経年変化さんの映画レビュー・感想・評価

経年変化

経年変化

ファルハ(2021年製作の映画)

3.8

ファルハを介して我々も歴史の目撃者となるといったシンプルかつ効果絶大なアプローチには唸ったものの、当時のアラブ社会における女性の立ち位置の模索という副主題が半ば衝動の様にしか感じられない点には不満も

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.8

三者三様の情景を切り取りつつもやはり主役はこの街なんだと思った。記憶と記録を交錯させながらそれを立体化せんとする緻密作業に好印象。なかなかにリヴェットとの親和性を感じさせるが個人的には佐藤泰志の『海炭>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.2

2時間ちょっと耐えれば最後にご褒美みたいな30分間が待っている。完璧なラストショットに震えながら涙した

プレーザ(2022年製作の映画)

3.2

最後の写真が一番胸にこたえる。でも映画としてそれじゃ不十分だとも感じる。社会病理を抉るものとしては機能しているけど作劇があまりにも予定調和。字幕が斬新

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.8

誰が撮ってもウェルメイドな仕上がりが約束されるであろう極私的回想を、なにもシュミットがやらなくてもいいんじゃ…っていうのが率直な感想。でもやっぱりそれなりに没入できちゃう。短尺も有難い。ご馳走さまでし>>続きを読む

メイズ・ランナー:最期の迷宮(2018年製作の映画)

3.4

予算爆増のわりには個に焦点を合わせすぎてこじんまりとした印象。大局的視野での総括を求める自分もいたが、もしかしたらこの物語はこれでいいのかもしれない

メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮(2015年製作の映画)

3.2

追う/追われるに終始した結果スピード感は増したとして、シチュエーションやギミックで楽しませてくれた前作のストロングポイントは鳴りを潜める結果に。なんも知らんかったので唐突なリリ・テイラー&バリー・ペッ>>続きを読む

犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

4.0

なかなかの勢いで車に跳ねられてゴロンゴロン転がったあとのクルクルベッドの画ヅラが反則。今回は柄シャツとグッチマンにコメディリリーフとして楽しませてもらったんだけど、ミッドクレジットの案件じみたグッチマ>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.8

これは好調時ガイ・リッチー。やっとこさ逃げ切って家族のもとへ帰ったところでTHE ENDイイハナシダナーとなりそうなもんだけど、そこを中間地点にもってきちゃうてんこ盛り精神にあがる。ちゃんと120分>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.6

落下時というよりは落下前夜のあれこれを解析してみせる脚本の映画。確かに強烈な体験ではある。

今、電車で、目の前の夫婦が笑顔で会話をしている

犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

4.0

『カジノ』きっかけソン・ソック推し。マさんどんどん強くなっとる…笑

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.2

たぶん人生2度目の鑑賞。男性&女性の逃避行モノという轍の上を女性2人で猛進する作劇には現代女性の原動力になり得る熱量がある。スーパーバックからのS・サランドン「満タン」が最高にクールで、ワンコ真似G・>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.4

前後左右へと空間を押し広げんばかりに演者・カメラが運動するタルコフスキーの真骨頂。自身の離郷に対する哀傷を投影させつつそう遠くない未来さえも予見する。圧縮され宙吊りになったままの郷愁の念…私映画の極致

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.0

ちょっと待って1回ここで落ち着いてボーかボウどっちでいくかみんなで話し合お

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.8

ヘビーな『薬屋のひとりごと』。中盤で表題の意味がわかると同時に真っ暗な映画館で観ないと絶対だめなやつじゃんとなること請け合いな外連味たっぷり良質エンタメ

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

テラスで松村北斗の立ち振舞いを見たキーさんの(おそらくは自身の喪失と重ねながら)「こいつならもう大丈夫だ」と言わんばかりのあの表情で全俺が泣いた。しばらくあの空間の余韻に浸っていたい

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.4

エリセが忘却の彼方のあの光へと旅をしている。もうそれだけで胸に迫るものがある。没個性的な立て付けが残念でならないが、今このショットで終われというところでちゃんと終わってくれたので安心はした。ドライヤー>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.2

細やかな叙述が下地となって衝動アクションへと繋がるあの一瞬には無類の美しさがあった。コット、強くあれ

Here(2023年製作の映画)

4.4

そのへんに群生する苔の生態研究という着眼点が作品の主題とオーバーラップしてくる滋味深さ。映画=人生の等式が成り立つ稀有な存在。カットが変わってまた戻ってきた時に「はっ、寝てた」ってなるところ好きすぎる>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.4

なんかもう俳句の趣そのものって感じ。身近な至るところに物語を豊かに彩る人や物が点在する。そんな気づきと共に、円環を成すショットによって時間すらも超越してしまう大胆さに痺れる。“見知らぬどこかへ”

家畜追いの妻 モリー・ジョンソンの伝説(2021年製作の映画)

3.8

BGMの主張が強すぎるきらいはあるけど監督主演リア・パーセルの常に震源地であり続けるパフォーマンスにはひれ伏すしかない。ライフル銃を構える姿が『ミークス・カットオフ』のM・ウィリアムズを彷彿とさせる>>続きを読む

ヌラヌラ(2014年製作の映画)

3.4

なんならもっとフルボッコにされてもよかった

オーストラリア先住民映画祭

マイベッド、ユアベッド(1998年製作の映画)

3.4

このあとちゃんと幸せな結婚生活を送ったんだよね

オーストラリア先住民映画祭

グリーン・ブッシュ(2005年製作の映画)

3.6

元風景。ずっとそこにあってほしいと願う場所

オーストラリア先住民映画祭

フィンク 悠久の大地を駆ける(2018年製作の映画)

3.6

走った者だけが到達できる域。極上の現実逃避

オーストラリア先住民映画祭

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

リプスキーやヘルツの諸作を想起しながら。初速が素晴らしかっただけにずっと奇妙奇天烈であってほしかったんだけど中盤以降の陳腐なSEX祭りにやや胃もたれも。それでも娯楽性と作家性が同居する活劇には円熟味を>>続きを読む

憎しみ(1995年製作の映画)

4.2

ここから『レ・ミゼラブル』までを切り取ってみたときに、何も変わっていないという半ば諦念めいた思いが事の根深さを再認識させる

愛を止めないで(1991年製作の映画)

3.6

極私的バスジャック映画。厨二くさいカジュアルさが共感の妨げになったけど、そうなればなるほどエリック・ロシャンの射程距離内に入っていくような感覚。実生活ではイヴァン・アタルとシャルロット・ゲンズブールが>>続きを読む

街の中の地獄(1959年製作の映画)

4.0

ネオレアリズモの残香。アンナ・マニャーニとジュリエッタ・マシーナの関係性の変容によって際立つ寄る辺無さが刺さる

ウイザード(1988年製作の映画)

4.2

この持ち上げてから一気に叩きつけてくる感じ…。カール・ゴッチにジャーマンスープレックスホールドくらった時の衝撃に近かったです

悪魔のシスター デジタルリマスター版(1973年製作の映画)

4.2

『殺しのドレス』『レイジング・ケイン』の源流。『歓びの毒牙』との親和性もうれしい。魔術師たる所以のカメラ捌きとバーナード・ハーマンのスコアとの調和に浸る

死体強奪(1992年製作の映画)

3.2

TV畑下積み時代のやつ。IRAテロものかと思いきやむしろそれは副旋律の役割。ジャケットイメージと内容との乖離っぷりに戸惑う。有名どころだとイアン・バネンが出てくる

バロッコ(1976年製作の映画)

3.4

滑稽な状況がずっと続く禍々しさとI・アジャーニの美貌のコントラストが楽しめる。ブリアリ兄さんが不憫…笑

>|