マネーとマンパワー炸裂の戦闘シークエンスよりもむしろナポレオンB面の描写に陶酔。彼自身の人生の顛末こそがスペクタクルアクションなのである、とリドリーが言っているかのよう
『苦い銭』の姉妹編。消費者が受ける恩恵の裏で末端(最前線)が悲鳴をあげていますの図。どの裁縫工場においても様相の激変を捉える後半、編集の妙も手伝って歪な風土をダイレクトに射抜く。安定のヤニカス、上半身>>続きを読む
各風景に埋没しそうな朧げな輪郭がまだ何者にもなれない若者像をかえって前傾化させる。思いのほか拒絶反応がおこらなかった奇手
siriさんへ、今まで役立たずとか言ってバカにしててごめんなさい
『田舎司祭の日記』や『はなればなれに』を思わせる名画。争いが絶えず不条理が横たわるこの世界で純度100%の愛を抽出してくれるカウリスマキさんおかえりなさい。人間を信じてやまない彼の哲学が沁みる。そんな>>続きを読む
両者の過去が僅かな差異を接点としながら鏡像関係を成していく過程が楽しい。過去/現在における人物の運動量の圧倒的な差がラストの地獄絵図で横並びになり色づきを取り戻す光景にある種のカタルシスを感じた。った>>続きを読む
頻繁に時制を往来する叙述構成でちょっと散文的。興を削がれていく一方で、余白を埋めることなくあの日々をカプセル化する手並みに唸ってみたりも
個人的に、改変が改悪になってないしちゃんと意図が実感できるそれで安心した。原作でのハイライトだと思っている神戸八重子と諸橋大也の対話の吸引力にも驚く。今後の東野絢香には期待しかない
自衛と不寛容のキワを突いてくる演出の施しは良かったけど何が何でも感動させまっせな着地にやや拒絶反応も
肝心の本編はニャーベルズかわいいなで終わってしまったんだけど、その後の2発ですよ。こないだのワイスピみたいにワクワクさせてきよる
日本版ID4。この時代背景ならではの絶望・希望の追体験ってことで敗戦国が主体性を取り戻していく骨格にはなかなか滾るものがあった。ステレオタイプの話法と人物造形が没入の妨げにはなったけどアイスブルーに光>>続きを読む
後の諸作への萌芽というより、まずは『パパは、出張中!』への直線的な繋がりが色濃い。父親の不在と子供たちのこれから。よく雨が降り、水を浴びる。
今も私の映画ライフがあるのは常にクストリッツァがそこに居て>>続きを読む
再上映満席。シャープな編集で多面的に街を立体化してみせる地を這うような目線。そういった親密さと共に笑顔もたくさん見られるんだけど心底からのそれは一つとして無かった気がする。「暴力から自由は生まれない」>>続きを読む
両国共闘作品という事前情報だけですでにプルプル震えてたんだけど期待を裏切らない出来。想像しえない覚悟と犠牲の賜物。修飾や作為性を削ぎ落としタイトな画角で抑圧と抵抗がせめぎ合い続ける立て付けが見事
半ば自虐的な内幕の摩擦模様は面白おかしく観させてもらったんだけど、物語が変容してからは商業映画の悪いところ全部乗せの過剰サービスで胃もたれ不可避。アベノマスク装備してアベンジャーズ結成するところは◎
それ以上やると『アバター』になっちゃうぞってところで『ID4』へと舵を切り『ローグワン』へと着地。カミカゼロボがダッシュしてくる時の絶望感。映画泥棒の映像みる度にこの作品思い出しそう
前作はただのお化け屋敷でしかなかったけど、物語ることを放棄せずそれなりに取り返してきた今作。タイッサ・ファーミガがただただ神々しい。祓われたい…
個人としても社会としてもなおざりにしてきたと言ってもいい問題にこのタイミングだからこそ素通りは出来ないと発信する作り手の覚悟・姿勢が全てかなと。夫婦関係の再構築という副旋律の方が刺さってきたのはちょっ>>続きを読む
30分に1人死ぬしっかりめのマフィア映画だった。尺の割に満足度は低いけども女性としての矜持を貫くリリー・グラッドストーンのパフォーマンスは崇高。やっぱり外国人はSTETSONがよく似合う
『理想郷』と通底する主題。閉鎖的なコミュニティ内において人間という宇宙一愚かな生物を本能レベルまで解像度を上げて描出。それによって歪な現代社会の震源地として強烈なインパクトが備わる。あの激辛ラストには>>続きを読む
さすがにその汚れは決してシャンプーでは落とせませんからねっていう人物造形と、愛の曖昧さに起因した釈然としない空気の淀みが楽しい。硝子をすり抜ける様にしてヌルッと屋内に入るカメラ捌きはちょっとアガる。と>>続きを読む
黒木華大先生「おべんとうをたべていくかい?」「→はい いいえ」から始まる岩井流RPG。終わらない旅への名残惜しさはある
さほど物語に広がりは見られず狭い範囲でのワチャワチャに終始してしまったけど、序章って位置付けであれば拒絶するにはちと惜しい。「どっちなの?」を地で行く作劇と違和感回収のタイミングがそこそこサスペンスを>>続きを読む
導入部の描写が淡白すぎる印象こそあったものの、表題通りの対話劇からとことん煮詰めて自分らで選択をするという一部始終が緻密に描かれていて誠実さを感じる。ベン・ウィショーの実直さも◎
想像以上にお伽噺。チェーホフみのあるちょっと残念な人物像から一瞬放たれる光には無類の美しさがあった。老大工と若い栗売り、陰と陽(静と動)、やり過ぎていないコントラストがあの隔絶世界を絶妙に補完する
点から線へ徐々にピントが合ってくるしなやかさ、想像力を押し広げる余白の持たせ方に前のめりになりつつも、こないだこの川沿いの道を通ってあそこのパーキング停めたよな…っていうものすごい偶然への驚きが先行し>>続きを読む
期待しないで初めて入ったラーメン屋で「大盛り無料ですけどどうしますか?」って聞かれて大盛りにした結果想像以上に量が多くてやべ~これってなったけどなんとか完食できて、「そういやトッピングも豪華だったよね>>続きを読む
ちと長いけど面白かった。シチュエーションの差異による創意工夫アクションでもって内ゲバの反復によるマンネリを回避した印象。最後にちゃんと頭に一発ぶちこんで仕留めたり、必死こいて階段あがったのに一気に蹴落>>続きを読む
紋切型の撮らされちゃいました映画だけど色眼鏡で観なければ普通にイイ映画。とことん被写体に寄るカメラに反してなかなかその内面を覗かせない人物造形、それらの掛け合いが含蓄に富んでるからわりと自然に台詞が響>>続きを読む
戦中・戦後メロドラマの残り香がありつつもちゃんとカサヴェテスだった。草野球での風通しの良さがかき消されるほどに哀感漂うフレキシブルな作劇。排水口からの一瞬のクローズアップが眼福。ゴースト≒カサヴェテス
ただ眠りたかっただけなのに…がどうしてこうなった?をこの上なく辛辣な眼差しで告発。二者択一を何度も何度も何度もミスった先にある惨禍。『ユナイテッド93』『フォーン・ブース』みたいな実時間体験によって、>>続きを読む
伝統的ドキュドラマとしてほんの少しの演出を加えようとした故の顛末が、ヒッチコックとブニュエルをしっちゃかめっちゃかにしたような文脈下で叙述される現実と徐々に鏡像関係を結ぶ立て付けが見事。やがて超現実と>>続きを読む