経年変化さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.2

相変わらず時が止まったまんまの時代錯誤なアルジェントの手捌き、ノイジーな電子音が懐かしくてなんだか嬉しくなっちゃう。犯人の動機聞いたらふとこれ思い出して腹抱えながら観てた。https://youtu.>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

4.6

『ソナチネ』と双璧をなす90年代虚無映画。ちょっと油断してるとその2秒後には画面が暴力性を帯び始め、閃きが映画的興奮をもたらす。横移動のカメラとバックする車、もっさい鬼ごっこのロングショット

蛇の道(1998年製作の映画)

4.6

カメラポジションと空間の使い方がおそろしいほどに上手い。日常と非日常を接続するチャリンコ哀川翔

東から(1993年製作の映画)

3.6

画だけを提示し続けるドキュメンタリーは好みではないんだけど、カメラと被写体の運動性の調和にそこそこ没入。記録媒体がタペストリーの様に変容する瞬間を紡ぎ出す

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.4

え、長澤まさみどこ出てたん?っていうポンコツ、自分以外におる~?

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.4

風通しの良い「物語」と全身に浴びせんばかりの「音」が渾然一体となり五感を震わせてくる。心の漂白作用抜群。是非続きを

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.2

映画との邂逅・陶酔期を経てアオハルものへと舵を切りつつもしっかり本来の縦軸へと軌道修正してくる構成がシンプルに心地いい。要所で悲劇を推進力に変えてきた、表現者である前に一人の人間としての強みを持ってい>>続きを読む

オール・ザット・ブリーズ(2022年製作の映画)

3.8

決して饒舌な作品ではないが多くの戒めが滲み出ている。人類そのものの原点回帰。選択肢を提示し、思考を促す

バニシング・ポイント 4Kデジタルリマスター版(1971年製作の映画)

4.2

『イージー★ライダー』の残り香、静かなる咆哮。ひたすら前に進む車とふと思い出される過去の記憶の対比関係。ラジオDJやオーディエンスを配置してより傍観の色が強まっていくなか、いつの間にか、あの車の助手席>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.0

あれだけ楽しみにしてたのに自分でも驚くほどのアレルギー反応…笑。まあこんな時もありますよね

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.4

史実ベースの縛りがありながらそのギリギリ一歩手前で無双するヴァーホーヴェンの健在っぷりが嬉しい。マリア像をあんなふうに活用してしまうインモラルな想像力なんてスティグマータを得た彼にとっちゃ通常運転って>>続きを読む

そして光ありき(1989年製作の映画)

4.2

遠く離れた地で悠々とイオセリアーニがイオセリアーニであろうとした事に深い感銘を受けた。最小限の中間字幕と演者の運動でこの時この場所でしか撮れなかったであろう物語、この豊穣さたるや…

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.6

シリアルキラー暗黒期へと近接しつつその延長線上で愛を囁くバランスがいい。社会の片隅でしか生きられない事は百も承知なのに安定を試みてしまう。そうさせているのが若さと愛なのだから苦しい

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

4.0

ネクストフェーズのマスターピース。既視感のあるビジュアルはまあ置いといて、単発モノながら総力戦っていう構図がちゃんとアベンジャーズしてるからこっちも全力で応援しちゃいました。穴あいて喜ぶやつかわいいか>>続きを読む

太陽の男たち(1971年製作の映画)

3.6

『恐怖の報酬』のニトログリセリン運搬任務が脳裏をよぎってバクバク。助けを求める叫びが近くの誰の耳にも届かない、現在をも射抜き続ける辛辣さに身が切られるよう

ファーティマの詩(2015年製作の映画)

3.2

物語ることを拒むかのようにひたすら積み重ねられる日常の断片。無味乾燥なイメージが彼女たちに纏わり付く世知辛さを強調させ一定の発信力を感じるものの、家族モノとしては安直な描写に終始するのでストレスを感じ>>続きを読む

月の寵児たち(1985年製作の映画)

3.8

切り貼りされたダイアリーをみてる様な居心地のよさ。副旋律が前景化し過ぎないから押し付けがましさが無い。こういう精神はわりとR・アンダーソンあたりが継いでるんだろうけどこっちはこっちで当時のパリの街並み>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

狂愛と純愛はニアリーイコール。リベンジマッチで勝ちゃいいの。あれで完全に虜囚となった事が示唆される結末に縮み上がる。いやもしかすると…なんてアナザーストーリーもあったりして。したり顔のパク・チャヌクが>>続きを読む

殺し屋ネルソン(1957年製作の映画)

3.4

『暗黒街』からの『暗黒街の顔役』、トーキー初期頃の雰囲気あるけど57年製作なんですね…。ボニクラものへの転調に一瞬あがるが最後まで乗り切れず。唸るショットはチラホラあったけども

対峙(2021年製作の映画)

4.0

舞台でやってほしい張り詰めた空間ではあるけど演者のメンタルもたなそうだし、劇映画でやれるところの極致までは追求できているのでは。峻烈な密室対話劇の先にある救済を“無言”で形容する創造力にガツンとやられ>>続きを読む

二十歳の息子(2022年製作の映画)

3.2

被写体が被写体として成立し得なくなる、未来予想図との不一致に直面する時の、撮る側撮られる側双方に求められる舵切りについて。自問のひとをカメラにおさめ続ける事で作品そのものが同性質を内包し始める

突破口!(1973年製作の映画)

4.2

これまたシーゲルらしい好発進からのフレキシブルな作劇。ここでも細部への目配りが利いているからスローテンポが苦にならない。体より頭を使って血路を開くウォルター・マッソー、フランクなフッ軽殺し屋ジョー・ド>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.2

沈黙・険悪を生んでしまう諸要素が結果プラスに作用してくる、クオスマネンの慈愛が横溢。付かず離れずの男女の哀歓、物語の行き先を提示しない顛末、圧倒的共感映画。
『Voyage, voyage』が沁みます

ドラブル(1974年製作の映画)

4.4

のっけからしっかり事件がおこる安定のシーゲル節。細部の足し算がノイズにならずにずっとテンションをかけ続ける事ができるという好例。疲れ知らずなM・ケインがいちいちかっちょいいんだけどD・プレザンスのポン>>続きを読む

(1959年製作の映画)

3.8

「キネマ旬報ベストテン」特集。
自分の中では原作を越えてこないものの、これはこれで見応えありな換骨奪胎

十字架の男(1943年製作の映画)

3.6

「戦争映画三部作」ラスト。国威発揚に振り切るでもなく高らかに反戦を謳うでもないこの感じは前作でもちょっと感じたけど多少厚みが増している。従軍司祭への鎮魂歌という作品の存在意義を明確に宣言するロッセリー>>続きを読む

東京の闇(1982年製作の映画)

3.0

評判は聞いてたんだけど「おれの20分を返してくれ」って言ってみたくて珍しいもの見たさで鑑賞。おれの20分を返してくれ

Anni difficili(原題)(1948年製作の映画)

4.2

軽妙な日常を活写する筆致がうつろう社会情勢とリンクしながら次第に滑らかさを失いはじめる。その振れ幅が没入を加速させる。希望的観測が打ち砕かれていく一部始終。その1コマ1コマの悲哀はまさにネオレアリズモ>>続きを読む

君に幸あれよ(2022年製作の映画)

3.4

作り手の若さと熱量がいい塩梅で化学反応をおこしてはいた。エンドクレジット後のあれは歓迎出来ず。余白は残しておいてほしいと思う派

茶飲友達(2022年製作の映画)

3.2

張りぼて共同体界隈でおこる枝葉のエピソードが共鳴していたかと聞かれると…。散見される『万引き家族』への目配せ。岡本玲が安藤サクラに見える瞬間がある