年製作の映画)

4.0

極々シンプルなストーリーから展開される緩やかなサスペンス
自然の風景をひたすら歩いて移動する様はケリー・ライカートの映画を観ているときのような感触
言うまでもないかもしれないけど、どのカットを切り取っ
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THE COCKPIT(2014年製作の映画)

4.5

ものづくりに密着したドキュメンタリーはやはり面白い
被写体そのものの魅力とアイディアの断片が少しずつ重なり形になっていく過程のワクワク感が文字通り記録されていく
改めてこういうものを見せられると才能が
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あのこと(2021年製作の映画)

4.5

中絶が違法だった60年代フランスにて予期せぬ妊娠からなんとか奮闘する女子大学生の物語
スタンダード画角や主人公に極端に寄ったカメラアングルで否応なく彼女に起こる出来事を体感させられるつくり
妊娠が発覚
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ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

4.0

夫の地元の田舎町にやってきて、別れ話をする夫婦の話
フィクションとドキュメンタリーが同居しているような不思議な味わいだった
町での暮らしについての話題が大半な地元の人々、それに対して哲学的な会話を続け
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.3

抽象的なシーンが多く全てを理解できたわけではないけれど、面白さは感じられた
合わないかも、正直ちょっと退屈に感じるところはありつつも、気を抜いた瞬間に驚くべきショットを繰り出してくる
個人的にはこの繰
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.8

とにかく圧倒的な映像表現と世界観構築の素晴らしさに尽きる
パンドラの世界がどこかに在るとしか思えないような技術の発展に驚かされる
ナヴィの演技の質など考える隙もなく当たり前に存在するものとして自分の頭
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Playback(2012年製作の映画)

4.5

美しく気品がある映像と魅力的な俳優がそこに佇んでいるだけで映画を成り立たせる三宅唱の真骨頂と言える一本
繰り返しのモチーフはどことなくホン・サンスも思わせるような
選択と結果の発端である原因について追
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やくたたず(2010年製作の映画)

4.0

まさしく画の力と美しさ、カットとカットの連なりの心地よさで魅せていく
物語として大きな出来事は最小限に抑えられているが、ただ存在する人物たちとそれを捉えるカメラの置き方でこうも豊かになるのか
正直、話
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トラベラー(1974年製作の映画)

4.2

アッバス・キアロスタミの初期作
子役への演出や移動シーンの撮り方、交わらない会話劇などすでに手練れた腕前
小さな出来事からサスペンスが生まれる面白さ
悪戯小僧の行く末を考えると切なさが込み上げるが自業
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宮松と山下(2022年製作の映画)

2.5

あらすじの面白さや撮影の素晴らしさ、役者の演技など映画として見どころはある
ただ、個人的には予告編などで見られる「面白そう」な要素から突き抜ける瞬間がほとんどなく、リズムも単調で少し退屈に感じてしまう
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アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー(2022年製作の映画)

4.7

キレキレの編集とブラックジョークでアポロ10号計画真っ只中の1969年を1人の少年の視点から振り返る
あの頃はよかった的な時代讃歌とそれに対するドライな世相
相反する要素がテンポよく描かれて、もはや本
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セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

4.0

最小限の選び抜かれたショットを紡いでいく語り口
差し込む光と影の対比が物語にも有機的に絡んでいて、主演2人の演技もいい
ただ、映画としての良さは頭で理解できつつも物語の要素が余りに古典的なので映像を持
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.5

カメラマンと男娼によるBLのような物語
登場人物がほぼ男性だったり、ノワール的なテイストなど濱口竜介の中では異色の毛色
韓国人がスタッフに入っていることもあり映像の質感は硬質で冷ややかな感じで構図が決
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アテナ(2022年製作の映画)

5.0

言うまでもなく素晴らしい撮影技術とオープニングの掴み
ストーリーもしっかり厚みがあり世界への問いかけ足りうるものになっていると感じた
一瞬で秩序が崩れて一刻を争う事態になっていく状況を鑑みると、手持ち
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

5.0

コゴ・ナダの美的センスと演出の奇想、独特なリズム感に静かに圧倒された
とても繊細でミニマルな話なのに、世界の広がりを感じさせられる
記録を用いて、記憶を呼び起こしある人の過去を優しく丁寧に紡いでいく
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の方へ、流れる(2021年製作の映画)

4.5

曖昧な状態から繰り返される会話劇
抑揚を欠いたセリフ回しがこの映画の捉えどころのなさをより強調し淡々としながらもどこかサスペンスを思わせる
基本的には2人芝居で歩いて会話をするだけでの作品だけど、セリ
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永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

4.0

結婚式当日にある秘密を抱えた新婦が主人公の短編喜劇
秘密と正直という今の濱口竜介につながるポイントは感じられる
結婚式というある程度役割が与えられている儀式も演劇的構造が強調される
会話劇に関しては脚
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.0

ひたすらに不幸な出来事が続いていく夫婦のドラマ
無表情、抑揚のないセリフ回しが印象に残り淡々とした雰囲気が癖になる
その空気が破調するような音楽の使い方も若干馬鹿馬鹿しいけど上手い
思う通りにいかない
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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

4.0

ここ最近のMCU作品はどうも乗り切れずという状態が続いていたが、さすが映画としてに質は高く保たれていて安心
チャドウィック・ボーズマンの追悼など通常の作品よりも要素が多く重くなる難しさがあったのだろう
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.6

よく言えば余白、悪く言えば説明不足なところがあるので正直感想をまとめるのが難しいが、災害という娯楽作で扱うには色々と神経質にならざるを得ない題材を3作続けて描き切った胆力に恐れ入る
その中で自己変革に
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RRR(2022年製作の映画)

5.0

エンタメ大作としてこれほどサービス精神に溢れつつ教訓を提示してくれる作品というだけで大満足
序盤からスケール感飛ばしすぎでは?という懸念を3時間ずっと取っ払ってくるアイディアの宝庫のような演出の連続に
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