ファルハを介して我々も歴史の目撃者となるといったシンプルかつ効果絶大なアプローチには唸ったものの、当時のアラブ社会における女性の立ち位置の模索という副主題が半ば衝動の様にしか感じられない点には不満も
三者三様の情景を切り取りつつもやはり主役はこの街なんだと思った。記憶と記録を交錯させながらそれを立体化せんとする緻密作業に好印象。なかなかにリヴェットとの親和性を感じさせるが個人的には佐藤泰志の『海炭>>続きを読む
2時間ちょっと耐えれば最後にご褒美みたいな30分間が待っている。完璧なラストショットに震えながら涙した
最後の写真が一番胸にこたえる。でも映画としてそれじゃ不十分だとも感じる。社会病理を抉るものとしては機能しているけど作劇があまりにも予定調和。字幕が斬新
誰が撮ってもウェルメイドな仕上がりが約束されるであろう極私的回想を、なにもシュミットがやらなくてもいいんじゃ…っていうのが率直な感想。でもやっぱりそれなりに没入できちゃう。短尺も有難い。ご馳走さまでし>>続きを読む
予算爆増のわりには個に焦点を合わせすぎてこじんまりとした印象。大局的視野での総括を求める自分もいたが、もしかしたらこの物語はこれでいいのかもしれない
追う/追われるに終始した結果スピード感は増したとして、シチュエーションやギミックで楽しませてくれた前作のストロングポイントは鳴りを潜める結果に。なんも知らんかったので唐突なリリ・テイラー&バリー・ペッ>>続きを読む
なかなかの勢いで車に跳ねられてゴロンゴロン転がったあとのクルクルベッドの画ヅラが反則。今回は柄シャツとグッチマンにコメディリリーフとして楽しませてもらったんだけど、ミッドクレジットの案件じみたグッチマ>>続きを読む
これは好調時ガイ・リッチー。やっとこさ逃げ切って家族のもとへ帰ったところでTHE ENDイイハナシダナーとなりそうなもんだけど、そこを中間地点にもってきちゃうてんこ盛り精神にあがる。ちゃんと120分>>続きを読む
落下時というよりは落下前夜のあれこれを解析してみせる脚本の映画。確かに強烈な体験ではある。
今、電車で、目の前の夫婦が笑顔で会話をしている
『カジノ』きっかけソン・ソック推し。マさんどんどん強くなっとる…笑
たぶん人生2度目の鑑賞。男性&女性の逃避行モノという轍の上を女性2人で猛進する作劇には現代女性の原動力になり得る熱量がある。スーパーバックからのS・サランドン「満タン」が最高にクールで、ワンコ真似G・>>続きを読む
前後左右へと空間を押し広げんばかりに演者・カメラが運動するタルコフスキーの真骨頂。自身の離郷に対する哀傷を投影させつつそう遠くない未来さえも予見する。圧縮され宙吊りになったままの郷愁の念…私映画の極致
ちょっと待って1回ここで落ち着いてボーかボウどっちでいくかみんなで話し合お
ヘビーな『薬屋のひとりごと』。中盤で表題の意味がわかると同時に真っ暗な映画館で観ないと絶対だめなやつじゃんとなること請け合いな外連味たっぷり良質エンタメ
テラスで松村北斗の立ち振舞いを見たキーさんの(おそらくは自身の喪失と重ねながら)「こいつならもう大丈夫だ」と言わんばかりのあの表情で全俺が泣いた。しばらくあの空間の余韻に浸っていたい
エリセが忘却の彼方のあの光へと旅をしている。もうそれだけで胸に迫るものがある。没個性的な立て付けが残念でならないが、今このショットで終われというところでちゃんと終わってくれたので安心はした。ドライヤー>>続きを読む
細やかな叙述が下地となって衝動アクションへと繋がるあの一瞬には無類の美しさがあった。コット、強くあれ
そのへんに群生する苔の生態研究という着眼点が作品の主題とオーバーラップしてくる滋味深さ。映画=人生の等式が成り立つ稀有な存在。カットが変わってまた戻ってきた時に「はっ、寝てた」ってなるところ好きすぎる>>続きを読む
なんかもう俳句の趣そのものって感じ。身近な至るところに物語を豊かに彩る人や物が点在する。そんな気づきと共に、円環を成すショットによって時間すらも超越してしまう大胆さに痺れる。“見知らぬどこかへ”
BGMの主張が強すぎるきらいはあるけど監督主演リア・パーセルの常に震源地であり続けるパフォーマンスにはひれ伏すしかない。ライフル銃を構える姿が『ミークス・カットオフ』のM・ウィリアムズを彷彿とさせる>>続きを読む
このあとちゃんと幸せな結婚生活を送ったんだよね
オーストラリア先住民映画祭
走った者だけが到達できる域。極上の現実逃避
オーストラリア先住民映画祭
リプスキーやヘルツの諸作を想起しながら。初速が素晴らしかっただけにずっと奇妙奇天烈であってほしかったんだけど中盤以降の陳腐なSEX祭りにやや胃もたれも。それでも娯楽性と作家性が同居する活劇には円熟味を>>続きを読む
ここから『レ・ミゼラブル』までを切り取ってみたときに、何も変わっていないという半ば諦念めいた思いが事の根深さを再認識させる
極私的バスジャック映画。厨二くさいカジュアルさが共感の妨げになったけど、そうなればなるほどエリック・ロシャンの射程距離内に入っていくような感覚。実生活ではイヴァン・アタルとシャルロット・ゲンズブールが>>続きを読む
ネオレアリズモの残香。アンナ・マニャーニとジュリエッタ・マシーナの関係性の変容によって際立つ寄る辺無さが刺さる
この持ち上げてから一気に叩きつけてくる感じ…。カール・ゴッチにジャーマンスープレックスホールドくらった時の衝撃に近かったです
『殺しのドレス』『レイジング・ケイン』の源流。『歓びの毒牙』との親和性もうれしい。魔術師たる所以のカメラ捌きとバーナード・ハーマンのスコアとの調和に浸る
TV畑下積み時代のやつ。IRAテロものかと思いきやむしろそれは副旋律の役割。ジャケットイメージと内容との乖離っぷりに戸惑う。有名どころだとイアン・バネンが出てくる
滑稽な状況がずっと続く禍々しさとI・アジャーニの美貌のコントラストが楽しめる。ブリアリ兄さんが不憫…笑